言ってはいけない

残酷すぎる真実
未読
日本語
言ってはいけない
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残酷すぎる真実
著者
未読
日本語
言ってはいけない
著者
出版社
定価
880円(税込)
出版日
2016年04月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「最初に断っておくが、これは不愉快な本だ」――本書はこの一節から始まる。たしかにその通りだ。親の暗い性格や知能は遺伝する、美人とそうでない女性には大きな経済格差が広がる、さらに男性こそが美貌格差の最大の被害者であるなど、次から次へと「残酷すぎる真実」が突きつけられるからである。

それでも最後まで読むのをやめられないのは、それが本当のことだと心の中ではわかっているからかもしれない。だからこそ本書は、2016年のベストセラーとなり、多くの人の手に渡ったのだろう。

本書は、(1)努力と遺伝の関係、(2)美貌格差、(3)子育てと教育、の3本柱で構成されている。なかには過激な内容も含まれているが、ひとつとしていい加減なものはない。

「人間は平等だ」、「努力は報われる」、「見た目は関係ない」……このようなきれいごとが世の中にははびこっている。そして、それがきれいごとだと正直に言う人はほとんどいない。しかし著者は、「言ってはいけない」不愉快な真実こそ必要であり、語る価値があると考えている。

ひとつたしかなのは、著者が不愉快なことを、ただ投げやりに並べているわけではないということだ。本書には「学び」がしっかりと用意されている。なぜ著者が「言ってはいけない」ことをあえて言うのか、その真意はあなたの目でたしかめていただきたい。

ライター画像
二村英仁

著者

橘 玲 (たちばな あきら)
1959年生まれ。作家。小説にデビュー作の『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』、時評に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』『「読まなくてもいい本」の読書案内』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    性格が遺伝することは多くの人が受けいれている事実だが、表現を少し変えるだけで、社会的に許されないものになってしまう。これは暗黙の社会的規範が存在するからだ。
  • 要点
    2
    容姿は人生を左右する。平均以上の容姿の女性と、平均以下の容姿の女性では、生涯賃金に3600万円の格差がある。なお、容姿に関して最も強い影響を受けるのは醜い男性である。
  • 要点
    3
    子どもの人格、能力、才能の形成において、家庭での教育は無意味に近い。

要約

【必読ポイント!】努力と遺伝の関係

言ってはいけない「遺伝」の話
ktsimage/iStock/Thinkstock

親が長身であれば子供も長身だ。このことに関して疑問を感じる人は少ない。しかし近年の研究によれば、身体的な特徴のほかにも、じつに多くのことが遺伝の影響を受けているという。たとえば、性格は遺伝することで知られている。

ただ、この「性格は遺伝する」という事実は、視点を変えるだけで受け止め方がまったく変わってしまう。「陽気な親の子どもの性格は明るい」、「陰鬱な親の子どもの性格は暗い」。どちらも性格と遺伝の関係を述べているだけだが、その印象ははっきり異なるはずだ。これは、私たちの社会に暗黙の規範が存在している証拠である。「子どもは明るく元気であるべきだ」という規範には、「暗い地味な子供には問題がある」ということが暗に含まれているのである。

私たちは、規範から外れることを「遺伝のせいにすべきではない」と思っている。なぜなら、たとえ子どもの性格が暗かったとしても、努力や親が与える環境で克復することができると信じているからだ。しかし、遺伝による影響を排除することは、どんなにがんばっても明るくなれない子どもの逃げ道を塞ぎ、心を深く傷つけることになりかねない。

「負の知能は遺伝しない」のはありえない

暗黙の社会的規範が強く表われるもう一つの事例として、能力と遺伝の関係が挙げられる。能力も、体型や性格と同じように遺伝する。やはり音楽家の子どもは歌がうまいし、親が音痴だと子どもも歌が下手だ。とはいえ、このことに関してはさほど違和感なく受け入れられるだろう。

しかし、「大学教授の子どもは頭がいい」ということは許される一方で、「子どもの成績が悪いのは親が馬鹿だからだ」とは、表立って口にすべきではないことと考えられている。歌については個性のひとつと見なされても、将来や人格の評価につながる成績(知能)は、「努力で向上しなければならないこと」でなければならないからだ。

もし知能の良し悪しを遺伝と結びつけてしまったら、それこそ良い成績を得る努力を強制する学校教育が成り立たなくなる。したがって、「負の知能は遺伝しない」というイデオロギーが必要なのである。

ちなみに遺伝率を研究する行動遺伝学では、一般知能(IQ)の遺伝率は77%とされている。つまり、知能の7~8割は遺伝で説明がつくということだ。

精神病も遺伝する
kieferpix/iStock/Thinkstock

体質(病気)においても遺伝することがわかっている。実際、がんや糖尿病の要因が遺伝の影響を強く受けると聞いたら、多くのひとが納得するだろう。

だが、病気には身体的な疾患のほか、「こころの病」と呼ばれる精神的な疾患もある。「精神病は遺伝する」と聞くと拒絶するひとも多いが、精神疾患が遺伝することは、これまでの研究によって何度も確認されている。

たとえば、精神病を患っているため、子どもをつくろうか迷っている夫婦がいるとしよう。夫婦がインターネット上で検索してみたところ、そこでは「精神病と遺伝の関係は証明されていない」、「精神病はたんにストレスが原因だ」という匿名の回答が書かれている。安心した夫婦は、子どもをつくることを決意する――これは一見いい話のように思える。

しかし実際のところ、たとえば統合失調症の遺伝率は80%を超える。もちろん、その全員が統合失調症になるわけではない。しかし、身長、体重の遺伝率がそれぞれ66%と74%ということと比較すると、その数字の大きさがわかるはずだ。親が長身であれば子供も長身である可能性は高い。そして、それよりずっと高い確率で、親が精神病なら子どもも精神病になるのである。

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