新装版現代訳 職業としての学問
格差が身近になった現代に「働く意味」をいかに見出すのか

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新装版現代訳 職業としての学問
ジャンル
著者
マックス・ウェーバー 三浦展(訳)
出版社
プレジデント社 出版社ページへ
定価
1,188円
出版日
2017年02月28日
評点(5点満点)
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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レビュー

マックス・ウェーバーといえば難解な文章で有名である。日本語の訳書が難解、ドイツ語原書を参照してもやはり難解、とにかく難解な文章の代名詞ともいえるが、本書は講演録、しかも現代の日本の文脈の中で訳された「現代訳」であるため読みやすい。

ウェーバーの講演が行われたのは1917年、今から実に100年前となる。しかし驚くべきことに、語られている内容は現代においても通ずるところがほとんどで、色あせることのない本質的なものばかりだ。

たとえば、ウェーバーが本講演を行った時点でも学問の専門分化が進んでいると述べられているが、現代でもその傾向はますます顕著である。そうした状況下で後世に残るためには、ウェーバーの時代と同様、いや、それ以上に限定された領域で厳密な研究成果を出すことが必須となる。細分化された学問に対して批判をすることはたやすいが、狭い領域での研究成果がなければそこから出ることも不可能といってよい。それゆえに、ウェーバーはこう主張する。「日々求められている任務に向き合いなさい」。日々の任務がどんなに些末なものに思われても、先に進むためには、それに誠実に向き合い、成果を出していくより他ないのだ。

これは学問を職業とする者に限定されたことではなく、どんな職業人生にも当てはまることだろう。自分自身の職業観を問い直し、働くことの意義、そして自分のありたい姿を考えるうえで、本書は有用な視座を与えてくれる。古典中の古典を現代の文脈でぜひ味わい尽くしてほしい。

猪野 美里

著者

マックス・ウェーバー
1864年生まれ。ドイツの社会学者、経済学者。主著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』において近代資本主義の成立とプロテスタンティズムの関連を解明するなど、膨大な論文を発表し、社会科学の巨人と呼ばれる。

三浦 展(訳者)
1958年生まれ。一橋大学社会学部卒業。株式会社パルコ、三菱総合研究所を経て、99年カルチャー・スタディーズ研究所設立。消費社会、若者の価値観、郊外化、階層格差などを広く分析。著書に『下流社会』『第四の消費』

など。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分の専門とする領域に対して、人から笑われるくらいの情熱がなければ学者にはなれないといってよい。
  • 要点
    2
    研究に必要なひらめきを得るには、その土台となる厳しい作業が前提となる。
  • 要点
    3
    学問の意味の一つは、私たちに明晰さを与えてくれることである。
  • 要点
    4
    自分が日々求められている任務に向き合うことが重要だ。

要約

学者になろうとする人間が置かれた厳しい状況

ドイツでは経済力がないと学者になるのが難しい

職業として学問に専念する、すなわち学者として生活を送ろうとする場合、ドイツにおいては通常「無給講師」から始まる。学生は最低でも数年は貧乏な生活に耐えなければならないし、どうしたら十分な稼ぎを得られる地位に就けるかを知るすべもない。ドイツにおいては、経済力のない学生は学者生活を送ることができないといえる。

一方で、ドイツの「無給講師」には講義内容を決める自由があり、一度得た地位を失うことはほとんどない。また、担当する講義の数が少ないため、若いうちに十分に研究ができるという利点がある。

アメリカの有給助手には自由がない

これに対し、アメリカでは有給の「助手」から学者としての生活が始まるため、ドイツに比べれば多少なりとも安定した地位からスタートする。

その代わりに、アメリカの助手には様々な拘束がある。教室を学生で満員にしなければ、容赦なく解雇されてしまう上に、大学の業務に追われて多忙なため、自らの研究に十分な時間を割けない。正教授ならば週3時間ほど専門分野の講義をすればよいが、助手は週12時間の講義を担当しなければならない。しかも、講義内容を自分で決めることはできず、教授会で予め立てられた講義計画に従わなければならない。

アメリカナイズが進むドイツの大学
cookelma/iStock/Thinkstock

しかし、ドイツにおいても、学問の状況は次第にアメリカ的な方向に流れている。ドイツの大学にも資本主義的経営が入り込み、ちょうど工場で働く労働者のように、そしてアメリカの大学助手と同様に、助手は不安定な立場に置かれている。

さらに、無給講師や助手が正教授や研究所幹部となれるかどうかは、まるで宝くじのようなもので、運不運に左右される。才能と業績がある者でも、ふさわしい地位に就けるとは限らない。

学者は研究と教育の両面で優秀でなければならない

学者という職業は、研究と教育という二面性を持つ。学者であるだけではなく、教員としても優秀でなければならない。ところが、非常に優れた学者が教員としてはまったくだめなことは珍しくない。学者の仕事と教員の仕事はまったく別ものだからである。

しかも、大学にとって一番の価値は、聴講者数の多さであるとしばしば考えられている。そのため、世界最高の学者であったとしても、学生に聴講してもらわなければ、大学の中ではその人は死の宣告を受けたに等しい。そしてまた難しいのが、教員が学生に対して行う学問的な訓練は、多くの聴講生を集められる大教室での講義ではなし得ないものであるということだ。

職業としての学問に向かう際の心構え

情熱が持てないならば学問を職業にできない
eternalcreative/iStock/Thinkstock

学問はかつてないほど専門化しているため、隣接領域に手を広げることは難しくなっている。そうした研究をしようとすると、不完全なもので終わらざるを得ない。自分の仕事を後世に残るものとするためには、ごく限定された領域の厳密な専門的研究をするしかない。

「この古文書のこの個所のこの判読に自分の魂の運命がかかっている」。そう思い込めない人は学者などやめた方がよい。あなたが学問にかける情熱は人から見たらお笑いでしかないかもしれない。しかし、それほどの情熱が持てない人は学問を職業にするのはやめ、他のことを職業とすべきである。

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