厚利少売の表紙

厚利少売

薄利多売から抜け出す思考·行動様式


本書の要点

  • 多くのビジネスは「薄利多売」型だ。その原因は、需要の見極めの甘さにある。

  • 厚利少売の基本原則は、提供する価値に責任をもつ、供給量をしぼる、「売上脳」ではなく「利益脳」、異常値になる、の4つだ。

  • 「需要の見極め」を制するものがビジネスを制する。高くても買ってくれる人を見つけるには、お客さんの解像度を上げる→候補を見つけ、さらに解像度を上げる→勇気を出して提供してみる→「相手の変化量」を聞く、の4ステップで進めるとよい。

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厚利少売とは何か

「薄利多売」と「厚利少売」の違い

ビジネスは「薄利多売」と「厚利少売」に分けられる。「薄利多売」型のビジネスの特徴は、「提供する価値に向き合わず、とにかくたくさん売って、ちょっと儲ける」だ。たくさん売るためにたくさんつくるものの、差別化できていないために売れ残りが出てしまうので、どんどん値下げをしたり、広告にお金を使ったりしなければならない。結果、たくさん売っても利益がほとんど残らない。たとえるなら「常にセール品を売っている状況」である。一方、「厚利少売」型のビジネスの特徴は、「提供する価値に徹底してこだわり、少なく売って、大きく儲ける」だ。製品・サービスの価値を高めるとともに、その高い価値を提供するために、あえて供給数をしぼる。すると、常に買いたくても買えない人や企業が出てくるので、行列ができたり、順番待ちになったりする。広告にお金がかからないため、売る数は少なくても、利益がたくさん残る。たとえるなら「高級ブティックで限定品を売るような状況」だ。多くのビジネスは「薄利多売」型だ。その原因は、需要の見極めの甘さにある。本書では、需要を見極めて「厚利少売」を実現する方法を解説している。

厚利少売を実現する3ステップ

primeimages/gettyimages

厚利少売を実現するには、次の3つのステップを回していく。第1ステップは、「価格を上げる」。背伸びでもいいので、まずは単価を上げる。いくらまで上げるかは「成功からの逆算」で決める。第2ステップは、「お客さんを減らす」。価格を上げれば、売る数が少なくても、目標とする利益を達成できる。第3ステップは、「高い価値を提供する」。お客さんの数が減れば、コストも減るので、利益が多く残る。そのお金を品質アップに投資すれば、さらなる差別化が可能となる。ここまでいったら、第1ステップの「価格を上げる」に戻る。これを繰り返せばいい。

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厚利少売の「4つの基本原則」

(1)提供する価値に責任をもつ

ここからは、厚利少売を実現するために知っておきたい4つの基本原則を紹介する。1つめは、提供する価値に責任をもつことだ。ここでいう「価値」とは「相手の変化量」である。利益が2倍になった、採用応募者が100人増えた、昨対比で集客が50%増加した、社員や顧客との関係が良くなった、家族の笑顔が増えた、自社の強みを言語化できたなど、「相手の変化量」が大きいプロダクトであれば、価格が高くても買ってくれる人は見つかるはずだ。

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要約公開日 2024.11.21
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