大前研一ビジネスジャーナル No.8

アイドルエコノミー~空いているものに隠れたビジネスチャンス~
未読
大前研一ビジネスジャーナル No.8
大前研一ビジネスジャーナル No.8
アイドルエコノミー~空いているものに隠れたビジネスチャンス~
未読
大前研一ビジネスジャーナル No.8
出版社
出版日
2015年12月25日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、グローバルな旬の情報をリアルタイムに知り、明日のビジネスのヒントを得るための格好の教科書、『大前研一ビジネスジャーナル』の第8号である。

今回扱うテーマの一つ目の柱は、この数年で世界を席巻し始めているアイドルエコノミーだ。アイドルとは「使われていない」「空いている」という意味である。タクシーや家、オフィススペース、専門家の空いた時間など、空きリソースを活用し、ヒト・モノ・情報をシェア・マッチングするビジネスモデルが台頭している。こうしたビジネスモデルの国内外の事例を挙げながら、成功要因や既存のプレイヤーが対抗する際のポイントを、マクロ・ミクロの視点から大前氏が一挙に解説していく。例えば、AirbnbやUber、Upwork、ラクスルなど、今をときめくサービスが数多く紹介されており、その分析を読むだけでも発想力が大いに刺激されるだろう。

テーマの二つ目の柱は、「クオリティ型農業国オランダから学ぶスマートアグリの最前線」である。小国ながら世界2位の農産物輸出を誇るオランダの農業にフォーカスし、日本の農業の問題点を探っていく。同時に、オランダの強みをうまく取り入れ、農業を競争力ある「産業」へとつくり直すための道筋が明らかになっていく。

本書は経営者向けセミナーの内容をもとにしているため、大前氏の講義さながらの臨場感も味わえる。次世代のビジネスモデルの潮流を知り、活路を見出すための羅針盤として、本書をフル活用してみてはいかがだろうか。

ライター画像
松尾美里

著者

大前 研一(おおまえ・けんいち)
1943年、福岡県若松市(現北九州市若松区)生まれ。早稲田大学理工学部卒業。東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。経営コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニー日本社長、本社ディレクター、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長等を歴任。94年退社。96~97年スタンフォード大学客員教授。97年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院公共政策学部教授に就任。 現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長。オーストラリアのボンド大学の評議員(Trustee)兼教授。 また、起業家育成の第一人者として、05年4月にビジネス・ブレークスルー大学大学院を設立、学長に就任。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開学、学長に就任。02年9月に中国遼寧省および天津市の経済顧問に、また10年には重慶の経済顧問に就任。04年3月、韓国・梨花大学国際大学院名誉教授に就任。『新・国富論』、『新・大前研一レポート』等の著作で一貫して日本の改革を訴え続ける。『原発再稼働「最後の条件」』(小学館)、『洞察力の原点』(日経BP社)、『日本復興計画』(文藝春秋)、『「一生食べていける力」がつく大前家の子育て』(PHP研究所)、『稼ぐ力』(小学館)、『日本の論点』(プレジデント社)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    インターネットの発達により、空いているものと、それを必要とする人を結びつけ、アービトラージで利益を得る経営戦略「アイドルエコノミー」が今後ますます重要になっていく。
  • 要点
    2
    企業は、機械や設備、店舗、オフィス機器、人材などを世界中のクラウドから調達するという発想を持ち、社内で使っていないものを活かす方法を考え出す必要がある。
  • 要点
    3
    選択と集中、クラスター化、高付加価値化、ハイテク化を進め、クオリティ型農業国へと進化を遂げたオランダの農業から、日本が学ぶべき点がたくさんある。

要約

【必読ポイント!】 空いているものに隠れているビジネスチャンス

新しい戦略「アイドルエコノミー」

大前氏は、経営に関する新たなキーワードとして「アイドルエコノミー」という考え方を提示している。

先進国ではものが溢れかえっている一方、その操業度が不足している。例えば日本では、空き家率は13.5%にも及び、この割合は増え続けている。こうした背景のもと、インターネットの発達により、空いているものと、それを必要とする人を結びつけ、アービトラージ(サヤ取り売買)で利益を得る経営戦略、名づけて「アイドルエコノミー」が今後活況を呈していくとされている。

シェアハウスなどのシェアモデルからさらに進化したアイドルエコノミーでは、自分でリソースを所有する必要がなく、固定費を抱え込まなくて済む。これまではメーカーが製造し、販売会社や代理店を通じて販売していた。しかし、今後はインターネットが代理店の役割を果たすようになる。

本章では、様々な業界の秩序を破壊していくプレイヤーを紹介していく。

ホテル業界に衝撃をもたらした「Airbnb」
dancestrokes/iStock/Thinkstock

アイドルエコノミーの代表格は、個人の空き部屋の貸し借りをネットで仲介する「Airbnb」である。Airbnbのビジネスモデルは、空き部屋を提供するホストと、宿泊で利用するゲストをつなぐことで、双方から手数料を得るというものだ。ゲストは実名やメールアドレスにより本人確認が義務づけられており、宿泊後は互いの態度を評価し合うという安心感から、ユーザーの支持を集めている。今や、個人の空き部屋がホテルの競争相手と化した。

日本にも、ビルの軒先や貸店舗などの「ちょっとしたスペース」を短期間貸し借りできる「軒先ビジネス」というマッチングサービスが存在する。

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要約公開日 2016.04.04
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