2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方

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2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方
出版社
かんき出版

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出版日
2017年05月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「人工知能(AI)の進化に伴い、人の仕事が奪われる」。こうした煽り文句に不安を抱く人もいるのではないか。一方、テクノロジーの進化や働き方改革に伴い、「私たちはどう生きたいのか」「幸せな働き方とは何か」という本質的なテーマにスポットライトが当たりつつある。しかし、漠然とした未来予測を知るだけでは、ピンとこない――。そんな読者にぜひお届けしたいのが、人工知能時代の「地に足のついた働き方論」である本書だ。

働き方の専門家である著者は、「この数年の間に、目の前の仕事をどう変化させていけばいいのか」という、ビジネスパーソンにとって一番気になる部分を掘り下げてくれる。様々な職を「営業・接客系」「製造系」「技術系」「事務・管理系」に4分類し、人間とAIとの協働に関する身近な具体例を示してくれる。この解説が実にわかりやすい。AIとうまく協働することで、効率化や生産性向上だけでなく、人間がより楽に、楽しく働ける状態につながるという。こうしたメッセージは漠然とした不安に希望を与えてくれる。

人工知能時代に向けて、どんな能力が求められるのか。組織のリーダーの役割はどう変わっていくのか。示唆に富む内容が、著者等身大の言葉で綴られている。さらには、キングコングの西野亮廣氏、リバネスの丸幸弘氏など、「幸せな働き方」の体現者とのインタビューが3つも掲載されているのも、読みどころの1つだ。働き方を考えることは、「生き方」を見つめ直すこと。本書を読むと、そう感じずにはいられない。自分らしい働き方・生き方のモデルを模索していく際の拠り所を与えてくれる1冊だ。

ライター画像
松尾美里

著者

藤野 貴教(ふじの たかのり)
組織開発・人材育成コンサルタント。グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)。人工知能学会会員。外資系コンサルティング会社、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性化・新規事業開発・営業マネジャーを経験。2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。2015年から現在の研究テーマは「人工知能の進化と働き方の変化」。研修やセミナーの受講者はのべ1万人を超える。
2006年、27歳のときに東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町ハズフォルニア)で子育て中。家から海まで歩いて5分。職場までは1時間半。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)と田んぼ。
本書は、著者が「働き方」の専門家として、人工知能が進化する中で、いかに人間として幸せに働き、生きるかというヒントを提案した希望の書である。

本書の要点

  • 要点
    1
    幸せな働き方を生み出すためのポイントは、AIと協働することで何ができるのかと思いを巡らすことである。
  • 要点
    2
    人間ならではの価値を生み出すには、現在の仕事を、AIの苦手な領域である、コミュニケーター、モデレーター、イノベーターの領域にいかに近づけていくかを考えることが重要である。
  • 要点
    3
    今後のリーダーは、テクノロジーの最前線を学び続け、率先してAIを活用し、多様なメンバーを巻き込むことが求められる。

要約

人工知能はどこまで進化しているのか?

まずは「AIを知る」ことが第一歩

AIで仕事を代替することは、仕事の効率化や生産性向上だけでなく、人間がより得意な領域に仕事の軸足を移し、より豊かな人生を送ることを可能にする。

この恩恵を享受するには、テクノロジーについて知ることが大事な一歩となる。AIの急激な進化を支えているのは、ディープラーニングという技術の発展である。ディープラーニングのすごさとは、「機械が目をもった」ことである。例えば、玉ねぎの見た目の特徴を教えなくても、大量の玉ねぎの画像をコンピューターに見せていくと、「こういう特徴がある場合は玉ねぎである可能性が高い」と自動的に認識できるようになってきたのである。この精度を高めるには、学習させるデータの質が最も重要となる。実際のところ、ネット上の膨大な画像データをもとに学習したAIの画像認識精度は、すでに人間を超えているという。

働き方の3ステップ、「知る」「使う」「創る」
ipopba/iStock/Thinkstock

人工知能時代を生きるうえで大事なのは、AIを活用して、どんなサービスを開発していくかを考えることだといえる。具体的には「知る」「使う」「創る」のステップを踏むとよい。

例えば女子高生のAIチャットロボット、LINEの「りんな」を知って終わりになっていないだろうか。まずは「AIと会話をする」という体験を実践するよう、著者は薦めている。この体感こそが、AIに対する漠然とした不安や恐怖を払しょくしてくれる。さらには、AIを使ったサービスなど、新ビジネスの発想が浮かびやすくなるはずだ。

人の仕事がAIに置き換えられていくことは、世の中の潮流としてまず間違いない。今後は「AIが人の仕事を奪う」という言葉だけで思考停止に陥るのではなく、テクノロジーの進化による変化を予測し、働き方や仕事の中身を実際に変えていくことがますます求められる。同時に、AIと協働することで何ができるのかと思いを巡らすことで生まれるワクワク感こそが、今後の働き方の醍醐味となるだろう。

【必読ポイント!】 働く個人はどう進化していけばよいのか?

人間ならではの価値を生み出すために
かんき出版さまご提供

AIに代替されない、人にしかできない価値を考える際、AIが苦手な領域に目を向けてみるとよい。そこで次のようなマトリクスをつくる。横軸の左側には、「論理的・分析的・統計的」を、右側には「感性的・身体的・直観的」をおく。次に縦軸の下には、仕組み化された中で大量に実施する能力「構造的」を、その対極には、問いを立てて仕組み化を行う能力「非構造的」をおく。こうしてできた4つの区分のうち、AIが得意とするのは左下の領域である。コンピューターは「疲れない」「飽きない」ため、高速かつ大量に同じことをくり返してくれる。

一方、AIが苦手な残り3つの領域こそ、人間の本領発揮である。

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要約公開日 2017.07.04
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