flier_logo
ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから
ニュースで学べない日本経済の表紙

ニュースで学べない日本経済


本書の要点

  • 日本企業が活路を見出すには、「人口ボーナス期」にある新興国に注目すべきだ。特に、6億人規模となる東南アジアの新しい経済共同体AECには、期待が高まっている。

  • モノが広く普及していても、その使用頻度は低い。空いているもの、使っていないものと、それを必要としている人とをネットを介してマッチングさせるサービスが注目されている。

  • 老後への不安から、日本の消費マインドは凍てついてしまっている。国は国民に対し安心感を与え、安心してお金をつかえる環境を整えるべきである。

1 / 4

世界経済の3つのリスク

中国経済の減速が引き起こす悪影響

AlexLMX/istock/Thinkstock

中国は、自国の経済成長率を7%前後に引き下げ、生産・投資主体の高度成長経済から消費主導の経済、いわゆる「新常態(ニューノーマル)」に入ったと言っている。しかし、中国がこの先本当にこのニューノーマルを維持できるかは、まったく分からない。中国経済の減速が世界経済に及ぼすマイナスの影響は、想像以上であり、3つのチャネルを介して世界へ波及すると考えられる。

ひとつは貿易である。中国向けの輸出減少が景気を下押しする。中国の貿易相手は、どこも中国の10%成長を織り込んで自国の経済を成長させてきた。特に対中依存度が高いアジアやアフリカへの影響は大きい。

つぎは資源である。中国の資源需要が減少するという観測から資源価格が下落し、その影響で資源国の所得も減少させるだろう。中国の鉄鋼(粗鋼)生産キャパシティは8億トンあるが、需要はその半分、4億トンしかない状況だ。余剰の4億トンをダンピングされたら世界中の鉄工所が危機に瀕することになる。イギリスは中国の鉄をかなり買っているが、スコットランドの鉄工所が既にひとつ閉鎖に追い込まれている。

3つ目は金融面だ。通貨安に伴う債務負担増やインフレ圧力、株安によるマインドの悪化が懸念されている。かつて中国で不動産バブルがはじけたとき、政府に「株で稼げ」と言われ、一斉に資金が株式市場に流れ込んだ。ところが現在は株価が下がり、非常に不安定で危うい状況にある。

アメリカの利上げによる一極繁栄

アメリカの経済は比較的好調である。失業率は5%まで下がり、月々の新規雇用は20万人を超えている状況だ。そこでFRB(連邦準備制度理事会)は金融緩和を終了して、政策金利を上げることを決定した。日本やヨーロッパはまだ金利を上げられる状況にないので、この利上げによりアメリカに資金が流入することが予想される。

その結果、アメリカのみが景気回復して、世界経済を潤すことはないだろう。むしろ新興国からの資金流出などマイナスのインパクトが心配される。世界を巻き込まないアメリカの一極繁栄が何をもたらすのか。大きな不安定要因である。

地政学リスク

現在は世界のいたるところで地政学リスクは存在するが、もっとも注目すべきなのは「イスラム国(IS)の勢力拡大」だろう。

ムハンマドの後継者を名乗るバグダディが作った疑似国家ISは、占領した施設を活用した石油の販売、美術品の闇売買、人質を取り身代金を要求するなどにより、年間500億~600億に上る収益があると言われている。こうした収入が続く限りは、疑似政府を維持することは可能である。また世界的なネットワークを構築していて、どこでもテロを起こす可能性がある。このISによるリスクはしばらく続いていくだろう。

2 / 4

好調な市場はどこにあるのか

「人口ボーナス期」国家に注目せよ

DigtialStorm/iStock/Thinkstock

中国経済が減速し世界経済に悪影響をおよぼし、人口減から国内市場が先細る中、日本企業が活路を求めて進出すべき国はどこか。40年前の日本と同じような、労働力増加率が人口増加率を上回り、経済成長にプラスに寄与する「人口ボーナス」がある国だ。人口が多く、人口増加率も高い新興国で比較的政情が安定している国にはチャンスがある。

例えばフィリピンは、国民の大多数はカトリック信者で、堕胎ができないこともあり、2055年頃までは「人口ボーナス期」が続くといわれている。日本企業はそのような国を第2の日本ととらえ、現地に腰を据え、そして地道に市場開拓をしていく必要がある。

そしてこれらの国では、わざわざ新しい仕掛けをせずとも、これまでのビジネスで十分商売ができる可能性がある。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2553/4060文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2016.11.19
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

大前研一ビジネスジャーナル No.10
大前研一ビジネスジャーナル No.10
大前研一(監修)good.book編集部(編)
<わたし>は脳に操られているのか
<わたし>は脳に操られているのか
エリエザー・スタンバーグ太田直子(訳)
アイデアは交差点から生まれる
アイデアは交差点から生まれる
フランス・ヨハンソン幾島幸子(訳)
ビジネスモデルの教科書【上級編】
ビジネスモデルの教科書【上級編】
今枝昌宏
貨幣の「新」世界史
貨幣の「新」世界史
カビール・セガール小坂恵理(訳)
IoTビジネス入門&実践講座
IoTビジネス入門&実践講座
荻原裕白井和康
オラクル流 コンサルティング
オラクル流 コンサルティング
キム・ミラー夏井幸子(訳)
ビジネスを「先読み」する人の日本経済史の読み方
ビジネスを「先読み」する人の日本経済史の読み方
小宮一慶

同じカテゴリーの要約

大阪ビジネス
大阪ビジネス
大野雄斗
咲良は上手に説明したい!
咲良は上手に説明したい!
滝沢志郎
地域と人口減少の経済学
地域と人口減少の経済学
小峰隆夫
ベインキャピタル
ベインキャピタル
ベインキャピタル
ウケる現場のつくり方
ウケる現場のつくり方
サバンナ 八木真澄営業-1グランプリ製作委員会
読書スタディーズ
読書スタディーズ
桜井政成
ユニクロ
ユニクロ
杉本貴司
ケーキの切れない非行少年たち
ケーキの切れない非行少年たち
宮口幸治
両利きの経営(増補改訂版)
両利きの経営(増補改訂版)
チャールズ・A・オライリーマイケル・L・タッシュマン入山章栄(監訳・解説)冨山和彦(解説)渡部典子(訳)
教養としての三菱・三井・住友
教養としての三菱・三井・住友
山川清弘

フライヤーは、著者・出版社の許諾を得たうえで要約を掲載しております。また、選書委員会を設けて今読むべき本を厳選し、ライターが要約を作成しております。詳しくはコンテンツポリシーをご確認ください。