コンサルティングの基本

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コンサルティングの基本
出版社
日本実業出版社
出版日
2008年05月10日
評点
総合
3.3
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

誰もが一度は耳にしたことがあるであろう「コンサルタント」という職業。「コンサルタント」という言葉自体はなんとなくイメージでは理解しているつもりでも、その業界構造や業務内容まで説明できる人は少ないのではないだろうか。

コンサルタントという職業の日本での歴史はまだそれほど長くはない。一部の大企業は、新規事業戦略やプロジェクトマネジメントなどの案件でコンサルティング会社との契約を行っているが、中小企業ましてや個人商店レベルでコンサルタントに業務委託するケースは稀だ。

本書は、この常に曖昧なイメージが付き纏うコンサルタントという職業を、体系的かつ包括的にまとめている。どのようなコンサルティングファームが世の中存在しているか、またコンサルタントの請け負うプロジェクトの種類や業務の内容などはどのようなものであるか、「コンサルティング業界の俯瞰図」と呼ぶべき解説書である。

「コンサルティングの基本」と銘打ってあるが、巷に溢れる「コンサルタントのフレームワーク実例集」や「ケーススタディー集」とは位置づけが異なるので、ご注意いただきたい。

本書の想定読者はコンサルティング業界で働きたい大学生や転職を考える社会人であろう。本書は就職活動に必要な知識も充実しており、コンサルティング業界での活躍を考えている読者にとっては良き業界研究本となりえるだろう。また、コンサルティングファームに業務発注を考えている企業担当者および経営者の方々にも参考になる部分は多いと思われる。

著者

神川 貴実彦
1968年生まれ。株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア代表取締役。早稲田大学法学部卒、ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)グラデュエイトディプロマ。SAIS学長ジョージ・R・パッカード博士のリサーチアシスタント、ベンチャー企業の営業を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。1997年に独立。

本書の要点

  • 要点
    1
    コンサルティングファームの機能・付加価値は、①業務効率化を図れるプロフェッショナルアウトソーシング機能、②ゼロベース思考で客観的な視点でビジネスを効率化する機能など、大きく8つに分類することができる。
  • 要点
    2
    コンサルティング会社は強みに対応して、戦略系、総合系など7つに分類することができるが、現在ではその領域の垣根はなくなりつつある。
  • 要点
    3
    経営コンサルタントには、①プロフェッショナルマインド、②コンサルティング的思考力、③対人関係構築能力、④体力・精神力の4つの資質が求められる。

要約

【必読ポイント!】コンサルティング業界の基礎知識

コンサルティングファームの8大機能・付加価値
iStock/Thinkstock

「営業コンサルティング」といった言葉など、近年様々なところで「コンサルティング」あるいは「コンサルタント」という言葉が使われているが、本書の取り扱う「経営コンサルタント」とは、「企業の様々な経営上の課題を明らかにし、解決するための助言を行う」職業である。著者はコンサルティングファームの機能・付加価値を大きく以下8つに分類している。

1.業務効率化を図れるプロフェッショナルアウトソーシング機能

2.ゼロベース思考で客観的な視点でビジネスを効率化する機能

3.PMOに代表されるプロジェクトマネジメント機能

4.ファシリテーション能力により、クライアントのノウハウを引き出す機能

5.経営戦略・業務改善の実行支援(アクションラーニング)によってクライアント自身の成長につなげる機能

6.世界各国の先進事例に基づくベストプラクティスの提供により、効果的な課題解決を促す機能

7.社内の反対派を説得するための意思決定の箔付け機能

8.第三者としての中立的な諌言機能

コンサルティングファームの組織

「ファーム」という名にもある通り、コンサルティング会社の組織形態は一般企業のそれとは少し異なる。最大の特徴は明確な所属部署がないことであろう。

プロジェクトを受注すると、その段階で社内から適切に人材を集めて、都度プロジェクトチームを組成する。会社によっても異なるが、一人が同時に複数のプロジェクトを担当することもある。コンサルティングファームの中で、コンサルタントの職位は上から順に「パートナー」「マネージャー」「コンサルタント」「アナリスト」の4つに分類されるのが一般的だ。

コンサルタントの仕事
iStock/Thinkstock

通常、新卒コンサルタントはアナリストの職位からスタートし、おもに情報収集・分析と資料作成を担当する。ミーティングの議事録作成や先輩コンサルタントに同伴してのインタビュー実施なども重要な業務のひとつである。アナリストは職位こそ低い立場であるが、常に現場で生の情報と格闘していることもあり、彼らの「ひらめき」はプロジェクトにおいて重要視されることも多い。一般的にアナリストは2~4年でコンサルタントへ昇進する。

コンサルタントは主に問題解決の手段を決めることが職務である。プロジェクト全体において、ある一定範囲の業務をまとめて担当し、仮説の構築・検証作業を進めていく。各種ディスカッションを通じて、仮説の軌道修正も行わなくてはならない。そのため、セルフマネジメント能力が求められる。個人差は大きいが、平均的には3~4年程度でコンサルタントからマネージャーへ昇進する。

マネージャーはプロジェクト全体に責任を持つ立場である。

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要約公開日 2013.12.18
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