著者によると、今から20年後には年金額が3割ほど減る可能性が高いという。受給開始年齢を現行の65歳から68歳に引き上げるという議論もなされており、公的年金への不安に拍車をかけている。公的年金制度自体はなくならないが、年金財政は現状の仕組みのままでは非常に厳しいものになるだろう。公的年金だけでは賄えない資金を補うために、個々の受給者にも何かしらの備えが必要である。
確定給付型の年金は、もらえる年金額が当初から確定していて、保険料や掛け金が変動する仕組みである。公的年金の厚生年金、国民年金、共済年金、ほかに厚生年金基金、確定給付型の企業年金、国民年金基金の3種類がある。一方、確定拠出型の年金は、加入者が拠出金(掛け金)を確定し、その積立金の運用も加入者が判断して行う。そのため、運用によって年金額が変動する、自己責任による年金だといえる。
企業年金を「確定給付型」から「確定拠出型」に移行する企業が増えている。その理由は、企業の財務会計に関する「国際会計基準」が厳しくなっているからだ。確定給付型は企業の責任で運用して所定の年金を払うが、うまく運用できずに年金の支給が難しくなると、企業などが不足分を補てんしなければならない。会社員にとっても、今後は自助年金の必要性が大きくなる。
また、自営業であれば、国民年金だけでは老後の資金が不足することは明らかである。不足分は、「確定拠出型の個人年金」と「財形年金貯蓄」を自ら運用することで補っていくしかない。
準公的個人年金は、「国民年金の付加年金」「国民年金基金」「個人型の確定拠出年金」「財形年金貯蓄」「農業者年金基金」の5つの制度から成る。これらは、加入できる制度が属性別に限られ、加入できても加入用件が異なり、手続きや転職時における積立金の持ち運びなどに問題がある。準公的個人年金に加入できそうな人は、現在4600万人だが、実際に加入しているのは約360万人である。
準公的年金を利用する際は、最初は給与天引きや口座振替による積み立てが効果的である。
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