成功はゴミ箱の中に

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成功はゴミ箱の中に
ジャンル
著者
レイ・A・クロック ロバート・アンダーソン 野崎稚恵(訳) 野地秩嘉(監修・構成)
出版社
プレジデント社 出版社ページへ
定価
1,543円
出版日
2007年01月24日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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レイ・A・クロック ロバート・アンダーソン 野崎稚恵(訳) 野地秩嘉(監修・構成)
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定価
1,543円
出版日
2007年01月24日
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明瞭性
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革新性
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レビュー

ユニクロの柳井正氏とソフトバンクの孫正義氏。二人が「これが僕達の人生のバイブル!」と絶賛する起業家の自伝がある。その起業家の名はレイ・クロック(以下、レイ)。マクドナルドのフランチャイズシステムを確立させ、「世界一、億万長者を生んだ男」という異名をもつ。彼はペーパーカップやマルチミキサーの営業マンとピアニストの二足のわらじを履いて生計を立てていた。そこから、マクドナルド兄弟に出会い、彼らの洗練された販売システムにほれ込んだ。事業展開に乗り出したのは、なんと52歳のときである。

成功のスケールは失敗のスケールに比例するのだろうか。レイは徹底的な現場主義と不屈の精神で、マクドナルド兄弟との契約の落とし穴やナンバー2との決別といった幾多の困難を乗り越え、全世界的チェーンをつくりあげていった。その軌跡をたどることは、商売・経営の根本に立ち返らせてくれるだけでなく、本書にちりばめられた、人生とビジネスの真理を突く至言が胸を打つ。

レイは何度転んでも、ただでは起きない。まさしく、アメリカ社会に根づくベンチャー精神の体現者だ。さまざまなステークホルダーを巻き込みながら、ブルドーザーのような勢いで販路を開拓する様は、圧巻としかいいようがない。しかも、後に妻として迎えることになるジョニ・スミスという女性に恋焦がれ、仕事に手がつかなくなるなど、人間くさいエピソードも盛り込まれており、エンターテイメントとしても格別の面白さだ。巨大マクドナルド帝国を築いた起業家の壮大な人生記を味わい尽くしていただきたい。

松尾 美里

著者

レイ・A・クロック
Raymond Albert Kroc(1902-1984)。
アメリカ・イリノイ州オークパーク生まれ。高校中退後、ペーパーカップのセールスマン、ピアノマン、マルチミキサーのセールスマンとして働く。1954年、マクドナルド兄弟と出会い、マクドナルドのフランチャイズ権を獲得、全米展開に成功。1984年には世界8000店舗へと拡大した。後年にレイ・クロック財団を設立。さらにメジャーリーグのサンディエゴ・パドレス獲得など精力的に活動を行った。本書原題“GRINDING IT OUT”はいまも多くのアメリカの学生に読まれ続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    レイは52歳のときに出合ったマクドナルドの洗練されたシステムにほれ込み、チェーン展開をめざすことになった。
  • 要点
    2
    レイはマクドナルド兄弟との契約の落とし穴といった壁を乗り越え、優秀なパートナーを仲間に引き入れた。店舗の観察や不動産開拓に余念がなく、製法一つとっても細部にこだわった。
  • 要点
    3
    何があってもやり遂げるという強い意志と起業家精神を胸に、レイは世界最強のハンバーガー帝国を築き上げていった。

要約

マクドナルド兄弟との出会い

アウトサイダーが見抜いた、最高のビジネスチャンス
Kondor83/iStock/Thinkstock

「チャンスを逃すな」。この信条はレイ・クロック(以下、レイ)がペーパーカップのセールスをしていた頃から、巨万の富を築くに至るまで寸分も変わっていない。独立し、マルチミキサーの営業を軌道に乗せ始めてからも、レイは次なるビジネスチャンスを探していた。「未熟でいるうちは成長できる。成熟した途端、腐敗が始まる」。これがレイの座右の銘だった。

