2020年、人工知能は車を運転するのか

自動運転の現在・過去・未来
未読
日本語
2020年、人工知能は車を運転するのか
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2020年、人工知能は車を運転するのか
出版社
インプレス

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定価
1,628円(税込)
出版日
2017年02月24日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

自動運転の技術開発でしのぎを削っている自動車メーカーたち。時代は手動運転から機械との協調運転に移り、自律自動運転へと進化していく。この自動運転を実現するには、車両の開発だけでなく、道路や車両間との通信技術、そこから得られるビッグデータ、そして人工知能の存在が重要になってくる。また、安全と安心を担保した自動運転社会の実現に向けて、日本では内閣府主導のもと、人・車・道路の三位一体で取り組みを進めている。

交通コメンテーターとして長く活躍してきた著者は、自動車メーカー各社に精力的にインタビューを行ってきた。そこから浮かび上がってきたのは、各社とも移動の自由や運転の楽しさを保ちながら、事故のない安全な車社会の実現をめざしているという点だ。特に高齢化社会への対応を重視しており、ドライバーの状況を常時把握するための技術や、車が判断した理由をドライバーに伝える技術の開発に積極的だという。

つまり自動車メーカーが夢見る自動運転とは、IT企業が試みているドライバー不在の完全自動運転ではない。あくまでドライバーと車が、互いにコミュニケーションしながら協調運転を行うというものだ。「高齢者にもできるだけ長く運転してもらいたい」。こうした自動車メーカー各社の設計思想や、交通社会の未来図に触れられる貴重な一冊である。自動運転の最先端の動向を総観したい方にとって、本書は有意義なロードマップになってくれるだろう。

ライター画像
谷田部卓

著者

西村 直人 (にしむら なおと)
1972年1月11日東京生まれ。交通コメンテーター。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。大学を卒業後、自動車雑誌の編集部に勤務し、その後、独立。得意分野は先進安全技術とパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンの試乗も積極的にこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。内閣府「自動走行システム(SIP-adus)推進委員会」、国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、2007年度には東京都交通局のバスモニター役も務めた。交通安全にまつわる講演会活動も活発に行っており、特に「先進安全技術」や「ITS」では好評を博す。一般社団法人・日本自動車連盟が発行する機関誌「JAF Mate」では本誌初の二輪連載企画を4年間担当したほか、2012年度から公益財団法人・日本自動車教育振興財団の社会科副教材「Traffi-Cation」のコラムを執筆。2014年9月からスタートしたJAFのHP上の「選ぼう使おうACC」のすべてを監修/執筆。2002年5月より有限会社ナック(創業1980年5月)代表取締役。

本書の要点

  • 要点
    1
    自動車メーカーは、自動運転により、事故のない安全で快適な交通社会を実現しようとしている。自動運転技術を支える中枢にあるのが人工知能である。
  • 要点
    2
    現在は産学官がインフラ整備やフォーマット統一にあたっており、人・車・道路が三位一体となり、安全で安心な自動運転をめざしている。
  • 要点
    3
    手動運転から自動運転に移行しても、緊急時に運転操作をドライバーが引き継ぐ場合があるため、人と機械の協調運転が欠かせない。自動車メーカーはドライバーの状況を車が把握する様々な技術開発を行っている。

要約

自動運転を取り巻く世界

自動運転の最新動向

自動運転によって、事故のない安全で快適な交通社会を実現することが、自動車メーカーの理想の未来図である。世界各国の技術者たちは、長年の間、技術開発競争を日夜繰り広げている。2020年には、自動運転技術を搭載した車を販売すると断言した自動車メーカーも出現し、時代は「手動運転」から「自動運転」へと移ろうとしている。この自動運転の中枢技術として、人工知能の存在は不可欠となってきた。

自動運転を実現するには、外界情報を検知するセンサー、信号機などの情報を取得する無線通信技術、車の制御システム、ドライバーに情報を伝える技術などが求められる。そしてこれらの技術開発には、「協調領域」と「競争領域」の2種類があり、これが世界共通の開発セオリーとなっている。

ここでの協調領域とは、自動運転のシステムプラットフォームやデジタルマップなど、最も基礎となる分野を指す。日欧米の産官学が連携して規格を統一し、オープンに利用できる状態をめざしている領域だ。一方、競争領域とは、各国の交通事情を反映したり、各企業が便利さを追求したりして、サービスを独自に開発する領域である。

日本での自動運転技術普及に向けた取り組み
monsitj/iStock/Thinkstock

日本では内閣府主導のもと、SIP-adusというプロジェクトが次の3つの目標達成に向けて始動している。それは道路交通における事故低減と渋滞削減、自動走行システムの早期実現と普及、高齢者や交通制約者にも優しい先進的な公共バスシステムの実現の3つである。

具体的な実証実験としては、ダイナミックマップ、人と機械のインターフェース(HMI)、情報セキュリティ、歩行者事故低減、次世代都市交通の5つが現在進められている。ダイナミックマップとは、高精細のデジタル地図と通信を組み合わせたインフラを指す。

また自動運転技術を普及させるには、通信技術、ビッグデータ、人工知能の3点が必要となる。この通信技術とビッグデータは、車同士またはインフラとつながることを想定し、複数の企業で利用できるように統一フォーマットを構築しなければならない。

人・車・道路の三位一体

自動運転レベルは、世界的にレベル0~5の6段階で定義されている。レベル2は部分自動運転、レベル3で条件付自動運転となるが、場合によってはレベル3においても、手動運転に切り替えて、人が運転操作を引き継げる状態が求められる。すると、人が運転を速やかに引き継げない場合にどう対処するのかという課題が生じる。人の運転操作をシステムが完全に代行するなら、交通状況を俯瞰し、適切な情報を与える管制官の存在も必要になる。

自動運転技術に安全と安心が伴わなければ、自動運転社会の実現は難しい。このため人・車・道路が三位一体になって安全な車社会をめざすことが重要だ。使用条件を狭く限定すれば、今でも自動運転技術は実現できるが、それでは人と車の協調運転が実現したとはいえない。SIP-adusが掲げる理想は、どんな条件下でも、高度な安心と安全が担保される状態なのだ。

自動運転の歴史はACCから始まる

本格的な自動運転の始まりは、アダプティブクルーズコントロール(ACC)にある。この技術は、アクセルを踏み続けるという操作からドライバーを解放したクルーズコントロールに、前走車を認識するセンサーを組み合わせて、ブレーキ操作の機能を追加したものである。

ACCはセンサーの発達とともに次第に発展し、日本での普及率も伸びてきた。

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