突き抜ける結果を出すための53の具体策

一流マネジャーの仕事の哲学

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出版社
出版日
2017年04月10日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「毎日朝から夜遅くまで働いているが、ルーティンに流され、仕事に誇りも充実感も見出せない」、「部下たちが自分を信頼してくれているのか自信をもてない」、「働き方に問題があるが、会社が一向に変わらない」。一つでも当てはまるのなら迷わず本書をお読みいただきたい。

著者の西岡郁夫氏は、インテルジャパンを率い、7年半で売上を4倍に成長させた、日本のパソコン市場開拓の立役者である。現在は、ビジネス塾「西岡塾」で、30代前半から40代後半くらいまでの「ミドル」の人材教育に身を投じている。本書の魅力は、ミドルが学んでおくべき53のテーマに対するアドバイスをわかりやすく、しかも著者自身が体験したエピソードをふんだんに盛り込んでまとめた点にある。読み進めるにつれ、一つ一つの具体的な提言がストンと腹落ちし、「突き抜ける結果」を出すべくまい進しようと鼓舞されるにちがいない。

著者がインテル元CEOアンディ・グローブ氏から学んだ「Speed above Quality(スピード重視)」のマインドや、説得力のある伝え方、窮地に陥ったときの対処法などが紹介され、その効果は日本をリードする経営学者や経営者たちのお墨付きだ。決して堅苦しいマネジメント論ではなく、仕事の課題解決にとどまらない、豊かな人生を送るための至言にあふれている。ミドルの悩みに寄り添いながら、愛情をもって活を入れる著者の肉声が聞こえてきそうなほどだ。

多くの課題に対峙しながらも、リーダーシップを発揮したいと願うミドルにとって、本書は自己変革の心強い指針となってくれるだろう。

ライター画像
松尾美里

著者

西岡 郁夫(にしおか いくお)
株式会社イノベーション研究所 代表取締役社長。丸の内「西岡塾」塾長。
1943年、大阪府生まれ。1966年、大阪大学工学部通信工学科卒業。1969年、同大学院工学研究科通信工学専攻修士課程修了。同年、シャープ株式会社入社。CADセンター所長、技術本部コンピュータ・システム研究所長、情報システム本部コンピュータ事業部長、同副本部長を歴任。1981年、CADの研究で大阪大学から工学博士を取得。
1992年、インテル株式会社に転身。1993年、同代表取締役社長、米国インテル本社営業担当副社長。日本にパソコン、電子メール、インターネットを普及させる活動にまい進するとともに、通商産業省(現:経済産業省)のITSSPプロジェクトに参画し、中堅・中小企業のIT経営化の普及活動に指導的役割を果たした。1997年、同代表取締役会長。1999年4月退任。
1999年、モバイル・インターネットキャピタル株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。ベンチャーの経営指導に注力する。2001年、大企業のトップがベンチャーを支援する組織「ベンチャーを支援するベテランの会(現・ベンチャーを支援するベテランとベンチャーの会)」を設立。現在、世話人。2002年、ビジネスプロフェッショナルを育てる「丸の内ビジネスアカデミー(現・丸の内『西岡塾』)」を設立。大阪大学ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム国際アドバイザリー委員会委員、野村アクセラレータープログラム「VOYAGER(ボイジャー)」メンターなど歴任。
著書に『パソコンやってますかぁ インテルジャパン社長の痛快電脳生活のすすめ』(ダイヤモンド社)、『ITに関心のない「経営幹部」は今すぐ辞めなさい 情報利用戦略のすすめ』(かんき出版)。
丸の内「西岡塾」ウェブサイト http://nishiokajuku.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    部下がついていきたくなる上司は「人が話をしに来てくれる人間力」を備えている。人間力を高める一歩は、口角を上げ、適切な「間」をとり、アイコンタクトを意識することである。
  • 要点
    2
    大事にすべき人材は、実現困難でも、組織としてやるべきことを提案する「有言不実行」タイプだ。
  • 要点
    3
    スピード重視で挑戦することが成功への必須条件であり、インテルは「Speed above Quality」に徹することで、会社存亡の危機を乗り越えた。

要約

人を動かす基礎力

人間力を高める第一歩は、口角を上げること

部下がついていきたい上司は、トップからの信頼が厚く、愛をもって部下を導く人物だ。そして、適切に権限委譲をし、成果を部下に与えて責任をとる。こうした理想の上司が必ず身につけているのは、「人が話をしに来てくれる人間力」である。人間力に磨きをかけるには、口角を上げて微笑む習慣を付けることから始めるとよい。職場でも街中で道を聞くときも口角を上げると、相手との雰囲気が良くなり、相手に好印象を残せる。コストゼロ、効果は絶大である。

適切な「間」とアイコンタクトを意識する

人の話を聞くときは「1.5秒の間」を意識するとよい。適切な「間」をとることで、相手の話す内容をしっかり腹に落とし込めるし、その様子を見た相手は安心して会話を続けられる。人に話をするときにも同じく「間」をうまく活用したい。

また、相手に熱意を伝え、信頼を築くにはアイコンタクトも欠かせない。適切にアイコンタクトをとりながら、前のめりで相手の話を聴く姿勢は、誠意をもってコミュニケーションをしているという証になる。

相手は変えられない、自分は変えられる

部下を変えようとすればするほど、彼らは内に閉じこもるか反発をする。複雑な感情を持つ人間の気持ちを自分の意のままにすることは不可能といってよい。

しかし、相手は変えられなくても、自分の行動を変えることはできる。大塚製薬で常務取締役を務める渡辺達朗氏は、「変えられることにエネルギーを集中せよ」と助言している。自分を良いほうへ変えることで、人間関係を大きく改善できる。

説得力を高め、部下と上司をつなぐ

「一言で言ってみな」
IPGGutenbergUKLtd/iStock/Thinkstock

著者が運営するビジネス塾「西岡塾」では、次の三カ条がある。「出過ぎた杭になれ」、「雄弁は金、沈黙はクズ」、「自己変革の意識無き者は去れ」という内容だ。

中でも、雄弁であることはリーダーシップの大事な要素である。上司の役割は、ビジョンの達成に向けて部下を鼓舞し、ベクトルをそろえていくことであるため、自分の信念を明快に、説得力をもって主張することが求められる。

では、説得力を高め、わかりやすく話せるようになるにはどうしたらいいのか。著者がおすすめする方法は、要点を一言でズバッと表すことである。物事の本質を見極めていなければ、端的に伝えることは難しい。

ホンダの創業者、本田宗一郎氏は、常に「A00」を問うていたという。「A00」とは米軍の作戦計画書の最初に登場する「本質的な目標」を指す。

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要約公開日 2017.06.21
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