たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク

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たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク
出版社
フォレスト出版

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出版日
2017年07月06日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

2011年7月にドイツで行われた女子のワールドカップサッカー。決勝の相手は強豪アメリカ。なでしこジャパンは大健闘し、2-2でPK戦となる。日本中の国民が固唾を飲んで見守る中、選手たちは極度のプレッシャーを感じていただろう。そんな場面で佐々木則夫監督は選手たちに明るくこう言った。「思いっきり楽しんでこい!」選手たちは、佐々木監督のこの一言で勝たなければならないというプレッシャーから解放された。その結果、試合を思いっきり楽しみ、見事、ワールドカップ初優勝を勝ち取った。

本書は、相手を励まし、「たった1分」で相手の心に火をつける技術「ペップトーク」を紹介した一冊だ。ペップトークは、スポーツ大国のアメリカで生まれ、最高峰の舞台で磨かれてきた。ペップとは英語で「元気・活気」という意味だ。試合前のロッカールームで緊張し身震いする選手たちに向かい、監督やコーチが彼らの心に火をつける言葉がけ、それがペップトークである。

著者は1000本以上の映画の中で再現されたペップトークを分析した。そのうえで、本書では「5つのルール」と「4つのステップ」という形で、誰でも使える励ましの技術が紹介されている。この技術は、スポーツの世界に限らずビジネス界でも効果があることが実証されている。では効果的なペップトークのつくり方、伝え方は何か。その答えが本書にある。部下をやる気にさせたいリーダーやマネージャー、子どもたちの力を発揮させたい教師・指導者の方々にぜひ本書をおすすめしたい。

著者

浦上 大輔(うらかみ だいすけ)
魂に火をつける講演家。一般財団法人日本ペップトーク普及協会専務理事。一般社団法人日本朝礼協会理事。
1969年東京都生まれ。北海道大学で運動生理学(健康体育科学修士)、理学療法学を学び、運動指導のスペシャリストとして、学校体育、リハビリ医療、高齢者介護の現場で活躍。Strechpole®の株式会社LPN代表取締役、一般財団法人日本コアコンディショニング協会理事長を経て、ペップトークの第一人者岩﨑由純氏と一般財団法人日本ペップトーク普及協会を設立。
人をやる気にさせるペップトークの講演・研修を企業、学校、医療・介護、行政、各種団体で行い全国を飛び回る。持ち前の発想力と巻き込み力でコーチングの第一人者平本あきお氏とリーダーコミュニティ、朝礼の第一人者大嶋哲介氏とともにオンライン朝礼コミュニティーを全国に展開中。

本書の要点

  • 要点
    1
    人のやる気が湧き起こるメカニズムは、承認欲求・貢献欲求が満たされた時である。相手の存在を認めることが信頼関係の根っことなる。
  • 要点
    2
    ペップトークによって相手を「リソースフル」な心の状態にすることができる。相手は緊張や不安を解き放ち、本来持っている力を出しきれるようになる。
  • 要点
    3
    ペップトークをつくる際は、「5つのルール」を前提として、受容・承認・行動・激励という「4つのステップ」に沿って組み立てていく。
  • 要点
    4
    相手の心の状態によってやる気の入るスイッチは異なる。

要約

やる気が湧き起こるメカニズム

存在ステージで相手の存在の重要性に気づく

人のやる気が湧き起こるメカニズムは、「自分に価値がある」と感じた時である。自分に価値を感じる時は、大きく分けると承認欲求と貢献欲求が満たされた時である。これらの欲求には、「存在ステージ」、「行動ステージ」、「結果ステージ」の3つのステージがある。3つのステージはピラミッド状になっている。一番下の存在ステージが最も大きな土台となり、その上に行動ステージ、さらにその上に結果ステージが積み重なっている。つまり、存在ステージが人として最も大事な根っこの部分であり、これに目を向けることが、相手と良い関係性を築く土台となる。

各ステージを簡単に解説していく。人は自分の存在意義を求めてやまない。存在ステージは、相手の存在そのもの、「こうなりたい、こうありたい」という相手の思い、相手の夢や本人も気づいていない可能性を承認するステージだ。

存在ステージに対しては、承認と貢献のアプローチがある。「存在を承認する」とは、「あなたはあなたのままでいい」というように、行動や結果ではなく、相手の存在をシンプルに承認することである。一方、「存在で貢献する」とは、「いてくれてありがとう」といった言葉で、相手の存在が自分にとって役立っていて、大切だと伝えることを指す。

行動ステージと結果ステージ
UberImages/iStock/Thinkstock

次に、「行動ステージ」とは、思いに基づき、結果を出すために頑張っていることに気づくステージである。このステージでも、承認と貢献の両面のアプローチによって、相手のやる気を高めることができる。

「行動を承認する」には、「○○しているね」というフレーズを使う。人はある行動を指摘されると、意識がそこにいき、その行動をとりやすくなる。一方、「行動で貢献する」とは、「○○してくれて助かるよ」などと、相手が行動することで周りに起きている良い影響を伝えることである。

そして「結果ステージ」では、行動によって生まれた結果に注目する。このステージでも承認と貢献のアプローチが重要となる。「結果を承認する」は、「頑張ったね」と相手の出した成果を認めることである。これに対し、「結果で貢献する」は、「君たちの勝利は多くの人たちに勇気を与えてくれた」などと、相手が結果を出したことで周りに起きている良い影響を伝えることである。

リソースフルな心の状態

スポーツの試合や大事なプレゼン本番で、入念に準備をしたにもかかわらず緊張や不安で頭が真っ白になった。挙句には本来持っている力を発揮できずに悔しい思いをした。こういう経験はないだろうか。

本来、誰でも行動して目の前の現実を変え、夢を叶える力を持っている。しかし、多くの人はその力を本番で出しきれない。本来の力を発揮できるかどうかは、その人の持つ力と心の状態で決まる。それが「リソース」と「リソースフル」である。

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要約公開日 2017.08.18
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