幸せの経営学
よい未来をつくる理論と実践

未 読
幸せの経営学
ジャンル
著者
酒井穣
出版社
日本能率協会マネジメントセンター 出版社ページへ
定価
1,728円
出版日
2014年11月10日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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よい未来をつくる理論と実践
著者
酒井穣
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日本能率協会マネジメントセンター 出版社ページへ
定価
1,728円
出版日
2014年11月10日
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総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
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応用性
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レビュー

「経営学」は人間を幸福にするための基本概念を含んだ学問であり、多くの人に経営学の本質的な部分を知ってほしい、という著者の強い想いから、本書は執筆された。ベンチャー企業の経営者であるだけでなく、ビジネススクールで教鞭を執る立場からも、将来経営者を目指す若手実務家に対し必要最低限の知識を教授すべく構成されている。

著者によると、経営学を学ぶ意義は「他者を幸福にすることで、自分も幸福になる」ことだという。人としての「幸福」とは、①仕事のやりがい、②人間関係の充実、③経済的充実、④心身の健康、⑤地域社会の活性化にあり、これらの実現のために「経営学」という学問が存在している。そして「経営学」は、ビジネスにとどまらず、より広い範囲で活かされるべきものなのである。しかしながら、昨今注目される経営学は利益の追求やお金の儲け方ばかりに傾倒しがちで、「経営学の中心は人間である」という本来あるべき目的を見失っている。

このような考えから、本書は経営学に詳しくない人でも、本来の経営学の目的を理解し、実務に応用しやすいように構成されている。経営学の柱をなすイノベーション論、マーケティング論、財務会計論、戦略論、人的資源管理論、それぞれの要点が解説され、経営学の全貌を見渡すことができるようつくられている。著名人の格言も紹介しつつ、また最新の学術的な動向も拾いながら、分かりやすく説明されているので、経営学初心者にとっては参考書になることは間違いない。読み物としても興味深く読める一冊だ。

著者

酒井 穣(さかい じょう)
株式会社BOLBOP代表取締役CEO/フリービット株式会社非常勤取締役(人材戦略研究所・所長)/認定特定非営利活動法人NPOカタリバ理事/事業構想大学大学院大学・客員教授(人的資源管理論)/琉球大学・非常勤講師(キャリア論)。
1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。Tilburg大学TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。
商社にて新事業開発、台湾向け精密機械の輸出営業などに従事。後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職し、2000年にオランダに移住する。特許訴訟を機に知的財産権部に異動し、米国、日本、韓国における複数拠点同時の訴訟対応をはじめ、技術マーケティングや特許ポートフォリオの管理を担当する。オランダの柔軟な労働環境を活用して、知的財産権部での仕事に取り組みつつも、2006年末に各種ウェブ・アプリケーションを開発するベンチャー企業を創業し、最高財務責任者(CFO)としての活動を開始。南米スリナム共和国におけるアウトバウンド・コールセンターのアウトソース、開発リソースの中国とルーマニアからの調達や、オランダ、ドイツ、スイスにてマーケティング戦略を構築。さらに人事制度の構築、採用、人材育成などを担当。2008年には、母校TIAS School for Business and SocietyのMBAプログラムにて臨時講義を受け持つ。2009年4月、8年8ヵ月暮らしたオランダを離れ、フリービットに参画するために帰国。2013年、株式会社BOLBOPの代表取締役CEOに就任。

本書の要点

  • 要点
    1
    経営学は「人間を幸福にする」ということを目的としており、多くの人が広く学ぶべき学問である。
  • 要点
    2
    イノベーションは、人間が社会において幸福となれるよう、雇用を創出するものである。
  • 要点
    3
    マーケティングは、イノベーションと一体となって、イノベーションを社会に浸透させる。マーケティングそのものが一人歩きしても、イノベーションがない限りよい結果にはつながらない。
  • 要点
    4
    人事制度は組織内のコミュニケーションのルールである。制度構築だけでなくその正しい運用が必要不可欠だ。

要約

幸せを″生み出す″――イノベーション論

イノベーションがもたらすもの
Federico Caputo/iStock/Thinkstock

人間が仕事に幸福を感じるためには、自らの仕事が社会に幸福をもたらしていると実感できることが大切である。そのために経営ができることは、人間に雇用の場を提供するということだ。組織がイノベーションを起こすことによって、雇用が創出されるのだ。

では、イノベーションとは何か。経営学的視点から述べると、技術論に限らずビジネスモデルも含め「新しいものを取り込む力」ということである。イノベーションの様々な定義の中でも特に有名なのは、内部から経済構造を革命化していく「創造的破壊」という捉え方だ。

仕事には、①どのような問題を、②どれほど上手に解決できるか、という二つの視点があり、それらが仕事の価値を決める。「価値の高い仕事」を行うには、取り組むべき問題が社会的にどれほどの重要度を持つかを判断することが大切だ。その判断の参考軸として元東大総長の小宮山宏による「小宮山モデル」を一例に挙げたい。当該モデルによると、現在、人類が抱える本質的問題は、①有限の地球(=資源の枯渇)、②社会の高齢化(=生産及び消費の循環がない社会)、③爆発する知識(=情報の整理と活用の必要性)、の3つに集約できるとされる。これらの課題と照らし合わせながら、本当の意味での価値ある仕事を見出す必要がある。

イノベーションのジレンマ

いかなるビジネスでも日々の改善は重要だが、持続的な改善活動だけではいずれイノベーションに駆逐されてしまう。アメリカの経営学者クレイトン・クリステンセンが提唱する「イノベーションのジレンマ」はこの関係性を明白にした理論だ。

デジタルカメラの登場とフィルムカメラの終焉を例に考えてみよう。高品質を求める市場のニーズを満たすべくフィルムカメラ会社は技術向上を進めるが、いずれ過剰品質を提供することになり、イノベーション(ここではデジタルカメラ)によって既存市場が奪われ、独占されてしまうことになる。この循環は繰り返され、今やデジタルカメラ市場もカメラ付き携帯電話の台頭により脅威にさらされている。

企業にとっては、革新的な商品を開発するよりも顧客の声をもとに既存商品に対し改善を繰り返す方が合理的であるため、なかなかイノベーションに着手できないというジレンマが生じやすい。こうしたことは、様々な製品やサービスで起こっている現象だ。

【必読ポイント!】 幸せを″広める″――マーケティング論

マーケティングの役割とダークサイド
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

イノベーションの浸透を成立させるために、マーケティングは、本来イノベーションと一体となってお互いを支え合うものである。マーケティングとは、究極的には、理念が投影された商品を通して、人々にその理念に共感してもらい、社会のありかたを変えるためにこそ存在している。

マーケティングという言葉の定義について、経営学で頻出される3つの代表的な考え方を挙げておこう。一つ目は、経営の神様と称されたピーター・ドラッカーによる「セールス活動を不必要にすること」という定義だ。十分な顧客理解からつくられた製品やサービスは、自然と売れるという考え方である。

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経営戦略 人事 マーケティング ファイナンス
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2014年11月10日
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