【必読ポイント!】 生成AI導入&開発の7ステップ
7ステップの全体像

企業が生成AIをビジネスに活用するには、7つのステップが必要となる。それぞれ解説したい。第1ステップは、ビジネス目標と成果の明確化だ。企業全体の方向性と連動していて、具体的で、かつ測定可能な目標を設定する。あわせて、その成果を実現するための具体的なユースケースを選定しておく。第2ステップは、リスクとコンプライアンス評価だ。直面する可能性のあるリスクを理解・評価するとともに、対処計画を立てる。第3ステップは、技術スタック(開発環境やソフトウェアなど)の選定だ。クラウドサービスが提供する基盤モデルの利用や、DB(データベース)や検索エンジンとオープンソースソフトウェア(OSS)の利活用が必要である。第4ステップは、人材やパートナー選択だ。専門知識を持つ人材やビジネスパートナーを選ぶ。第5ステップは、反復的なプロトタイピングだ。プロトタイプ(試作モデル)を作成し、改善を重ねていくプロセスを通じてフィードバックを収集しながら、性能を段階的に向上させていく。第6ステップは、本番開発だ。プロトタイピングのフィードバックに基づき、本番開発を行う。スケーラビリティや性能の評価を含め、将来的な拡張性も考慮しておきたい。第7ステップは、運用だ。回答精度の監視やデータの定期的な更新を行いながら、ビジネス目標達成に向けたメンテナンスと改善を繰り返す。
第1ステップ:ビジネス目標と成果の明確化
ここからは、先述した7つのステップのうち、2つのステップを詳細に説明する。まず、第1ステップの「ビジネス目標と成果の明確化」だ。このステップは、さらに4つのステップに分けられる。第1ステップは、戦略的目標の設定だ。「現状分析と課題の特定」「企業全体戦略との整合性」「市場動向と競争環境の評価」の3点を踏まえて、生成AIによって達成したい具体的な目標を検討する。第2ステップは、成果とユースケースの具体化だ。目標達成によって期待される具体的な成果とあわせて、成果を実現するためのユースケースを定義する。ユースケースの定義においては、類似業界や競合他社の事例を参考にするといいだろう。このステップにより、戦略的な意思決定と投資対効果の仮説立案が可能となる。第3ステップは、ステークホルダーの明確化と関与検討だ。ワークショップ、アンケート、個別ミーティングなどを実施することで、生成AIによって解決できそうな課題を抱えている部署からのフィードバックを得て、ステークホルダーの期待とニーズを理解しよう。このステップは、実現可能かつ価値のある目標を設定する上で欠かせない。第4ステップは、柔軟な対応戦略の策定だ。生成AIを取り巻く市場や技術はどんどん変化していく。スピーディーな変化に対応できるよう、目標には適度な柔軟性を持たせる必要がある。




















