10倍速く書ける 超スピード文章術

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出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2017年08月23日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

会議の議事録、企画書、顧客向けの新商品のPR文、そして刻一刻と増え続けるメール。書く機会が膨大にある現在、ビジネスにおいて、文章を速く書けるかどうかは死活問題といってよい。「伝わる文章を、速く書きたい」。これは、文章の壁にぶつかる、あらゆるビジネスパーソンにとっての切なる願いだろう。そんな救世主となるような、文章術の決定版が登場した。その名も『超スピード文章術』。

著者の上阪徹氏は、毎月1冊のビジネス書を世に出し続けている「爆速ブックライター」である。3000字の記事を1時間ほどで書き上げるというから、驚異的なスピードだ。そんな上阪氏が、文章を書くためのステップ、意識すべき行動習慣などを、具体例を豊富に織り交ぜながら伝授してくれる。とりわけ、著者の編み出した「素材文章術」は、「名文を書かなくては」という固定観念を取り去ってくれる。読者はこう気づくだろう。大事なのは「どう書くか」ではなく、「何を書くか」に集中することなのだと。

上阪氏が書いた、文章に関する本は『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『職業、ブックライター。』(講談社)など、いずれも学び多きものばかりだ。しかし、本書がそれらと一線を画すのは、文章術を極限にまで再現性の高い技術に磨き上げ、誰でも取り組める明快なステップに昇華したことにあるといえる。

あらゆるビジネス文書に応用可能な超スピード文章術。この最強の武器を駆使できるようになれば、圧倒的ハイパフォーマーに仲間入りできるにちがいない。

ライター画像
松尾美里

著者

上阪 徹(うえさか とおる)
ブックライター。上阪徹事務所代表。「上阪徹のブックライター塾」塾長。担当した書籍は100冊超。携わった書籍の累計売上は200万部を超える。23年間1度も〆切に遅れることなく、「1か月15万字」「5日で1冊」書き続ける超速筆ライター。
1966年兵庫県生まれ。85年兵庫県立豊岡高校卒。89年早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手がける。これまでの取材人数は3000人超。主な寄稿媒体に『GOETHE』(幻冬舎)、『AERA』(朝日新聞出版)、『週刊現代』(講談社)、『就職ジャーナル』(リクルート)、『リクナビNEXTジャーナル』(リクルート)、『東洋経済ONLINE』(東洋経済新報社)などがある。
著書に『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス〈生きる意味〉』(日経BP社)など。インタビュー集に、累計40万部を突破した『プロ論。』シリーズ(徳間書店)、『外資系トップの仕事力』シリーズ(ダイヤモンド社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    文章においては「どう書くか」よりも「何を書くか」が、はるかに重要である。文章を速く書き上げるコツは、「独自の事実」「エピソード」「数字」という、具体的な「素材」を準備することだ。
  • 要点
    2
    良い素材を集めるには、文章を書く「真の目的」を明らかにすること、具体的な「一人の読者」をイメージすることが鉄則となる。
  • 要点
    3
    ムダがない素材の集め方は、「多く集めて、あとで削る」である。
  • 要点
    4
    素材を読みやすい順番に組み立てる際は、集めた素材をすべて「見える化」するとよい。

要約

なぜ文章を書くのに時間がかかってしまうのか?

なぜ、LINEは誰でも速く打てるのか?

文章に苦手意識がある人は多い。しかし、LINEではほとんどの人が抵抗なく、速く文章が書けるのはなぜか。それは、LINEのコミュニケーションでは、「うまい文章」ではなく「用件」「必要な情報」が重視されるからだ。

LINEの開発者がめざすのは「シンプルに結論だけ伝えられるもの」である。東日本大震災のような非常時においても、全世代の人が安否確認できるようにするためだ。用件だけでも言いたいことは伝わるのである。

著者はかつて、300字を書くのに丸一日かかっていた。しかし、表現力豊かな名文を書かなくてはいけない、という呪縛から脱却したことで、長い文章をスラスラ書けるようになったという。「うまい文章」は慣用句が多用されている。お手本にしようとすると、読み手に伝わりづらくなってしまう。

むしろ、結論が重視されるビジネスの世界では、「わかりやすくて、読者に役立つ文章」をめざすべきだ。ここからは、著者が編み出した「素材文章術」を紹介していく。

素材文章術で10倍速く書ける!
DragonImages/iStock/Thinkstock

文章を書き始めたものの、すぐに行き詰まる。文章執筆に時間がかかる。これらの最大の原因は、ゼロから文章をつくろうとすることにある。文章を速く書き上げるには、文章の「素材」を準備することが欠かせない。

文章においては「どう書くか」よりも「何を書くか」が、はるかに重要である。つまり、「素材」のよさがモノをいう。素材とは、「独自の事実」「エピソード」「数字」の3つを指す。

現に企画書も素材からできている。書き手の思いが強いと、「よく思われよう」として説明しすぎることもしばしばだ。しかし、企画書の読み手が知りたいのは、「どんな課題をどのように解決するか」である。それを補強する最低限の素材がしっかりあれば、その素材を並べるだけで、短時間で企画書が書ける。大事なのは素材が「具体的」であることだ。

とはいえ、3000字程度の長い文章も、素材だけで書けるのか。その心配は無用だ。たくさんの素材を集めておけば、数千字の原稿も苦にならない。

【必読ポイント!】 正しい素材を集める2つのルール

ルール1:文章を書く「真の目的」を明らかにする
Jacob Ammentorp Lund/iStock/Thinkstock

ここからは素材文章術の具体的な方法を、次の5つのステップに沿って紹介する。そのステップとは、(1)書く目的と読者を定める、(2)素材を集める、(3)素材を組み立てる、(4)一気に書ききる、(5)見直す、というものだ。

最初のステップは、正しい素材を集めるための2つのルールを理解することから始まる。1つ目は、文章の目的をはっきりさせることである。社内報のエッセイ、会議の議事録といった表面上の目的を知っているだけでは十分ではない。素材を集める判断軸がはっきりしないからだ。そこで、表面上の目的から「真の目的」まで掘り下げることを意識したい。

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要約公開日 2017.10.04
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