あるときから、レイのもとに顧客からこんなオーダーが相次いだ。「マクドナルド兄弟の店で使われているマルチミキサーと同じものを売ってほしい」。店は、外食産業の成長著しいカリフォルニアにあるという。大いに好奇心をそそられたレイは、兄弟の営む店を自分の目で観察するべく、現地へ飛んだ。これは1954年、レイが52歳のときのことである。

店内は整然と清潔に保たれており、スタッフも好印象だった。サービスとメニューを最小限にとどめ、提供プロセスを簡素化することで、品質管理が行き届き、店は驚くほどの繁盛ぶりを見せていた。ハンバーガーやフライドポテト、飲み物がテキパキとお客に提供されていく。このシステムにレイは心底ほれ込んだ。「今までに見た中で最高の商売だ」。

レイは、マックとディック、二人のマクドナルド兄弟に自己紹介をした。その晩のうちには、マクドナルドの店舗を、国中の主要道路沿いに展開させるというプランが頭に浮かんでいた。もちろんレイは飲食業のプロではない。アウトサイダーとしての目で事業の将来性を見抜いたのだ。

まもなくレイは兄弟をディナーに誘い、製造工程を見学させてもらった。この単純な作業ならば、誰でも言われたとおりにこなせるはずだ。そう確信したレイは、自分の扱うマルチミキサーを置いてもらい、ともに全米でチェーン展開をめざそうと兄弟に切り出した。ところが、兄弟は現状に満足しきっており、積極展開する気はさらさらない。「誰かほかの人を雇えば働かずに収入が入る」というレイの申し出に対しても、弟のディックが反対した。「誰がそんな仕事を引き受けてくれる?」レイは強い思いをこらえきれず、身を乗り出した。「では、私がやりましょう!」

フライドポテトがうまく揚がらない!

レイは兄弟と契約を交わし、生涯で最高のビジネスが今後待ち受けていると信じて疑わなかった。「15セントのバーガーを売るなんて愚かだ」。そう皆に言われる中で、マクドナルド第一号店の予定地探しに奔走し、レイは自宅の近くであるシカゴ郊外のデスプレーンズに決めた。

しかし課題は山積みだった。まず、カリフォルニアとシカゴの気候の違いにより、換気と空調設備の問題に悩まされた。おまけにフライドポテトが一向にうまく揚がらない。マクドナルド兄弟の製法を完璧に真似しているにもかかわらず、カリフォルニアで味わった、あの素晴らしい品質が再現できないのだ。フライドポテトの格別のおいしさは、事業を成功させるための必須条件だと考えているため、妥協という道はない。

そこでポテト&オニオン協会に相談したところ、ジャガイモの保存方法に問題があることが発覚した。ジャガイモは乾燥によって糖分がでんぷんに変わることで、味が上がる。マクドナルド兄弟はたまたまフタのない容器に入れ、カリフォルニア特有の乾燥した空気で自然乾燥させていたのだ。同様の効果を得るべく、レイは貯蔵の際、古いジャガイモを手前に置き、巨大な扇風機で通風を良くするというアイデアを思いついた。しかも、おいしさを追求するべく、ポテトを二度揚げするという凝りようだ。こうしてオリジナルのフライドポテトの製法にたどり着いた。

また、ビジネスで完璧を求める姿勢も一貫していた。一号店の駐車場にゴミが散乱していたら、店長を怒鳴りつけた。人には取るに足らないように思える一つひとつが大事だと考えていたためだ。こうしてオープン後、一号店は順調な滑り出しを見せた。

契約の落とし穴
Kuzma/iStock/Thinkstock

ところが、そのころになってはじめてマクドナルド兄弟の、とある契約によって、事業は一時足止めを食らうこととなった。彼らはレイに隠れて、5000ドルという金額でフリラック・アイスクリーム社にフランチャイズ権を売っていたのだった。

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スキルアップ・キャリア 起業・イノベーション
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