戦い方を組み直す
2種類の知性
これまで結果を出してきた人でも、それまでの勝ち方が通用しなくなる。新しいツールになかなか馴染めないし、資料の理解スピードも落ちた。歳のせいとは思いたくないから、早起きしてインプットを増やそうとするけれど、若者との間のギャップを埋められない。
努力は足りているはずだ。しかし、「脳と知性には、年齢とともに変化する法則がある」。それがわかっていれば、戦い方を深くしていける。
心理学者レイモンド・キャッテルは、人間の知性について、流動性知能と結晶性知能の2つがあることを提唱した。前者は「新しい情報を素早く処理する力」で、若い時期にピークがくる。後者は「経験や学習を通じて積み上げてきた知識や判断力」を指し、50代以降でも伸びる。「経験を意味に変える」ことで「次の行動に活かす」。判断の質と本質的な洞察という価値につながる結晶性知能を、力にしていくことが必要なのだ。そのために、過去に成功したやり方は手放し、「自分はこうあるべき」というイメージを捨てる。前半戦の戦い方は一度ゆるめなくてはならない。
ハーバード・ビジネス・スクールのアーサー.C.ブルックスは『人生後半の戦略書』で、まだ流動性知能で走れているうちに、結晶性知能を示す「第二の曲線」を意識するよう提案している。準備は早いほどいいのだ。
セカンドハーフ戦略

人生後半への切り替えに必要なのは、「ハーフタイムシフト」である。スポーツの試合におけるハーフタイムでは、前半でうまくいっていたことはそのままに、通用しない戦略は変更する。人生も同様で、「一度立ち止まり、後半戦に合わせて戦い方を組み直す」必要がある。そうして行動レベルへと落としていくことが、「セカンドハーフ戦略」だ。
ハーフタイムシフトで、はじめから正解を見つけるのは難しい。後半戦にいったん出て、戦略が通じなければ初心者に戻り、人に教えを請うて、また組み直せばいい。
以前と同じような頑張りでは成果が出ない、時間がかかる。そう感じたときが、力の使い方を変えるタイミングだろう。ただし、会社を辞めるといった大きな決断から始めなくていい。自分が何に頼っているのか、それが見えるだけでも前進だ。そのとき気づくべきなのは、恥をかく場面、間違いを指摘される機会が、若いころより減っていることである。そうした感覚を使わなければ、脳も、感情も、好奇心も、初心者でいる力も、老いていく。












