スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考

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スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考
ジャンル
著者
籠屋邦夫
出版社
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
定価
1,706円
出版日
2014年10月01日
評点(5点満点)
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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レビュー

多くの決断は即時でなされるものである。なぜならば、時間をかけて検討するよりも、まず行ってみて問題があれば修正していけば良いからだ。しかし、一度した決断の結果が容易に修正できない場合にはどうするべきだろうか。そのような問題に直面した時こそ熟断思考の出番である。本書で紹介される熟断思考は、重大な意思決定を行うまでのプロセスを具体的な方法論にまで落とし込み、誰にでも学習できるようにしている点で利用価値が高い。

ビジネスパーソンが経営者に近づけば近づくほど、熟断思考が求められる問題に直面する割合が増えていくだろう。意思決定の遅い経営者だというレッテルを貼られないためには、即断することと熟断思考を活用することを切り分ける能力も求められる。

新サービスの導入をまず行い、それをクイックに改善していくアプローチである、リーンスタートアップというコンセプトがシリコンバレーを発端に日本でも影響力を持っている。ただリーンスタートアップは、IT業界などの導入後の改善や撤退が比較的容易な領域で威力を発揮するものなのかもしれない。小売業界での出店戦略や重工業に属するメーカーの新製品開発というような、大きな経営資源が必要で軌道修正が簡単にはできないテーマを検討する際には、実行する前に熟断思考することが求められるのである。本書を読むことで、重大な意思決定において効果が高い実践的な武器を身につけることができるだろう。

大賀 康史

著者

籠屋 邦夫(こもりや・くにお)
ディシジョンマインド社代表。
東京大学大学院化学工学科修了後、三菱化成(現三菱化学)入社。新製品・新製造プロセスの開発等に従事し、渡米後、スタンフォード大学大学院エンジニアリング・エコノミック・システムズ学科修了。マッキンゼー社東京事務所にて企業ビジョン策定・全社組織改革などのコンサルティングに携わる。シリコンバレーに本拠を置くストラテジック・ディシジョンズ・グループ(SDG)に参画し、 SDG社にてパートナー、日本企業グループ代表。帰国後は、ATカーニー社ヴァイスプレジデントとして広範囲な経営課題に対するコンサルティングに取り組む。
ディシジョンマインド社を設立し、企業やビジネスマンの戦略スキルや意思決定力向上を支援するエデュサルティング活動(Education+Consulting=Edusulting)に注力している。メーカーを中心とする130社以上に対し「戦略的意思決定」「新規事業創造」「技術経営」を中心として、企業内教育研修の講師を務め、スタンフォード大学、慶應義塾大学、立命館大学、青山学院大学、福井県立大学などの大学院においても講義を実施している。

本書の要点

  • 要点
    1
    判断が求められる課題のうち、「実行した後、結果が出るまでの時間が長い」「投入する経営資源が自分の経営資源に占める割合が、非常に大きい」「悪い結果の時、打撃が甚大となる」のどれかに当てはまる場合、熟断思考を活用するべきだ。
  • 要点
    2
    意思決定とは、「やり直しのきかない経営資源の配分を実際に行うことへのコミットメント」を意味するものであり、身を切り命がけで取り組む姿勢こそが大切である。
  • 要点
    3
    意思決定の判断基準となるのは、トータルでの嬉しさである。選択肢ごとのトータルでの嬉しさの期待値を算出し、期待値が最も大きい選択肢が最も有力な選択肢となる。

要約

スタンフォードとマッキンゼーで学んできたこと

天才思考と熟断思考の違い
alphaspirit/iStock/Thinkstock

問題の分析を専門にするコンサルタントの活躍の影響もあり、SWOT分析、ロジックツリーというようなフレームワークを使おうという人が増えている。ただ、実はこのようなロジカルシンキングには限界がある点を考慮すべきである。新規事業や研究開発テーマの検討をする際には、未来の状況変化や不確実性の影響が大きいため、ロジカルシンキングだけでは具体化が十分に進められないのである。

実はこのような課題に取り組む際には、ロジカルシンキングで集めた材料をもとに、アイデアの「ひらめき」や「跳び」が求められる。このように現状分析から戦略を直接導き出すことは天才思考と言えるのに対して、現状分析の後、選択肢、不確実性、価値判断尺度と検討を進めて、戦略策定に至るプロセスを熟断思考と呼ぶ。現状分析から戦略策定の間を埋める実践的ノウハウは世の中にほとんどなく、この熟断思考こそ役に立つ思考術と言える。

熟断思考を構成する6つの要素
underverse/iStock/Thinkstock

「熟断思考」が生まれた背景は、著者がマッキンゼーでロジカルシンキングを学んだ後、スタンフォードで意思決定論を学び、それらを組み合わせることが効果的だと認識したためだという。特にロジカルシンキングで扱いにくい、「選択肢」「不確実要因」「価値判断尺度」という点について、個々に分解して統合する「熟断思考」の6つのポイントを紹介する。

1. 悩みや課題のリストアップと全体観の把握

どのような課題に直面しているか、悩むべき課題は何か、正しいアプローチかの3点を検討する。複数の課題が対象であれば、すべてリストアップし、優先順位を付ける。

2. 個別課題のフレーム設定

優先順位の高い課題に対して、「いつ頃、どうなったら嬉しいのか?」を考え、それに向け決めるべきこと、コントロールすべきことなどを洗い出していく。

3. 具体的な複数の選択肢の検討

視野を広く、選択肢を創造的に洗い出す。

4. 不確実要因の明示的な取り扱い

個々の選択肢を実行した際に、結果に大きな影響を及ぼす不確実な要因をリストアップする。そしてその不確実な要因がどのような確率で起こるかを考える。

5. 価値判断尺度の認識

選択肢を選ぶ基準を考える。最終的には、意思決定者のトータルの嬉しさを重視する。

6. これまでの1~5を統合した最終的な意思決定への取り組み

それぞれの選択肢におけるトータルの嬉しさの期待値を計算し、意思決定を行う。

このような熟断思考を経ることで、不確実要因が読み切れず思うような結果が得られないことはあっても、考慮が足りなかったと後悔することはなくなるのである。

【必読ポイント!】全体観を把握する

熟断すべき課題、即断すべき課題

課題に直面して初めに考えるべきことは、その課題が熟断思考を必要とするかどうかだ。多くの問題は即座に実行に移し、トライ&エラーを繰り返すことで対処できるものである。そこで、熟断思考の適用要否を判断するためには3つの確認事項が存在する。

1. 実行した後、結果が出るまでの時間が長い

2. 投入する経営資源が自分の経営資源に占める割合が、非常に大きい

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スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考
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スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考
ジャンル
スキルアップ・キャリア
著者
籠屋邦夫
出版社
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
定価
1,706円
出版日
2014年10月01日
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