ヒップな生活革命

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ヒップな生活革命
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ヒップな生活革命
出版社
朝日出版社

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定価
1,034円(税込)
出版日
2014年07月10日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

トレンドに敏感な方は、すでに気づいているかもしれない。最近、アメリカに変化が起こりつつあることを。「デブで味オンチなアメリカ人」(!)というイメージを覆すような、おいしく健康的な食べ物が、次々に手に入るようになっている。大量生産でつくられた粗悪品でなく、顔の見える作り手が丁寧に作った服や家具を買う人も増えた。

著者は、長くアメリカに住むライターだ。現地で起こっていることを日本の雑誌「ブルータス」や「&プレミアム」へ寄稿してきた。ここ最近顕著である、そうしたアメリカの生活文化の変化を、ひとつの流れとして捉えてみようとしたのが本書である。

現在ニューヨークで主流になりつつある「ニュー・アメリカン」という素材料理、屋上農園の発達や食材流通システムの変化、個人による少量生産のブランドの数々など、主に食、ファッション、メディアを中心としたジャンルの事象が、多くの人へのインタビューとともに紹介されている。そして、その奥にある価値観の変化を、著者は「ヒップ」という言葉をキーワードとして、読み解いていく。

大量消費の時代の反動ともいえるような、この価値観の変化は、アメリカですでに始まっているが、日本とて例外ではない。どのようなものが市場でこれから求められるのかを考えていく上で、重要な示唆を得られる一冊だ。とくにものづくりに関わる方、マーケッターの方は、必読の一冊である。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

佐久間裕美子
ライター。1973年生まれ。1993年のスタンフォード大学短期留学中に、サンフランシスコでジャム・バンドの英雄ジェリー・ガルシアのライブを体験して、自由の国アメリカに暮らそうと決める。1996年に慶應義塾大学を卒業後、イェール大学大学院修士課程に進学。全米の危険な中小都市ランキング上位に入る都市で鍛えられる。1998年、大学院修了と同時にニューヨークへ。新聞社のニューヨーク支局、出版社、通信社勤務を経て、会社員生活に向いていないと自覚し、2003年に独立。2008年、ロバート・フランクの『アメリカンズ』刊行50周年へのトリビュートとして初めて全米を一周。サブプライム金融危機を受けて、インディペンデントのメディアを作りたいと、2012年に『PERISCOPE』を友人たちのグループと立ち上げる。2014年、東京五輪招致の請負人ニック・バーリーに取材して『日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力(NHK出版)を翻訳・構成。これまで、アル・ゴア元副大統領からウディ・アレン、ショーン・ペンまで、多数の有名人や知識人にインタビューした。『ブルータス』『&プレミアム』『ヴォーグ』『GQ』など多数の雑誌に寄稿する。

本書の要点

  • 要点
    1
    生活文化の新たな潮流が、ポートランド、ブルックリンといったリベラルな地域を中心に生まれている。政治社会や文化への先鋭的な嗜好をもった「ヒップスター」たちがその担い手だ。
  • 要点
    2
    近郊で産出される食材でつくられた食品が流行し、それらを手に入れる仕組みが整備されつつあるのは、ヘルシーな、自分の地域でとれたものを、責任ある食べ方で食べたいという価値観が広まってきたからである。
  • 要点
    3
    サブプライム危機前の消費至上主義への反動に加え、アメリカの伝統を見直し、地元のものを使いたいという価値観から、作り手の顔や思想がわかる少量生産のモノを買おうという消費者が増えつつある。

要約

【必読ポイント!】アメリカに生まれた変化の波

新しい文化の潮流

サブプライム危機に続くリーマン・ブラザーズの破綻により、アメリカは空前の大不況に見舞われた。職を失くす人、軽犯罪の被害に遭う人も増えた。真っ先に打撃を受けたのは文化だった。雑誌は休刊や廃刊が相次ぎ、レストランやライブハウス、ギャラリーも次々に閉店していった。

しかし、そうした状況が続くうち、「少しずつ何かが変わっていくのを肌で感じるようになった」、と著者は言う。大手のチェーンでない、インディペンデント系のおいしいカフェが増え、産地直送の新鮮な野菜が手に入るようになった。個人経営の本やレコードショップもふたたび息を吹き返した。

すべてが突然現れたわけではないが、ポートランド、ブルックリン、北カリフォルニアといったリベラルな地域を中心に、こうした変化が同時多発的に起きているという。

新しいアメリカ人――ヒップスターたち
©iStock/DavidCallan

こうした新しい潮流をつくっている人たちには、ある種共通の価値体系がある。

たとえば彼らは、コーヒーを飲むにも食材を調達するにも、大手のチェーンよりも地元の個人経営の店に行くことを好む。健康志向で、なるべく車に乗らない。古着や個人経営のブランドの服を着て、テクノロジーを操りつつも、自然を愛してアウトドアやガーデニングを楽しむ。政治社会への関心は強く、リベラル寄りの考えを持っている。

著者は彼らを、「ヒップ(hip)」「ヒップスター(hipster)」と呼ぶ。「ヒップスター」は、政治社会や、アート、食などの文化の嗜好における先鋭的なセンスと、反主流的な要素を持っているという意味がある。羨望や嫉妬もあってか、時代の流れとともに「ヒップ」はネガティブなニュアンスも含むようになってしまったが、それでも著者は、今変化を起こしているアメリカ人には「ヒップスター」の要素が確実にあると述べている。

ポートランド

ポートランドは、アメリカの北西部オレゴン州にある、中規模の都市である。この土地にある「ポートランド的価値観」は新しい潮流を形成するひとつの柱となっている。コーヒー業界の「サード・ウェーブ」を牽引する存在である、「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」や「コアヴァ・コーヒー・ロースターズ」というインディペンデント系のカフェはポートランドで生まれた。「サード・ウェーブ」とは、豆の仕入れや淹れ方など、各工程にこだわる、コーヒー通が好むようなグルメコーヒーの盛り上がりのことだ。

ポートランドは主流の文化とは遠く、北カリフォルニアのヒッピー文化の影響も受けていることから、独立の精神が強い。都市計画として市の規模は小さくとどめられ、周辺地域の農業や林業は守られてきた。一つひとつのブロック(街区)が小さく、

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