安倍官邸vs.習近平 激化する日中外交戦争

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安倍官邸vs.習近平  激化する日中外交戦争
ジャンル
著者
読売新聞政治部
出版社
新潮社
定価
1,650円(税込)
出版日
2015年12月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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安倍官邸vs.習近平 激化する日中外交戦争
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読売新聞政治部
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新潮社
定価
1,650円(税込)
出版日
2015年12月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
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おすすめポイント

ふだん政治の本を敬遠しがちな方も、国益をかけて繰り広げられるスリリングな外交劇に引き込まれ、ぐいぐい読み進めてしまうこと必至である。本書は、対中関係を主軸に据えて、近年の安倍晋三政権の外交を振り返る一冊だ。

中国は、経済面で陰りが見えているものの、依然として日本にとっての最大の貿易相手国である。しかし、領土問題、歴史認識の問題などでは緊迫したやりとりが続く。そして、中国の南シナ海での軍事基地建設やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立は、国際秩序におけるパワーバランスを積極的に変えようとする姿勢の表れ、と、とくに日米は警戒を募らせている。

中国との「力の均衡」と「共存共栄」の両立を目指そうという意識は、米国はじめ、韓国やロシア、東南アジア諸国やオーストラリアとの外交にも大きく影響している。中国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)は直接的にそのことを示すものである。さらに、集団的自衛権の限定的行使を柱とした安全保障法関連法の成立、戦後70年談話など、内政においてもその影響は大きい。

本書は、読売新聞が記事作成のために、政府高官や外交官ら多くの関係者に取材した膨大なメモがもとになっている。各国との駆け引きや安倍の思惑などが浮き彫りにされ、政治的イベントがストーリーとして提示されているため、相互に絡まりあった経済、外交・安全保障、歴史問題といういくつもの課題と、その対処策を、動的な集合体として俯瞰できるだろう。

一人の大人として政治を評価できるようにするためにも、ぜひ一読をおすすめする。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

読売新聞政治部

本書の要点

  • 要点
    1
    領土問題や安倍の靖国参拝などで冷え切った日中関係は、2014年11月に日中首脳会談が実現したことから、最悪の状態を抜け出したといえる。
  • 要点
    2
    中国は、南シナ海において実力行使で軍事基地を建設し、自ら主導する国際金融体制を築くべくAIIBを設立させた。日本は環太平洋各国と安全保障上の連携を強め、安全保障法制度の改革にも踏み切った。さらに、日米は中国抜きでTPPをまとめたが、中国の勢いは大きい。
  • 要点
    3
    戦後70年の首相談話は、安倍カラーが抑えられ、「お詫び」や「侵略」を盛り込んだ内容となり、結果として、中韓の軟化姿勢を促した。

要約

日中交流の再開

笑顔なき首脳会談
Kagenmi/iStock/Thinkstock

2014年11月、およそ3年ぶりとなる日中首脳会談が開かれた。じつはこの直前の日中関係は、国交正常化以来最悪と言われるほど冷え切っていた。中国が「領有権」を主張する沖縄県・尖閣諸島を、日本が国有化したことが最初の火種となった。そこへ拍車をかけたのが2012年末に首相の座に返り咲いた安倍の靖国参拝だった。

この対立は、それまで順調だった経済関係さえ冷え込ませた。尖閣諸島周辺でも日中の緊張が高まり、安全保障面で不測の事態が起こる可能性も懸念され、関係改善の必要性は増していった。

その頃から、安倍は各所での演説において、中国との関係について、「友好関係を築いていく」という言葉を使うようになった。安倍の態度の変化に敏感に反応した中国側に、谷内正太郎国家安全保障局長らは、秘密裡に接触を試みていた。尖閣諸島問題の譲歩はせず、関係改善に向けた話し合いを実現するという任務を負い、彼らは交渉を続けた。

そうして、両政府は双方が受け入れ可能な文書を事前にまとめあげ、ようやく首脳会談が決まった。北京で行われた会談前の写真撮影で、話しかけた安倍から習近平国家主席は不機嫌そうに顔を背けた。両首脳が仏頂面で握手を交わした異様な写真は、内外に波紋を呼んだ。

会談では尖閣諸島問題も靖国参拝も直接ふれられることはなかったが、話し合いの継続が合意された。会談終了間際、習の表情は別人のように穏やかだったという。安倍は、13億人の国民から注視されている習の立場を察した。

衆院解散、そしてその後の日中関係

日中首脳会談の実現は、じつは、安倍にとっては衆院解散のための布石でもあった。

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