一九八四年
[新訳版]

未 読
一九八四年
ジャンル
著者
ジョージ・オーウェル 高橋和久(訳)
出版社
定価
860円 (税抜)
出版日
2009年07月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
5.0
応用性
3.0
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一九八四年
一九八四年
[新訳版]
著者
ジョージ・オーウェル 高橋和久(訳)
未 読
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定価
860円 (税抜)
出版日
2009年07月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
5.0
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レビュー

ユートピアについて、あるいはディストピアについて知りたければ、辞書ではなく本書を開くべきだろう。

1949年に書かれた本書は、作家ジョージ・オーウェル最後の著作であり、20世紀を代表する傑作として長くその名を轟かせてきた。

本書がふたたび脚光を浴びるきっかけになったのは、ドナルド・トランプ氏の大統領就任である。また、2013年にエドワード・スノーデン氏が政府による個人情報の不正収集を暴露したときも、本書は大きな話題になったという。まさに、全体主義や管理社会の到来が予感されるたびに注目を集める一冊だといえる。

本書の内容についてあらかじめ伝えておこう。私たちが思い描くようなハッピーエンドはここには存在しない。あるのはまぎれもない絶望的な結末だ。だが、本書に織りこまれた緻密な世界観が、その絶望をまったくもってチープに感じさせない。一言でいえば、「完成」されているのである。

主人公はわかりきった結末に向かって、自ら歩を進めていく。その先が崖だとわかっていても、見えない床が続いている希望をかすかに思い浮かべながら。

本書を読み終えるころには、文中に何度も登場する「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」というキャプションの意味が、「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」というスローガンの意味が、ありありと理解できるようになっているだろう。

21世紀になっても語り継がれるべき金字塔的名作である。読まないままでいるのは、あまりにもったいない。

石渡 翔

著者

ジョージ・オーウェル (George Orwell)
1903年、英国領インドのベンガルに生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリック・スクールであるイートン校で学び、その後、数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を経て、作家となった。主な著作に長編小説『動物農場』やスペイン内戦に参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』などがある。1950年没。

本書の要点

  • 要点
    1
    全体主義国家オセアニアでは、人々の行動や発言は逐一チェックされており、国家の体制に背く行動と判断されるとに連行されることになっている。
  • 要点
    2
    ウィンストンは監視の目をかいくぐりながら、ジュリアと逢瀬を重ねた。禁じられているとわかっていながら。
  • 要点
    3
    の1人であるオブライエンは、自らが反逆組織の一員だと明かし、ウィンストンとジュリアを同盟に招き入れた。
  • 要点
    4
    ウィンストンとジュリアは結局、に捕まってしまった。

要約

イギリス社会主義「イングソック」の世界

あなたは常に監視されている
RedDaxLuma/iStock/Thinkstock

主人公ウィンストン・スミスは39歳。どちらかといえば小柄で華奢(きゃしゃ)な体つきをしたブロンドヘアの男性で、「党」に所属している。

ウィンストンが生きている全体主義国家オセアニアには、いたるところにテレスクリーンと呼ばれる、受信と発信を同時に行える長方形の金属板がしかけられている。テレスクリーンはニュースなどを流す一方で、人々の行動や発言を逐一チェックしており、国家の体制に背く行動をとっていると判断された人たちは、<思考警察>に連行されることになる。

ただ、ウィンストンの家はめずらしい間取りをしているため、テレスクリーンから姿を捕捉されない空間がある。そこで彼は、とある貧民街にあった小道具屋で手に入れた、何も書かれていない古い本に日記をつけることにした。

通常、彼のような党員の場合、普通の店に入ることは許されておらず、もし日記をつけていることが発覚すれば、死刑か最低25年の強制労働収容所送りになることはまちがいない。それでも日記を書くことを決心したのは、ある出来事がきっかけだった。

<2分間憎悪>

ウィンストンが働いているのは真理省と呼ばれる、報道・娯楽・教育・芸術を担当する省で、そのなかにある記録局が彼の職場だ。

ある日の朝、ウィンストンは<2分間憎悪>の準備をしていた。<2分間憎悪>とはオセアニアで毎日行われている行事で、すべての党員は一端作業を中断し、これに参加することが義務づけられている。<2分間憎悪>のプログラムはその日によって異なるが、おぞましく耳障りな音がテレスクリーンから響き渡り、<人民の敵>エマニュエル・ゴールドスタインの姿が映し出されるのは変わらない。

ゴールドスタインは、かつて党の信奉する<ビッグ・ブラザー>と並ぶ地位にあったにもかかわらず、反革命運動に加わった第一級反逆者だ。彼は<ブラザー同盟>と呼ばれる地下組織の指揮官と見なされており、異端の説をすべて集約した概論書の執筆者であるとも言われていた。

その日も<2分間憎悪>が始まると、抑えきれないほどの怒号があちらこちらから響き渡った。毎日あらゆる媒体でゴールドスタインへの批判を見聞きしている人々は、もはやゴールドスタインのことを考えるだけで、反射的に恐怖と怒りを感じるように訓練されていた。ウィンストン自身も、皆と一体にならずにはいられなかった。<2分間憎悪>は、本人の意志にかかわらず、顔を歪めて絶叫する狂人に変えてしまう力をもっているのだ。

だが、そうした狂乱のなか、ウィンストンはある人物と一瞬目があった。それはオブライエンという<党中枢>の一員の男だった。ウィンストンは前々から、オブライエンが政治的に正統派の人物ではないと密かに感じていた。そして彼と目があった瞬間、ウィンストンはオブライエンが自分と同じ考えをもっていると確信した。

このオブライエンとの一瞬の邂逅(かいこう)は、<ブラザー同盟>が本当にあるという希望を抱くには十分であった。

「ビッグ・ブラザーをやっつけろ」
Digital Vision./Photodisc/Thinkstock

そのときの様子を回想しながら日記を書いていたウィンストンは、自分が半ば無意識的に、「ビッグ・ブラザーをやっつけろ」と何度も書き綴ったことに気がついた。恐怖感を覚えたウィンストンは、日記をつけるのをやめてしまおうかと考えたが、結局それは無意味だと悟った。<思考警察>の前では、実際に書こうが書くのを思いとどまろうが同じことであり、遅かれ早かれ<思考犯罪>で捕まってしまうことになるからだ。

<思考警察>による逮捕はかならず夜である。

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2009年07月25日
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