世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方

ハーバード、Google、Facebookが取りくむマインドフルネス入門
未読
世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方
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ハーバード、Google、Facebookが取りくむマインドフルネス入門
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世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
出版日
2015年08月10日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

巷で話題になっているマインドフルネス。グーグルでは社員教育にマインドフルネストレーニングの瞑想を取り入れ、ハーバードやスタンフォードといったビジネススクールの名門校でも、マインドフルネスの概念と実践についての講義が用意されているという。

現代のビジネスパーソンは、日々マルチタスクに対応し(なんとマルチタスクは仕事の効率を落とし、常態化すると脳にも損傷を与えるそうだ!)、あふれかえる情報を処理しきれずにいる。「今この瞬間に完全な注意を向けた状態」であるマインドフルネスをつくる方法は、ビジネスの結果を出していくために、必須のスキルであると注目されているのだ。

本書では、マインドフルネスの効果――ビジネスの成果だけでなく、働くことの幸福感や健康にも寄与するという――や、その科学的裏付けを述べつつ、実践方法を丁寧に示している。とくに実践方法は、オーソドックスな瞑想から、食べたり歩いたりしながらマインドフルネスを意識する方法、日常の習慣のなかにマインドフルネスを組み込む方法など、多くの方法が提案されているので、どなたも何かしら実行しやすい方法を見つけられると思われる。

また、本書においてマインドフルネスは、スキルとして解説されているだけでなく、その本質にまで言及されている。著者らは、マインドフルネスを、よりよく生きるため、「自己認識と叡智をうながす」ためのものと位置づける。マインドフルネス入門のための一冊にふさわしい、ポイントを押さえつつ、確たる理念の込められた一冊だ。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

荻野淳也(おぎの じゅんや)
株式会社ライフスタイルプロデュース代表取締役、一般社団法人MiLI代表理事。

木蔵シャフェ君子(ぼくら しゃふぇ きみこ)
KEYインスティテュート/NLPメディックスジャパンディレクター、一般社団法人MiLI理事。
著書に『NLPイノベーション』(春秋社、共著)等。

吉田典生(よしだ てんせい)
国際コーチ連盟マスター認定コーチ、米国プロファイルズ社戦略的ビジネスパートナー、一般社団法人MiLI理事。
著書に『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』(ソフトバンク新書)等多数。

一般社団法人MiLI
Google社の人材開発プログラム“Search Inside Yourself(SIY)”をアメリカ本国の開発チームと連携し、日本企業、ビジネスリーダーに提供・展開しているほか、企業・大学におけるマインドフルネス導入に関わるセミナー・研修を実施している。

本書の要点

  • 要点
    1
    マインドフルネスは、疲弊からすぐに立ち直って冷静な判断をする力、自己認識力、どんな状況でもポジティブでいる力など、混沌とした現代でビジネスの結果を出していく力を養う。マインドフルネストレーニングとして行われる瞑想は、そうした力に対応する脳の部位を発達させることが、研究と調査によって裏付けられている。
  • 要点
    2
    マインドフルネストレーニングとは、「注意(力)」を高めて、マインドフルな状態をつくり出すプロセスである。少しずつでも毎日実践し続けることでマインドフルネスは磨かれる。

要約

世界中で起きているマインドフルネス革命

マインドフルネス瞑想の広がり
©iStock/aradaphotography

マインドフルネスとは、「今この瞬間に完全な注意を向けた状態」のことだ。「過去や未来に気を散らさず、今、あるがままの感情や思考、場の雰囲気などに十二分に注意を払っている状態」とも言える。マインドフルネスのための瞑想トレーニングをいち早く社員教育に取り入れたのは、グーグルだ。前例のないビジネスをリードし、多様な仲間との摩擦を共創の力に変えていくためには、それぞれの今に「注意を向ける」ことが不可欠である。また、社の掲げる「ウェルビーイング」というビジョンにも沿う効果を、マインドフルネスから得ることもできる。

マインドフルネスを重視し、ジムで身体を鍛えるように集中力を鍛えようとする動きは、今や業界を越え、国を越え、世界中に広がっている。日本でも、マインドフルネスのための瞑想は、客観性の高い具体的な方法として、既に一部に受け入れられつつある。

マインドフルネスがもたらす、結果を出す力

不安定な世界を受け入れ、立ち直る力(レジリエンス)

マインドフルネスの実践によって何を得られるのか。本書では9つの「結果を出す力」を解説しているが、そのうちのいくつかをここでは紹介したい。

現代の状況を表す、「VUCAワールド」という言葉がある。この語は、米国陸軍が世界情勢を捉えて表現したものであり、グローバル企業のエグゼクティブにも浸透しつつある。「変動の幅が大きく(Volatility)、不確実で(Uncertainty)、複雑で(Complexity)、問題の所在がどこなのかさえ曖昧な(Ambiguity)」世の中という意味である。

例えば、電化製品の機能を増やせば単純に売れ行きが伸びるかというと、そうではない。新興国で事業拡大のために投資すれば、政情不安のリスクがつきまとう。といったように、企業のリーダーは日々、「VUCAワールド」の不安定な状況のなかでの決断を迫られている。

質の高い意思決定を行うには、コントロールできない世界を前向きに受け入れ、疲弊してもすぐに立ち直れる力が必要だ。この復元力を「レジリエンス」というが、マインドフルネスはその基礎を養うことができる。

いま自分に起きていることに気づく力(セルフ・アウェアネス)

リーダーシップには、自己認識、つまり、自分の考えや感情が他者に与えている影響や価値観に十分に気づいていることが、欠かせない。リーダーが意識を業績や顧客といった外のことにばかり集中し、部下にもそれを強いていると、組織は短期的にはうまくいくかもしれない。しかし、中長期的には、楽しく働く人がいなくなり、組織は病んでしまう。

マインドフルネスを鍛えると、

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要約公開日 2015.11.29
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