日本は戦時中の1944年にも現在と同じような状況に見舞われており、当時の債務残高はGDP比200%強であった。終戦後には戦時国債と復興予算により財政が急激に悪化し、ハイパーインフレが発生した。紙幣が紙くず同然になったことを受け、政府は、「新円への切り替え」と銀行より引き出せる現金を制限する「預金封鎖」を同時に行った。加えて保有財産に応じて25~90%の超累進課税を課すという大胆な政策を採った。しかしこうした政策の甲斐なくインフレは収まらなかった。結局、緊縮財政や円安単一為替レート設定などの政策を推進する「ドッジ・ライン」が実施されたことにより、なんとかインフレは終息したのである。
ハイパーインフレが、今の日本に起きない保証はどこにもない。ではいつ起きるのか? 正確に予測することは非常に困難だが、著者は目安となる指標を4つ挙げている。
1つ目は、「経常収支が赤字になっていないかどうか」、すなわち日本が海外からお金を稼ぐ力があるかどうかだ。今のところ黒字が続いているが、近年貿易赤字に転じたこともあり、このままいけば経常収支も赤字に転落しリスクが高まる可能性がある。
2つ目は、「家計貯蓄率」である。国債を国内で買い支えることができるかどうかの指標となる。
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