ENIAC
現代計算技術のフロンティア

未 読
ENIAC
ジャンル
著者
ThomasHaigh MarkPriestley CrispinRope 土居範久(監修) 羽田昭裕(訳) 川辺治之(訳)
出版社
定価
5,940円
出版日
2016年06月10日
評点(5点満点)
総合
3.5
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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レビュー

ENIAC(Electronic Numerical Integrator and Computer)は、世界初のプログラム可能な汎用電子計算機として知られている。1943年に構想され、45年に完成したものの、その10年後には解体されてしまい、その短い歴史に幕を閉じてしまった。そのため、今日でENIACが取り上げられるとすれば、開発者らによる特許紛争や、本当にこれが最初のプログラム可能な計算機だったかをめぐる論争という文脈が主であった。

しかし、本書はあらためてENIACを歴史的に重要なものとして位置づけ、ENIACの構想から廃棄にいたるまでの物語をきわめて丁寧に描き出している。本書のスタンスは、ENIACに携わった数多くの人々の記録をできるかぎり広く集めることで、デジタル電子計算機の黎明期がどのようなものであったかを多角的な視点から明らかにするというものだ。そのため、ここに登場するのは著名な数学者や科学者ばかりではない。陸軍行政官から、ENIACを実際に組立て、プログラムした技術者、さらにはENIACの操作に関わった人々までスポットが当てられている。

ENIACが実際に稼働していた時間は短いが、その後の世の中に与えた影響はとてつもなく大きい。私たちの生活を支えるテクノロジーの出発点の1つがここにある。テクノロジーに携わる方、知的好奇心が旺盛な方に、とりわけ一読をお薦めしたい。

石渡 翔

著者

監修者
土井 範久(どい のりひさ)
1964年 慶應義塾大学工学部管理工学科卒業。慶應義塾大学理工学部教授、中央大学理工学部教授などを経て、
現在 慶應義塾大学名誉教授。工学博士。
主な著訳書:『オペレーティング・システムの機能と構成』(共著、1983年、岩波書店)、『基礎C言語』(1991年、岩波書店)、『情報セキュリティ辞典』(監修、2003年、共立出版)、『オペレーティングシステムの概念』(Silberschatz 他著、監訳、2010年、共立出版)、『相互排除問題』(2011年、岩波書店)

訳者
羽田 昭裕 (はだ あきひろ)
1984年 一橋大学社会学部社会理論課程卒業。日本ユニシス株式会社先端技術部長などを経て、
現在 同社総合技術研究所長。国立情報学研究所客員教授。

川辺 治之(かわべ はるゆき)
1985年東京大学理学部卒業。
現在 日本ユニシス株式会社総合技術研究所上席研究員。
主な著訳書:『Common Lisp 第2版』(共訳、共立出版)、『Common Lisp オブジェクトシステム―CLOSとその周辺―』(共著、共立出版)、『数学で織りなすカードマジックのからくり』(訳、共立出版)、『数学探検コレクション 迷路の中のウシ』(訳、2015年、共立出版)

本書の要点

  • 要点
    1
    ENIACは戦時中、弾道計算をするために考案された。
  • 要点
    2
    設計段階で最も困難だったのは制御方法の決定だった。この時書かれた概略図が、電子計算機のために書かれた最初のプログラムだと言われている。
  • 要点
    3
    ENIACの最初のオペレータである6人は全員女性だった。当時の女性にとって、応用数学の分野はまずまず高い地位を獲得できるチャンスがあると考えられていた。
  • 要点
    4
    1950年代初頭まで、ENIACは米国で最も強力な計算機として知れ渡ったが、その栄華は長く続かなかった。1955年、ENIACは静かにその役目を終えた。

要約

ENIACはなぜ生まれたのか

戦争がENIACの開発を加速させた
KaraGrubis/iStock/Thinkstock

ENIACの発明には多くの人間が関わっているが、広く発明者と認められているのは、アーサイナス大学の物理教師だったジョン・ウィリアム・モークリーと、ペンシルベニア大学の大学院生だったジョン・プレスパー・エッカートJr.である。2人は1941年、ペンシルベニア大学のムーアスクール電気工学科による、戦争に向けて科学者たちを再教育することを目的としたサマープログラムで出会った。

1940年代は電子工学の研究が進んだ時期だが、それは戦争と無関係ではない。1941年9月、モークリーは戦争関連のプロジェクト支援に向けて学部を再組織化するために、ムーアスクールで働き始めることになった。ムーアスクールは近郊にある、あらゆる種類の兵器を科学的に研究する弾道研究所と共同研究をしていた。1943年4月に承認されたENIACの提案書は、そのような環境下で作成された。

弾道研究所はENIACの開発が、射表作成に関する数学的研究に大きく寄与するという期待を抱いていた。大砲の射手が数マイルも先の目標に照準を合わせるためには、補正表を用いて、弾薬の温度、砲身の傾き、角度などの変数に対する補正を行わなければならず、すべての種類の弾道の射表を作成するために、個々の弾道を計算する必要があった。そして、モークリーたちの提案書は、弾道計算の作業速度を飛躍的に上げることができると評価されていた。

最も困難で重要な課題
maciek905/iStock/Thinkstock

ENIACを設計するにあたり、最も困難で重要な解決すべき問題は

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ENIAC
未 読
ENIAC
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産業・業界 テクノロジー・IT
著者
ThomasHaigh MarkPriestley CrispinRope 土居範久(監修) 羽田昭裕(訳) 川辺治之(訳)
出版社
共立出版 出版社ページへ
定価
5,940円
出版日
2016年06月10日
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