イノベーション・ファシリテーター

3カ月で社会を変えるための思想と実践
未読
イノベーション・ファシリテーター
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3カ月で社会を変えるための思想と実践
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イノベーション・ファシリテーター
出版社
プレジデント社

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出版日
2015年05月16日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

環境問題、エネルギー問題、教育、福祉、町づくり。ビジネスのあり方、人々の生活スタイルが大きく変化する現在、解決すべき社会課題は複雑化し、テーマも多岐にわたっている。こうした課題は、個々の企業・団体が単独で考えているだけでは、なかなか解決できないだろう。

そこでカギを握るのが「イノベーション・ファシリテーター」の存在だ。問題意識をもった「当事者」の想いを汲み取り、ステークホルダーが創造的な対話を通じて、新たな関係とアイデアを生み出し、協力して行動できるよう、「フューチャーセッション(未来を創る会議)」を開く。そして人々の関心を集め、問題意識を呼び起こし、「何とかしたい」という気持ちを引き出していく。自治体、企業、市民、NPO法人などが組織の垣根を越えて意見交換をすることで、これまでにないアイデアが生まれるという効果が期待できる。

本書は、イノベーション・ファシリテーターの役割と目的を丁寧に解説した入門書だ。フューチャーセッションを開く手順や、セッションの目的に合わせた対話の手法やアウトプットの仕方などについても豊富な具体例が掲載されている。イノベーション・ファシリテーターの思想と実践をつかむのにピッタリの一冊だ。

対話で社会を変えるきっかけを作るイノベーション・ファシリテーター。対話の重要性が高まる今、その活躍の場はますます増えていくにちがいない。ビジネスでもそれ以外の場でも、対話による変革者をめざす方にぜひ本書を手に取っていただきたい。

著者

野村 恭彦(のむら・たかひこ)
フューチャーセッションズ代表。富士ゼロックスを経て、企業、行政、NPOを横断する社会イノベーションをけん引するため、2012年に独立。金沢工業大学教授(K.I.T.虎ノ門大学院)。国際大学GLOCOM主幹研究員。慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。著書に『サラサラの組織』(共著/ダイヤモンド社)、『裏方ほどおいしい仕事はない!』『フューチャーセンターをつくろう』(ともにプレジデント社)。翻訳監修書に『コミュニティ・オブ・プラクティス』(翔泳社)、『ゲームストーミング』(オライリージャパン)、『シナリオ・プランニング』(英治出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    社会を取り巻く課題が多様化、複雑化する中で、新しいアイデアやプロダクトを新しい方法で世の中に提供して、社会に変革を起こそうとする人々を支援し、うまくことが運ぶように舵取りする人をイノベーション・ファシリテーターと呼ぶ。
  • 要点
    2
    イノベーション・ファシリテーターの役割は、今までつながりのなかった人同士を結びつけ、フューチャーセッションという対話の場を通じて新たな人間関係を作ることである。
  • 要点
    3
    本書では、フューチャーセッション開催に向けての流れと、ステップごとの留意点や、対話を深めるための手法が紹介されている。

要約

【必読ポイント!】 イノベーション・ファシリテーターとは?

果たすべき役割
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

一般的にファシリテーターというと、会議の進行役という意味合いで使われることが多い。一方、「イノベーション・ファシリテーター」の定義は、「新しいアイデアやプロダクトを新しい方法で世の中に提供して、社会に変革を起こそうとする人々を支援し、うまくことが運ぶよう舵取りする人」である。

これまで企業や団体は、単独でそれぞれの課題に取り組んできた。しかし、グローバル化が進み、社会における解決すべき課題は複雑化し、そのテーマは多岐にわたっている。従来の枠組みを越え、異なる立場の人々が課題を共有し、対話を通じて解決策を考えていくことが、必須となっている。

そこで注目されているのが、「イノベーション・ファシリテーター」である。彼らがめざすものは、達成したい社会的な課題に対して、課題の当事者およびその関係者、つまりステークホルダーたちの関係に変容を生み出すことである。ある社会課題に対し、多様な立場の人が、一緒に多角的な角度から眺めることで、これまで気づかなかった新たな視座を得ることができるのだ。

イノベーション・ファシリテーターは、イノベーションを起こすために、ステークホルダーを集めたフューチャーセッションを開催する。フューチャーセッションとは、未来に向けた問いかけについて多様な参加者が対話し、相互理解と信頼関係を築く中で、新たなアイデアを生み出し、協調してアクションを起こしていく場である。参加者たちが互いの違いから生じる葛藤を乗り越え、関係に変容が起きると、既存の発想を越えた新たなステージに駆け上がることができ、それがイノベーションの引き金となる。セッションにおいて、イノベーション・ファシリテーターは、好奇心を発揮して当事者の話を深掘りし、本質的な想いを引き出していくことが求められる。その際、フュー

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要約公開日 2016.04.07
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