

大ベストセラーの『嫌われる勇気』で広く知られるアドラー心理学。アドラー心理学の魅力は、単なる理論にとどまらず、実生活で実践しやすい考え方にあります。 「勇気づけ」で部下を育てる方法、幸せを感じやすくなる習慣、人間関係を軽くする視点――どれも現代を生きる私たちの日常に直結する内容ばかりです。
この記事では、アドラー心理学を学びたい人におすすめの本を紹介します。入門書やマンガから実践書、原典まで幅広くピックアップしたので、気になるものがあればぜひチェックしてみてください。きっと日常生活や仕事のヒントが見つかるはずです。
記事更新日:2025年10月27日


アドラー心理学に興味をもったら、まず読みたいのは『生きる勇気 なにが人生を決めるのか』(アルフレッド・アドラー著)です。
本書は、アドラーの重要な著作をわかりやすく翻訳してまとめたもの。
アドラー心理学を学びたい人に、本書を通してまず押さえてほしいのは、以下の3点です。
・「個人心理学(アドラー心理学)」においては、個人の人生を「全体」としてとらえ、一つ一つの行動や反応、欲求に、その人の人生に対する考え方が表れると考える。
・アドラー心理学では、人は幼年期に、将来に向けた具体的な目標を決めるとともに、大人になったときのパーソナリティーの「原型(プロトタイプ)」を作ると考える。
・アドラー心理学では、ある人の「目標に向かう一貫した動き」のことを「ライフスタイル」と呼ぶ。「ライフスタイル」を突き止めるには、「古い記憶」を知ることが一番有効であるとする。
「なにが人生を決めるのか」という副題のとおり、なにに目を向け、どう行動し、生きていけばいいのかのヒントが得られる本書。アドラー心理学を学びたいなら、真っ先に手に取ってほしい、重要な一冊です。


『人間をかんがえる アドラーの個人心理学入門』(アルフレッド・アドラー著)は、アドラー心理学の入門書として位置づけられる一冊です。アドラー心理学の全体像を最初にしっかり把握したいなら、まず手に取るべき本だといえるでしょう。
アドラー心理学の基本として押さえておきたいのは、幼年時代について言及しているパートです。
アドラー心理学では、人間の心の問題を解く鍵は幼年時代のごく初期にあり、幼年時代にその人の心のひな形、行動指針、目標が形成され、大人になっても継続されると考えます。
その一方で、性格は後天的なものであると考えるのもアドラー心理学の特徴でしょう。アドラー心理学においては、性格は、幼年時代から世界に適応するために周囲に対処し、行動指針を形成することで獲得するものだとされています。
「共同体感覚」というキーワードにも注目してみましょう。アドラー心理学では、社会の中で生きる人間は「共同体感覚」を持っており、その人がどのような環境に置かれ、周囲の人とどのような関係を築いたかによって、どのような性格が形成されるかが決まるのだとしています。
アドラー心理学の基礎をしっかりと学びたい人にぴったりです。
![[新書版]生きる意味](https://static.flierinc.com/summary/4116_cover_300.jpg)
![[新書版]生きる意味](https://static.flierinc.com/summary/4116_cover_300.jpg)
気軽にアドラー心理学に触れられる本としておすすめしたいのは、2024年に刊行された『[新書版]生きる意味』(アルフレッド・アドラー著)。コンパクトな新書版で、手に取りやすい一冊となっています。
本書の書名ともつながる箇所として紹介したいのは、人生における課題について言及されたパート。アドラー心理学では、人生における課題は、他者との生活、仕事、愛の3つに分けられると考えます。これら3つは、人間が他者と生き、生活を成り立たせ、子孫を残すという目的のために生じるものであり、生きている限り避けられないとされています。
また“生きることは、成長すること”というメッセージにも注目しましょう。私たちは進化の流れの中に身を置いており、その意味で、成長とは「外界の要求に積極的に適応しつづける」ことなのだと書いています。
私たちはなんのために生きているのだろう――この根源的な問いに答えがほしいなら、ぜひ読んでみてください。アドラー心理学がヒントを与えてくれるはずです。


アドラー心理学に興味があり、その世界を少し覗いてみたい人におすすめなのは『サクッとわかる ビジネス教養 アドラー心理学』(岩井俊憲著)です。
著者の岩井俊憲さんは、アドラー心理学カウンセリング指導者であり、日本におけるアドラー心理学の第一人者。本書ではそんな岩井さんが、アドラー心理学の基本をわかりやすくまとめています。
アドラー心理学の基礎知識をまとめたうえで、身近な悩み別に、アドラー心理学の応用の仕方が示されているのも、本書ならではの特徴です。“悩みごとがあるときは、その悩みが「仕事」「交友」「愛」のどれに属しているかを考えるとよい”といったアドバイスは、今日の生活から取り入れられるはずです。
また、帯に「見るだけで人生が変わる!」とあるとおり、図解が豊富なのもうれしいポイント。スキマ時間に少しずつ読み進めやすい形式なので、忙しい人でも気軽にアドラー心理学に親しむことができます。


