MUJI式
世界で愛されるマーケティング

未 読
MUJI式
ジャンル
著者
増田明子
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2016年11月21日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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世界で愛されるマーケティング
著者
増田明子
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定価
1,650円(税込)
出版日
2016年11月21日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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レビュー

世界中で愛されるグローバルブランド、それがMUJI(無印良品)だ。

MUJIは、西友のプライベートブランドとして1980年に創設され、商品企画・製造から流通・販売までを行っている製造小売業のブランドである。当初は40品目の食品を中心に販売されていたが、現在は食品だけでなく、家庭用品・衣料品など約7000品目の商品を扱っている。

なかでも特筆すべきは海外展開だろう。近年、MUJIは日本国内だけでなく、アジア・欧米・中東・オセアニアなど、世界各国の出店に成功している。MUJIで作られた製品は海外でも愛されており、ファンも多い。とはいえ、MUJIが海外でブランドとして確立していくまでには、紆余曲折があったという。

MUJIが海外でも愛されるようになったのは、MUJIならではのマーケティング戦略があった――MUJIに9年間務め、現在は大学でマーケティングを研究する著者はそう語る。白や素材の色を活かしたデザインの多いMUJIの商品だが、そのデザインや色彩へのこだわりは、MUJIならではの哲学にもとづいている。その脈々と受け継がれる哲学こそが、MUJIというブランドのすべてといってもいいのかもしれない。

本書には、世界的ブランドに発展したMUJIの歴史と戦略がギュッと詰まっている。MUJIを愛する「ムジラー」の皆さんにはもちろんのこと、MUJIの製品を一度でも利用したことのある人はぜひとも読んでみていただきたい一冊だ。

渡辺智美

著者

増田 明子(ますだ あきこ)
千葉商科大学人間社会学部准教授。上智大学経済学部経営学科非常勤講師。マーケティング、消費者行動論、国際経営論を担当。
1996年早稲田大学商学部卒業。住友商事勤務を経て、2002年イタリアのミラノにあるIUML Universityに留学し、Master in Retail Managementを修了。ミラノ在住時の2004年に、現地企業によるMUJI商品の輸入販売を企画し、それがきっかけでイタリア1号店となるMUJI ITALIA(ミラノ)の開店プロジェクトに参加。日本に帰国後、2005年に良品計画に入社し、2014年までMUJIの商品開発に携わる。良品計画在籍中に早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA;Dean’s List)。その後、早稲田大学商学部研究科博士後期課程にてマーケティング論を研究。2014年から現職。著書に『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』(共著、日本経済新聞出版社)がある。日本商業界会員、日本マーケティング学会会員、日本消費者行動研究学会会員、国際ビジネス研究学会会員。

本書の要点

  • 要点
    1
    MUJIの扱っている製品は、国ごとにデザインを変更することなく販売されている。シンプルだからこそ、生活習慣や文化に左右されることなく使用できるようになっているため、世界中に愛好者がいる。
  • 要点
    2
    MUJIはアノニマス(匿名性)にこだわり、機能美を追求しつづける。その哲学は、茶道に代表される日本の美学に通じるところがある。
  • 要点
    3
    ポジショニングや経営戦略において、MUJIは一般的なブランドと反対のことを行なっている。それがMUJIのブランド価値を生みだしている。

要約

MUJIが世界で人気の理由

欧米グローバルブランドとの決定的な違い

日本で売っている商品をそのまま海外で販売しているにもかかわらず、MUJIは多くの国々で受け入れられ、世界中にファンを持っている。

MUJIと欧米のグローバルブランドとの決定的な違いは、あつかう商品数の多さだ。衣服・雑貨・食品など、MUJIのあつかう品目は多岐にわたり、現在では約7000品目が販売されている。

これができるのは、MUJIの商品がすべて「MUJIらしさ」にもとづいて商品化されているからである。だからこそ、これだけ多くの商品を出していても、ブランドイメージを保てているのだ。

秘訣は「余白の力」
SonerCdem/iStock/Thinkstock

MUJIは欧米やアジア圏から、近年では中東やインドにいたるまで、幅広い地域で店舗展開をしている。

国際経営やマーケティングの視点からすると、これだけ宗教や慣習の異なる地域に店舗展開するのはかなりチャレンジングだ。顧客の属する生活様式が異なると、日用雑貨をあつかう企業は壁にぶつかるのが普通である。

しかし、MUJIのもつクセのないシンプルな商品は、どのような文化圏に対しても合わせられる「余白の力」をもっている。この「余白の力」こそが、日本仕様の商品のまま海外で受け入れられている秘訣である。

「これでいい」と思わせる

MUJIの商品開発における基本的な姿勢は、多くの人が「良い」と思う商品をつくることである。

一般的なマーケティングでは、ターゲットとなる顧客をまず定め、そのターゲットの嗜好に合わせた商品をつくっていく。しかし、MUJIはそのような考え方をしない。

MUJIの哲学は、特定の個人の好みにジャストミートする「これ『が』いい」という商品をつくることではなく、不特定多数の人が満足する「これ『で』いい」という商品をつくることである。消費者が「これ『で』いい」と納得できるような商品をつくっているからこそ、MUJIの商品はそのまま海外でも受け入れられるのである。

機能美の追求

「用の美」を大切にする

MUJIが誕生した背景には、「民芸運動」という社会運動があった。

民芸運動とは、柳宗悦を中心に1920年代から起こった運動だ。日常的に使用している日用品の中に「用の美」を見出し、活用していこうというスローガンが掲げられていた。

日用品のアノニマス性(無名性)にこだわり、現代の生活に合った使いやすい商品を追求しつづけるという点で、MUJIは現代の民芸運動といえる。日常における美意識に注意を払い、決して目立つわけではないがそこに存在する美しさを大切にする。どこで使用しようとも違和感のないMUJIのデザインのシンプルさは、このような美意識から来ているのだ。

シンプルだから自由度が高い
Ben1183/iStock/Thinkstock

MUJIが海外で語られる際は、日本古来の美意識と結びつけて語られることが多い。MUJIの商品には無駄がないため、日本のわびさび的なコンセプトをもった商品だと捉えられているのだ。

わびさびはもともと茶道の考え方である。岡倉天心の『茶の本』によれば、茶室は空っぽの入れ物であり、そこに何を入れ、どのようにして完成形に近づけていくかが茶道の本質であるという。また、招かれた客と共に茶の経験を完成させていくというのも茶道の発想だ。

こうした茶道の考え方と、MUJIのスタイルにはたしかに似たところがある。MUJIの顧客は商品を購入すると、使いやすいように自分なりのアレンジをする。これは、MUJIがシンプルだからこそできることだ。

【必読ポイント!】アンチテーゼとしてのブランド

あえてアノニマスでいる

MUJIの戦略は、一般的なグローバルブランドが行なっているセオリーに反している。そしてそれが、MUJIを模倣できないブランドたらしめている。

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