99%の社長が知らない銀行とお金の話

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出版社
出版日
2015年11月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

銀行側が知られたくないと思う裏話がここぞとばかりに書かれているために、とある銀行の支店長からは『有害図書』とまで呼ばれていると聞くと、どんな本を想像するだろうか。本書は、「ダスキン」の名で有名な清掃事業を手掛ける株式会社武蔵野の社長小山昇氏が、何十年にもわたる経営経験をもとに銀行との交渉術を余すところなく書いたものである。本書では、世間一般には知られていない「銀行の本音」のほか、株式会社武蔵野が実際に掲げている資金運用に関する方針や、これまでに小山氏が経営指導を行った会社の実例などが多数盛り込まれており、経営者とって必読の内容ばかりである。

「融資を受ける=借金を背負う」というイメージから、融資はできるだけ受けない方がよいのではないかと考える人もいるだろう。しかし、小山氏によると、融資の話があれば仮に今、手元に資金が潤沢にあったとしても、お断りせずさらに借入れを行う(つまり借金額を増やす)のが正しいという。もちろんこれにはちゃんとした理由がある。資金繰りがうまくいっている時ほど借入れを行い、銀行と良好な関係を築いておくことで、万一、経営が悪化しても融資してもらうことができるからだ。また、借入れには節税効果があり、決して「借金=悪」ではない。

「社長の無知は犯罪である」とまで言い切る小山氏の主張は、いささか耳の痛い話であるかもしれないが、終始小気味の良いテンポで繰り広げられる銀行と経営にまつわる話は、我々の常識を良い意味で覆してくれるはずだ。

ライター画像
和田有紀子

著者

小山 昇
株式会社武蔵野 代表取締役社長。
1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育てる。
2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開。550社以上の会員企業を指導しているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回の講演・セミナーを開いている。
1999年度「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、04年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。2000年、2010年には「日本経営品質賞」を受賞している。
本書は、2010年に出版した『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(あさ出版)に続く、自身の銀行交渉のノウハウを、余すところなく公開した待望の1冊。前作は、複数の金融機関で研修用テキストとしても使われているほか、「銀行の担当者に渡したら融資が決まった」などの“伝説”も多い。
他にも『増補改訂版 仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)、『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』(ダイヤモンド社)など、著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    会社経営においては、無借金経営は善ではなく、借金をしないことの方が罪である。借金をしなければ事業を拡大できないうえに、資金繰りに窮して会社を潰すようでは本末転倒だからである。
  • 要点
    2
    銀行と良きビジネスパートナーとしてWin-Winの関係を築いてこそ、窮地で助けてもらうことができる。
  • 要点
    3
    銀行は会社の黒字額を見て融資を決めるわけではなく、赤字であってもきちんと資金繰りを行うことができ、確実に返済してもらえる会社にお金を貸し出す。

要約

【必読ポイント!】 銀行から借入れを行い持続可能な会社を作る

無借金経営=善ではない! 借入れのメリット

一般的に、無借金経営を良しとする向きがある。しかし、銀行からの借入れは会社を安定的に継続させるためにも、事業を拡大するためにも必要不可欠なものである。というのも、借入れを行わず自社の利益だけで経営資金を賄おうとすると、資金繰りに奔走することになり、事業に専念できず、会社を成長させることが難しくなってしまう。たとえ黒字を計上していても資金がショートしてしまうことがあるからである。

また、変化の激しい時代においては、利益が出てから新たに投資をしていてはライバル会社に先を越されることになりかねない。そもそも、普段から借入れを行っていない会社が突如融資の申し入れをしたところで、銀行側は取引実績を重視するため、融資することを警戒するだろう。こうした理由から、経営状態の良好なときから積極的に借入れを行い、事業を拡大していくのが正しい経営方法である。

良きビジネスパートナーであるために
phototechno/iStock/Thinkstock

このように、中小企業にとって銀行との関係は不可欠なものであり、良きビジネスパートナーとしてうまく付き合っていくことが重要である。そのため、中小企業の経営者が自社に都合のよい要求をし、銀行の信頼を裏切るのは決して得策ではない。銀行員の事情を鑑み、銀行が喜ぶことを行い、普段から良好な関係を築いていれば、いざというときに銀行は支援してくれるし、良い条件で融資してもらうことができるのである。

では具体的に、銀行が喜ぶこととはどのようなことだろうか。その一部を紹介する。

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要約公開日 2016.04.25
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