この1冊ですべてわかる マーケティングの基本

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この1冊ですべてわかる マーケティングの基本
出版社
日本実業出版社
出版日
2009年03月01日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書では、マーケティング業務の流れに沿った形で、それぞれのフェーズで重要と思われるマーケティング理論とそのポイントが、基本を押さえた形で網羅的に紹介されている。新商品開発、既存商品育成というそれぞれの観点で、企業活動の時系列に沿って具体的に述べられているため、業務の進行の中のどの場面で使える理論なのかがわかりやすい。また、著者がまえがきで述べているように、理論的な知識と企業の事例、ツールやメソッドがバランスよく組み込まれている。これからマーケティング業務を学ぶ人や、マーケティング部門ではないがひととおりの知識を持っておきたいという人にもイメージがつかみやすい。

もちろん、マーケティング部門の担当者が業務を進めていくうえで必要な観点を確認するときや、企画書・マーケティング計画書などを作成するときにも重宝するだろう。「今この段階で考えておくべきこと」が整理されているので、本書に沿って計画を進めていけば、企画の後戻りや検討不足による計画のブレは小さくて済みそうだ。また、本書の随所に見られる図解やマトリックスは、読み進める上で役立つだけでなく、自分が資料を作成する際のビジュアルの作り方、という面でも参考になる。

業務のサイクルを経験した後で改めて読み直せば、より一層マーケティングへの理解が深まるだろう。折に触れて参照したい、基本の1冊となるはずだ。

著者

安原 智樹(やすはら・ともき)
マーケティング・コンサルタント。消費財会社を中心にブランド・マーケティング、B2Bマーケティングの実務経験を15年近く積む。2000年に、企業内のマーケティング部門で行なわれる商品開発・育成の仕組み、ブランド管理の運営手法作成コンサルティングを目的としたヤスハラ・ マーケティング・オフィスを設立。代表として現在に至る。著書は『入門ブランド・マーケティング』(プレジデント社)、『はじめて学ぶブランド・マネジメント』(翔泳社、翻訳書の監修)、『「マーケティング」の基本&実践力がイチから身につく本』(すばる舎)、『ブランディングの基本』 (日本実業出版社)。

本書の要点

  • 要点
    1
    新商品開発で重要なのは「誰に、どんな理由で買ってもらう商品か」というマーケティング基本戦略だ。それを絞り込むために、企業環境の分析、新商品コンセプト調査というステップを踏む。
  • 要点
    2
    基本戦略が定まったら、それを消費者に訴えるためのブランドやデザインの作り込み、製品の具現化、価格・流通チャネルの設定、プロモーションを行っていく。常に基本戦略から外れないようにする。
  • 要点
    3
    既存商品育成では、パフォーマンス・チェックから次の目標設定、計画、実施の流れをスムーズなサイクルで回す。その中で、成功・失敗の要因分析が大切となる。

要約

マーケティング業務の全体像

企業活動に欠かせないマーケティング

マーケティングと一言で言っても、その範囲は非常に広い。企業はモノやサービスを消費者に提供し、対価としてお金を得るが、そのバランスをとるのは難しい。誰に、どんな製品を作り、どこで、どのように、いくらで売るか。それを細分化して考えていくのがマーケティングであり、企業活動のほとんどと言ってもよい。本書では、中でも「マーケティング業務」について述べることとし、「新商品開発」と「既存商品の育成」の二つに大別してその戦略・戦術について解説していく。

マーケティングのゼネラリストとスペシャリスト
Monkey Business Images Ltd/Monkey Business/Thinkstock

マーケティング業務には、企画・販売など一連の流れをトータルで考えるゼネラリストとしての仕事と、市場調査・分析などひとつひとつについて高い専門性を求められるスペシャリストとしての仕事がある。さまざまなマーケティング業務が時系列で進み、作用しあって一定のサイクルを作っていくのが、基本的な流れである。

【必読ポイント!】 新商品開発のマーケティング業務{{1

新商品開発の6つのステップ~戦略と戦術~

新商品を開発するとき、その流れは大きく「戦略」と「戦術」に分けられる。戦略は、市場のどこをねらって、誰にどんなものを売るのかを「絞り込んで」いくこと、戦術は、それをどのように見せ、どこで、どうやって売るかを「肉付けする」ことだ。戦略には「企業環境の分析」「新商品コンセプト開発」「マーケティング基本戦略」の3ステップ、戦術には「ブランド・シンボル開発」「マーケティング・ミックス」「市場導入計画」の3ステップがある。それぞれについて詳しく見ていくこととする。

【戦略編】企業環境の分析

新商品開発を始めるにあたってまず考えるべきなのは、「どのフィールドで商品開発するか」と「どんな自社資産を活用するか」である。3C分析により、消費者、競合、自社の状況をとらえる。消費者の生活がどう変わるのか(PEST分析、GCS分析)。ねらう競合、避ける競合はどこか。自社はどんな強みをもてるか。これらを分析し、強み・弱み・機会・脅威をまとめる(SWOT分析)ことで、ねらうべき方向性が見えてくるはずだ。

【戦略編】商品コンセプト開発

次に、「どんな新商品を作るか」を考えるステップへと進む。新商品のコンセプトには、消費者の「ニーズ」と、自社の持っているノウハウや技術などの「シーズ」、そしてそれを具現化する「アイデア」を入れる。「ニーズ」はその名の通り消費者の欲求であるが、困り事としてすでに顕在化しているものから、潜在的なものや無意識のものまである。「シーズ」は商品の価値を上げたり、コストを下げたりするための技術やプロセスであり、他社との差別化を図るポイントでもある。

「ニーズ」と「シーズ」を満たす「アイデア」を出すときには、さまざまな発想法を使うとよい。たとえば、既存のアイデアやカテゴリーを組み合わせたり、増減したり、移転したりする「SCAMPER」と呼ばれる発想法や、それらを組み合わせた「アナロジー発想法」「ブルーオーシャン戦略」などがある。商品コンセプトがある程度出たら、複数案から絞り込むための調査や、受容度をはかる調査を行う。調査の方法にはグループ・インタビューやオフィステストといった定性調査と、会場調査や自宅利用調査といった定量調査がある。

【戦略編】マーケティング基本戦略
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

続いて、売り出していく対象となる相手をリアルに想定できるよう、STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)を設定していく。

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要約公開日 2015.08.18
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