知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生

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知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2015年11月12日
評点
総合
4.0
明瞭性
5.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

少しでも経済的な自由を手に入れようと思えば、ある程度の経済の知識のベースが必要なことは明らかである。今や、身近な雇用や年金ですら、国や専門家にまかせていれば安心という時代は終わり、自立と自己責任が求められている。そんな時代に、経済は専門家の領域という考えで遠ざけ、間違った知識を持ったままでいれば、思わぬ損をすることになりかねない。

著者は38年間にもわたる証券会社でのキャリアにおいて、3万人以上の顧客にお金のアドバイスをしてきた。さらに、「経済とおかね」に関する授業やセミナー、講演を継続的に続けており、いわば経済の知識ついてわかりやすく伝えるプロである。本書にもその蓄積が反映され、家を買うとき/借りるときについて、最近流行のふるさと納税についてなど、私たちの生活に身近な事柄を題材にしながら、経済合理性や税金の仕組みなどの「経済とおかね」のトピックが平易な言葉で説明される。

投資、金利や為替、社会保険など、難解そうなトピックについては、つい苦手意識をもってふだん敬遠してしまう方もいらっしゃるだろう。だが、本書のページをめくってみることで、その意識が払拭されることは請け合いだ。改めて生活の組み立てを見直してみたくなるかもしれない。ぜひ、幅広い世代にご活用いただきたい一冊である。

ライター画像
林加奈子

著者

大江英樹
経済コラムニスト。
大手証券会社で長年個人の資産運用相談を担当し、接したお客様は3万人以上。さらに確定拠出年金制度に加入する人たちへの「経済や投資の基本テキスト」などのコンテンツを制作、累計40万人以上に「経済とおかね」に関する授業を開催してきた。
現在は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という信念のもと、経済やおかねの知識を伝える活動をおこなっている。年間100回を超える講演やテレビ出演、雑誌や新聞などへの執筆活動では、その語り口とわかりやすさに定評がある。CFP 、日本証券アナリスト協会検定会員。
主な著書に、『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版社)、『生命保険の嘘』(共著、小学館)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    投資においては、大きなリスクをとると、損得のブレ幅も大きくなる。リターンはコントロールできないが、リスクは分散投資によって、運用コストは税金や手数料のマイナスの少ないものを選ぶことによってある程度コントロールできる。
  • 要点
    2
    金融においては、直接金融/間接金融という形態の違い、株式/債券という調達方法の違いがある。金利は需給関係と借り手の信用度によって変動する。
  • 要点
    3
    業界情報や景気、金利の水準などについて、常に関心を持って情報を収集し、自分で何かを判断するときの材料とすることが大切だ。

要約

人生で損をしないために

経済学の目的とは

経済学が対象としているのは、貯蓄、消費、投資、労働といった私たちの生活そのものだ。家庭や会社、地方自治体、国など、目的を持ってこのような経済活動をおこなうものは、「経済主体」と呼ばれる。世の中は、それぞれに利害が相反することもある「経済主体」が複雑に絡み合ってできている。

経済学を、著者は、「社会において、限られた資源(お金や時間)を有効に活用することで、人々がしあわせになるにはどうすればよいかを研究する学問」と定義する。個人としても、自分がどういう経済的選択をすればしあわせになれるかを考えることはとても大切なことである。

機会費用とサンクコスト
chochowy/iStock/Thinkstock

ただ、個人の「選択」は、経済の基本知識がなかったり、誰もが陥る心理的な罠にはまってしまったりすると、容易に間違えてしまう。以下の例を考えてみてほしい。

何かを選ぶべきときに、必ず考えておきたいのが「機会費用」だ。その行動を選択しなかったら、どれだけの利益が得られたかということが「機会費用」の意味である。

「大学へ行くことの機会費用」とは、大学へ行かずに四年間働いたらどれくらいの収入を得られるのか、ということである。

また、選択の際に絶対に考えてはいけないのが「サンクコスト」だ。「サンクコスト」とは、すでに費やしていてもう戻らない費用のことである。映画を観るときを例に挙げると、入場料がサンクコストにあたる。つい、人は、入場料を払ったのだからといって、つまらない映画を観続けてしまうが、既に払ってしまったお金のことは振り返らず、途中で映画館を出てしまったほうが時間を有効に使えるのである。

消費について

お金を使えば給料は増える?

世の中の経済の状況、景気を示す指標の一つであるGDPは、「ある年に一国全体で生み出される付加価値の合計」である。

あるケーキ屋が材料を20万円で仕入れ、ケーキを作って100万円の売り上げを得たなら、80万円はケーキ屋が新たに生み出した価値、つまり付加価値となる。この付加価値は、ケーキ屋の粗利益と等しく、粗利益は従業員やオーナーの所得となる。そう考えていくと、GDPは一国の国民全体の所得だとおおざっぱに見ることもできる。GDPの増減は、国民の収入の増減を表しているものとして見られるのだ。

日本のGDPのうち、最も多い

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要約公開日 2016.04.29
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