やり直し・差し戻しをなくす できる人の準備力

未読
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やり直し・差し戻しをなくす できる人の準備力
著者
出版社
出版日
2016年04月27日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

上司から仕事を頼まれた。素早く仕上げて提出したが、上司の反応は芳しくない。「こうじゃないんだ」と、やり直し・差し戻しが発生する。多くのビジネスパーソンが一度は経験したことがあるのではないだろうか。

本書は、ブックライターとして著名人インタビューや書籍執筆を数多く手がけている上阪徹氏が、そのような失敗を繰り返さないために心得ておきたい仕事の秘訣を、余すところなく綴ったものである。著者は、成功者へのインタビューを重ねるうちに「彼らには共通点がある」と気づいた。謙虚であり、丁寧であり、そして徹底した準備を行うことである。

著名なアートディレクターは、デザインというアウトプットに導くために緻密なロジックを徹底的に積み上げる。なぜその色で、どうしてこの曲線を使うのか、なぜこの位置にこのロゴがあるのか。クライアントとコミュニケーションを重ね、周到な準備の末に、ようやく最後にひとつのデザインを生み出すのだそうだ。単純に「美しいデザインをすればよい」ということではないのだ、と著者は驚かされたという。

準備によってもたらされるメリットは、やり直し・差し戻しによる時間や労力のロスだけではない。できる人ほど丁寧な仕事をしており、それは確実に仕事相手に良い印象を与える。そして仕事も上手くいく。その丁寧な仕事に欠かせないのが周到な準備なのだ、と著者は説く。「クオリティの高いアウトプット」のためには、準備にどのようなプロセスや意識が必要なのか、本書でじっくりと学んでいただきたい。

ライター画像
下良果林

著者

上阪 徹(うえさか とおる)
1966年兵庫県生まれ。89年早稲田大学商学部卒。リクルート・グループなどを経て、フリーランスのライターとして独立。経営、経済、就職など最先端のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論をわかりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超え、自らが聞き出した成功者のエッセンスを伝える講演活動も行う。
著書に『ビジネスマンのための 新しい童話の読みかた』(飛鳥新社)、『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス』(日経BP)など。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品も60冊以上に。累計40万部のベストセラーになった『プロ論。』など、インタビュー集も多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    仕事にとりかかる前にその「目的」と「ターゲット」を確認するべきである。これを怠ると、やり直し・差し戻しに余計な時間や労力がかかってしまうことになる。
  • 要点
    2
    仕事の依頼者のアウトプット(成果物)イメージを確認し、依頼者の希望する形でのアウトプットを心がける。もし依頼者のアウトプットイメージが曖昧な場合は一緒にイメージを固めて共有する必要がある。
  • 要点
    3
    自分の主観だけでアウトプットせず、客観的な情報も交えて、アウトプットする情報の立ち位置を考えることが大切である。

要約

アウトプットに取りかかる前に

仕事の目的を確認する
Hemera Technologies/AbleStock.com/Thinkstock

「準備」という言葉から多くの人が思い浮かべるのは、資料作りのための素材集め、顧客への企画書作成のためのデータ収集、といったことだろう。しかしその前に、忘れてはならない「準備」がある。それは「仕事の目的を確認する」ということだ。これを怠ると、的外れな情報素材を集めてしまったり、顧客の役に立たない企画書を作ってしまったりなど、やり直し・差し戻しに余計な時間を要する羽目になる。

だが、すべての依頼者が仕事の目的を事前に伝えてくれるとは限らない。仕事をするうえで大切なのは「相手が求めることに応えること」であり、それが何なのかを探る力が不可欠だ。そして依頼者の目的が曖昧な場合は、一緒になってはっきりと定めていく、という姿勢が重要なのだ。

著者が、雑誌の仕事である有名な俳優兼ミュージシャンをインタビューしたときのことだ。雑誌の読者層は60代が中心で、取材対象の男性は当時40歳を間近に控えていた。雑誌がこの男性を誌面に登場させる狙いは「彼と同世代の若い人に手に取ってもらい、将来の読者となり得る層を新規開拓したい」というもの。この目的を確認せず、ただメインターゲットである60代向けに記事を作っていたなら、依頼側の意図するものとはならなかっただろう。

仕事にはすべて目的があり、目的があるから仕事が生じる。これに気づかず言われたとおりの作業をこなすだけの人は、ピント外れの仕事しかできない。すべての仕事は、その目的の確認から始めるべきである。

仕事のターゲットを意識する

次の準備は、「ターゲットを理解する」である。すなわち、「その仕事は誰のためのものか」を意識することである。この際に注意するべきは、「発注者がその仕事のターゲットとはならない、ケースがある」ということである。例えば、著者はライターであり、発注者は出版社の編集者だが、ターゲットは読者である。この場合は、依頼した編集者のためではなく、読者にとって「役に立つ」「面白い」と思ってもらえることが大切になる。逆に、編集者のために仕事をして気に入ってもらえたとしても、読者の支持が得られないものが仕上がったとしたら、本来の目的を達成できず本末転倒となってしまう。

これは、編集やライターの仕事に限らず、すべての仕事に置き換えることができる。ある秘書職の女性は、日常的な会議資料の作成でもターゲットを必ず意識するという。彼女は、事前に会議の出席者を確認する。部長クラスの集まりか、社長・会長クラスの集まりかで資料の作り方が異なるのだ。出席者が社長・会長クラスの場合は、年齢による視力の衰えを考慮し、資料の文字サイズを通常より大きめにする。このような些細なことでもターゲットを意識すると、行動の一つひとつを変えていくことに繋がるのである。

【必読ポイント!】 できる人の「仕事のプロセス」

アウトプットイメージを共有する
Halfpoint/iStock/Thinkstock

3つ目の準備は、「アウトプットイメージを依頼者と共有すること」である。最終的な仕事の仕上がりイメージを依頼者と共有できていないと、仕事はうまくいかない。

例えば上司から「部内で打合せするためのデータをまとめて欲しい」と指示があったとする。

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要約公開日 2016.08.27
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