アドラー心理学に気軽に触れたい人には『決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』もおすすめ。岩井俊憲さんが監修者となり、童話作家・出版プロデューサーの吉田浩さんが、アドラー心理学の基本をマンガでまとめた一冊です。
1項目が見開き2ページの構成で、左側のページはマンガというつくりなので、まずはマンガだけを最後まで読み進めるのもおすすめ。本書でアドラー心理学の「キホンのキ」を理解した後に、本格的な書籍へ手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。


アドラー心理学を仕事に応用したい人におすすめなのは『もしアドラーが上司だったら』(小倉広著)です。
著者の小倉広さんは、アドラー派の心理カウンセラー。『サクッとわかる ビジネス教養 アドラー心理学』著者の岩井俊憲さんに師事した経験があります。
本書の最大の特徴は、小説形式でアドラー心理学に触れられること。
広告代理店の営業部に所属するリョウの上司になったのは、アメリカの大学院でアドラー心理学を修めたドラさん。ドラさんは、アドラーの教えをベースに、リョウにさまざまなアドバイスをしてくれます。
「キミはこんなにも『できている』じゃないか」「『できていないところ』に注目するのをやめるんだ」「やりたくないならやらなければいいじゃないか」「つまりは、キミが選んでいるんだろう?」「やらされているという嘘をやめるんだぞ」……ドラさんがリョウにかける言葉は、誰もがドキリとするものばかり。あなたが部下であっても、上司であっても、ドラさんのもとで成長していくリョウのストーリーを楽しみながら、仕事に生きる大切な学びが得られるはずです。


アドラー心理学をベースにした部下育成を学びたい人には『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』(小倉広著)がおすすめです。
本書の教えで特に印象的なのは、以下の3点です。
(1)「上から目線」でほめるのではなく「横から目線」で主観や感想を伝えよう
(2)叱ると勇気をくじいてしまうので、「主観伝達」と「質問」で自発的な思考を促す、何か事例を「誘い水」として挙げて部下の意見を引き出す、という方法を通して、部下を「勇気づけ」しよう
(3)手伝ってほしいという要請があって初めて手を貸すことで、部下は自分の頭で考えるようになる
特に印象的なのは(1)ではないでしょうか。本書では、部下が難易度の高い目標を達成したとき、「よくやった!」とほめることはNGだとされます。なぜなら、ほめることは「上から目線」の行動であり、「相手の自律心を阻害し、依存型の人間を作る」と考えるからです。
一方、アドラー心理学で推奨されるのは、「すごいなあ」と感心したり、「チームのためにありがとう」と感謝したりするという対応。これを「横から目線」の「勇気づけ」と呼びます。
上司が部下をどう育てるかをアドラー心理学の観点から解説した本書は、部下育成に悩むリーダーにとって学びの多い一冊となるでしょう。


『アドラー心理学×幸福学でつかむ! 幸せに生きる方法』(平本あきお/前野隆司著)は、アドラー心理学と幸福学を組み合わせて、より良い人生を送るためのヒントを提示してくれる一冊。
本書によれば、人が幸せを感じるためには、「自己受容」「他者信頼」「貢献感」の3つから成り立つ「共同体感覚」が不可欠です。「共同体感覚」というアドラー心理学の用語は知らなくても、「自己受容」「他者信頼」「貢献感」が揃うと幸せを感じるというのは、これまでの経験から頷けるのではないでしょうか。
上司とのやり取りや子育てなど、幅広いシーンに役立つ知識が紹介されている本書。アドラーの思想が幸福学の視点と結びつくことで、日常を前向きに変える一冊になっています。


『アドラー流 気にしないヒント』(岩井俊憲著)は、人間関係で抱えがちな重たい気持ちを少し軽くしてくれる一冊です。
中でも印象的なのが、「勇気づけ」を実践するために紹介されている「オセロ・ゲームの生活」という考え方。
たとえば、朝が弱い黒田さんは、ギリギリまで寝て朝食も抜き、駅へ向かう道すがら昨夜の深酒を悔やむ……そんなスタートでは、1日の始まりに黒いオセロが置かれてしまいます。仕事で大きな成果を上げれば白い石が置かれる一方で、部下のミスで気分を害すればまた黒い石。夜は再び深酒に走り、後悔しながら眠る――結果として黒が並んだ1日になります。
対照的に、朝すっきり目覚める白井さんは、最初の一手が白のオセロ。日中には厳しい顧客対応で黒い石が置かれることもありますが、退勤後は家族と過ごして穏やかに就寝。朝と夜を白で締めることで、1日は白い石が並ぶ流れになります。
このように、朝と夜の気持ちを意識的に整えるだけでも、人生の盤面に白い石を増やすことができるのです。完璧に白でそろえる必要はなくても、「始まりと終わりを白にする」意識が、毎日をより前向きにしてくれるでしょう。
本書には、このほかにも日々をラクにする知恵が満載。仕事や人間関係に疲れを感じている人にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
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