人はなぜマウンティングするのか
心の奥底にいる「一匹の猿」
人間同士の「格付けし合い」を表す「マウンティング」。その背景には、「霊長類学」という学問的なバックグラウンドが存在する。
動物行動学、特に霊長類学における「マウント(mount)」とは、雄が他の個体(雄・雌問わず)に生殖器を結合(マウント)するという身体行動を指す。繁殖が目的ではなく、「群れの中での優劣を確定させるため」の社会的儀礼である。
服を着て、高度な言語を操る人間だが、脳の深部には霊長類のそれと同じものが存在する。物理的に相手をマウントする代わりに、「学歴」「年収」「人脈」「ブランド」といった記号を使って社会的な圧をかける。それによって心理的に「自分より下」に固定しようとするのだ。
マウンティングにはある種の高揚感が伴うが、それには脳の「報酬系」が関わっている。相手が自分より下に置かれていることを確認できると、脳内の快感物質「ドーパミン」が働くのだ。「相手を下げる」という行為は、霊長類的な支配行動に直結しているのである。
私たち人間は、自分たちを「知的で文明的な存在」だと思い込んでいるが、実際には、心の奥底に「一匹の猿」がいる。マウンティングという言葉が人間社会に浸透しているのは、そのような確固たる背景があるからだ。
マウントをとらずにいられない「残念な脳」

誰かをマウンティングする姿は、見ていて気持ちのよいものではない。それなのに、なぜやめられないのか。科学的に分析すると、3つの要因が浮かび上がってくる。




















