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直観力の表紙

2秒で最高の決断ができる

直観力


本書の要点

  • わずか2秒程度で感じる「なんとなく」の直観はかなりアテになる。直観は習得できる技術であり、直観に従って行動し、それが違ったらすぐに修正することで、直観を磨けるようになる。

  • 直観力を高めるには、「多くの知識・経験」、「脳の余裕と心の安定」、「専門外で一芸を極めること」、「集中して考えた後に脳をリラックスさせること」などが効果的だ。

  • 決めつけや無意識の先入観といった「バイアス」の存在を知り、それを払しょくすることが直観を正しく働かせるために必要となる。

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直観を味方につけるために

直観とは何か

CasPhotography/iStock/Thinkstock

直観とは「論理的な思考や意識的な観察を介さず無意識に意思決定や判断が行われること」を指す。直観を天賦の才だと思っている人も多いが、それは間違いだ。直観は、単なる当てずっぽうではなく、脳の意思決定プロセスの一つである。しかも、その能力はコンピュータでも太刀打ちできないほどであり、誰もが普段から使っている。

物事を「なんとなく」で判断するときと、熟考して判断するときでは、脳内で起きている情報処理プロセスが明らかに違う。そして、この「なんとなく」こそが、直観の正体だという。

直観を使いこなせる人は、意思決定が速く、後悔しない判断ができる。たとえ直観での判断が間違っても、「自分で信じた判断」であるためすぐに心を切り替えられる。このように、直観を使えば後悔しない生き方が手に入る。

直観の3原則

直観を味方につけるために押さえておくべき3つの原則がある。

1つ目は、「最強の根拠は『なんとなく』」ということだ。イスラエルのある大学の研究によると、「なんとなくこの人と気が合いそう」といった、日頃感じる最初の直観は、90%近い確率で的中することが証明されている。この精度の高さは、「過去の経験の記憶」という立派な根拠に基づいているためだ。現に、実際に面接をした場合と、映像で一部だけ見た場合とで、面接官による評価はほぼ同じだという実験結果もある。つまり、パッと見の直観とじっくり精査した結果で、相手の印象はほとんど変わらない。初対面での第一印象は、かなりアテになる。となると、判断に迷ったときは、わずか2秒程度で感じる「なんとなく」の直観に従ったほうがよいといえる。

ただし、何でもかんでも直観で決めればいいというわけではない。例えば、薬の効き目のように、科学的な実験や調査、分析によって答えを導くものに関しては、分析をしたほうが正確さを増す。課題によって判断のアプローチを使い分けることがポイントだ。

2つ目は「直観は技術」という原則だ。直観とは、過去に蓄積してきた経験や学習のデータベースから無意識かつ高速で引き出された答えである。よって、直観による判断経験や記憶、知識を積み重ねていけば、習得できる技術だといえる。

直観は理屈を超えた領域であるため、理性的な人ほど直観を否定しがちだ。しかし、自分の内なる感覚的なサインに従ったほうが、後悔しない選択につながりやすい。直観を最大限に活かすための鉄則は、自分の直観を信じることといえる。そのうえで、最初の直観と現実を照らし合わせ、ズレが生じた場合はその原因を検証する。このフィードバックの積み重ねで、先読み力、すなわち直観力が鍛えられていく。

そして、3つ目の原則は「行動なくして直観なし」というものだ。「ピン!」ときても、それに従って行動しなければ、直観が「なかったこと」になってしまう。直観力の鋭い人は共通して、直観に従って行動し、それが違ったらすぐに修正する。トライアルの機会が増えるほど、直観が的中する確率も高くなる。要は、物事の判断や決断に完璧を求めず「70%くらいで見切り発車」できるかどうかだといえる。

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【必読ポイント!】 直観力がアップする7つの条件

プロ棋士は直観で次の一手を打つ

zilli/iStock/Thinkstock

直観が発揮されやすい状況をつくるための7つの条件のうち、一部を紹介する。

1つ目は、「多くの知識・経験」である。例えば、将棋や囲碁のプロ棋士が対局で最善の一手を瞬時に選べるのは、膨大な量の専門知識と経験の裏付けがあるためだ。つまり、ある分野のエキスパートであればあるほど、その道の直観力を発揮しやすいといえる。その分野について学習や経験でしっかり準備できていることが、直観力を発揮する基盤となる。

直観に耳を傾ける余裕を持つ

2つ目は、直観に耳を傾けられるような

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要約公開日 2017.03.20
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