厚利少売

薄利多売から抜け出す思考·行動様式
未読
厚利少売
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厚利少売
出版社
出版日
2024年10月10日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「薄利多売をめざそう」――そう考えてビジネスを立ち上げる人は、ほとんどいないだろう。誰だって、あまり儲からないものより、たくさん利益が出るものを売りたいはずだ。

それなのに、なぜ多くのビジネスは薄利多売型になっているのか。薄利多売ではなく厚利少売を実現するにはどうすればいいのか。それらの問いに答えをくれるのが、本書である。

著者の菅原健一氏は、ベストセラー『小さく分けて考える』でも知られる経営アドバイザーだ。年間10社限定でアドバイスを提供し、時給は30万円だという。まさに厚利少売を体現する人物である。

「時給30万円なんて、自分とはまったく次元の違う人だから、参考にならない」と思わないでほしい。著者も、時給30万円に設定したときは、「報酬以上の価値を提供できるだろうか」「誰からも求められなくなったらどうしよう」という不安を抱えていたそうだ。本書では、菅原氏がその状態を乗り越えて手にしたノウハウが惜しみなく明かされている。

想像してほしい。本書のノウハウを実践すれば、あなたの商品・サービスの価格を10倍にしてもお客さんがつくだろう。一般的に見ればかなり高価なのに、買いたくても買えない人が出てきて、常に順番待ちの状態だ。もはや広告にお金をかける必要はなく、口コミでお客さんが集まってくる。提供数をしぼりつつ、たくさんの利益が残り、さらなる値上げもできる――。どうだろう、読んでいるだけでもワクワクしてこないだろうか?

厚利少売を実現し、自分もお客さんも幸せにしたいなら、ぜひ本書を手に取ってほしい。

著者

菅原健一(すがわら けんいち)
経営アドバイザー。株式会社Moonshot代表取締役CEO。企業の10倍成長のためのアドバイザーであり、社会や企業内に存在する「難しい問題を解く」専門家。年間でクライアント10社、エンジェル投資先20社の計30社のプロジェクトを並行して進める。過去に取締役CMOで参画した企業をKDDI子会社へ売却し、そのまま経営を継続し売上を数百億規模へ成長させる。その後スタートアップのスマートニュース社でブランド広告責任者とBtoBマーケティング責任者を経て現職。著書に『小さく分けて考える 「悩む時間」と「無駄な頑張り」を80%減らす分解思考』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    多くのビジネスは「薄利多売」型だ。その原因は、需要の見極めの甘さにある。
  • 要点
    2
    厚利少売の基本原則は、提供する価値に責任をもつ、供給量をしぼる、「売上脳」ではなく「利益脳」、異常値になる、の4つだ。
  • 要点
    3
    「需要の見極め」を制するものがビジネスを制する。高くても買ってくれる人を見つけるには、お客さんの解像度を上げる→候補を見つけ、さらに解像度を上げる→勇気を出して提供してみる→「相手の変化量」を聞く、の4ステップで進めるとよい。

要約

厚利少売とは何か

「薄利多売」と「厚利少売」の違い

ビジネスは「薄利多売」と「厚利少売」に分けられる。

「薄利多売」型のビジネスの特徴は、「提供する価値に向き合わず、とにかくたくさん売って、ちょっと儲ける」だ。たくさん売るためにたくさんつくるものの、差別化できていないために売れ残りが出てしまうので、どんどん値下げをしたり、広告にお金を使ったりしなければならない。結果、たくさん売っても利益がほとんど残らない。たとえるなら「常にセール品を売っている状況」である。

一方、「厚利少売」型のビジネスの特徴は、「提供する価値に徹底してこだわり、少なく売って、大きく儲ける」だ。製品・サービスの価値を高めるとともに、その高い価値を提供するために、あえて供給数をしぼる。すると、常に買いたくても買えない人や企業が出てくるので、行列ができたり、順番待ちになったりする。広告にお金がかからないため、売る数は少なくても、利益がたくさん残る。たとえるなら「高級ブティックで限定品を売るような状況」だ。

多くのビジネスは「薄利多売」型だ。その原因は、需要の見極めの甘さにある。

本書では、需要を見極めて「厚利少売」を実現する方法を解説している。

厚利少売を実現する3ステップ
primeimages/gettyimages

厚利少売を実現するには、次の3つのステップを回していく。

第1ステップは、「価格を上げる」。背伸びでもいいので、まずは単価を上げる。いくらまで上げるかは「成功からの逆算」で決める。

第2ステップは、「お客さんを減らす」。価格を上げれば、売る数が少なくても、目標とする利益を達成できる。

第3ステップは、「高い価値を提供する」。お客さんの数が減れば、コストも減るので、利益が多く残る。そのお金を品質アップに投資すれば、さらなる差別化が可能となる。

ここまでいったら、第1ステップの「価格を上げる」に戻る。これを繰り返せばいい。

厚利少売の「4つの基本原則」

(1)提供する価値に責任をもつ

ここからは、厚利少売を実現するために知っておきたい4つの基本原則を紹介する。

1つめは、提供する価値に責任をもつことだ。

ここでいう「価値」とは「相手の変化量」である。利益が2倍になった、採用応募者が100人増えた、昨対比で集客が50%増加した、社員や顧客との関係が良くなった、家族の笑顔が増えた、自社の強みを言語化できたなど、「相手の変化量」が大きいプロダクトであれば、価格が高くても買ってくれる人は見つかるはずだ。

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要約公開日 2024.11.21
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