こうやって、考える。

未 読
こうやって、考える。
ジャンル
著者
外山滋比古
出版社
定価
748円(税込)
出版日
2021年12月16日
評点
総合
4.0
明瞭性
5.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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著者
外山滋比古
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定価
748円(税込)
出版日
2021年12月16日
評点
総合
4.0
明瞭性
5.0
革新性
3.0
応用性
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レビュー

思わずカバンに忍ばせて持ち歩きたくなる本である。

本書は『思考の整理学』で知られる「知の巨人」、外山滋比古氏の金言集だ。これまで外山氏が出版した書籍のエッセンスが、150の言葉に濃縮されている。どれもこちらの発想や思考を刺激するものばかりで、眺めているだけでも十分に楽しい。もちろん頭から通して読んでもおもしろいが、たまたま開いたページから着想を得る、なんて使い方もオススメだ。それもまた外山氏のいうセレンディピティである。

なかでも注目に値するのが、本の使い方についての指摘だ。本書のなかで外山氏は、「本を読むだけになってしまってはならない」と訴える。曰く、本は知識を増やすのには適しているが、代わりにこちらの思考力を奪いかねない。本との付き合い方、向き合い方についても、あらためて考えさせられる。

また外山氏は研究者でありながら、専門家になる弊害についてたびたび言及し、シロウト的な会話のなかにこそクリエイティビティが眠っていることを強調する。新しいアイディアは、異なるものがぶつかりあったときにこそ生じるものだ。気軽になんでも語り合える人がどれぐらいいるかで、その人のクリエイティビティは決まってくるのかもしれない。

本書はあなたに多くの気づきと着想をもたらしてくれる。どうか一口で平らげるのではなく、何度も咀嚼しながらじっくりと味わってほしい。そんな味わい深い一冊である。

ライター画像
石渡翔

著者

外山 滋比古(とやま しげひこ)
1923年、愛知県生まれ。東京文理科大学英文科卒。雑誌『英語青年』編集、東京教育大学助教授、御茶ノ水女子大学教授、昭和女子大学教授を歴任。お茶の水女子大学名誉教授、文学博士、評論家、エッセイスト。専門の英文学のみならず、思考、日本語論などさまざまな分野で創造的な仕事を続け、その存在は、「知の巨人」と称される。2020年7月逝去。主な著作に『思考の整理学』(ちくま文庫)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社文庫)、『50代から始める知的生活術』(だいわ文庫)、『ものの見方、考え方』(PHP文庫)、『消えるコトバ・消えないコトバ』(PHP研究所)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    知識から思考が生まれることはほとんどない。知識を集めることよりも、自分の知見を育むことのほうが重要である。
  • 要点
    2
    純粋すぎるのは問題だ。人生を豊かにするためには少しぐらい雑然としていたほうがいい。
  • 要点
    3
    朝は金であり、昼と夕方は銀である。ただし朝食後は鉄、昼食後と夕食後は鉛になる。とくに夜10時以降は石だ。夜に作業をすると石頭になりかねない。
  • 要点
    4
    むやみに愛読書をつくってはならないし、多読を誇ってもならない。何度読んでも発見のある本が3冊もあれば、りっぱな読書人である。

要約

発想力を鍛える

未知のものを見つけ出すには
Nikolas_jkd/iStock/Thinkstock

いたずらに情報や知識を集めて喜んではならない。大切なのは自分にとって未知のものを見つけ出し、それをもとに自分の”知見”を創出することだ。

ただし未知のアイディアを正面から捕まえようとしても、なかなか一筋縄にはいかない。むしろ気にしていないように振る舞っているときにこそ、アイディアは降ってくるものである。とにかく何かに対して一心不乱に努力しよう。精神が研ぎ澄まされているときにこそ、予想外のアイディアが舞い降りてくる。

また失敗のなかにも、多くのすばらしいアイディアが詰まっている。たとえば化学には失敗がつきものだが、失敗のなかには新しい発見も多い。セレンディピティ(思いがけないことを発見する能力)とは失敗、間違いの異名なのだ。

さらに場所も重要である。かつて中国の欧陽脩(おうようしゅう)は、文章を練る際にもっとも妙案が浮かぶ場所として、三上(枕上、鞍上、厠上)を挙げた。他のことをしているときにこそ、精神は最大の自由を獲得するものだ。そして予想もしなかった名案が浮かぶのも、まさにその瞬間なのである。

思考力を高める

知識は「死んだもの」

知識から思考が生まれることはほとんどない。仮に生まれてきても、それは小粒で非力なものだ。なぜなら思考とは、生きている人間の頭から生まれるものだからである。ゆえに研究室で本を読んでいる人は思考に適さない。生活が貧弱だからだ。

たしかに知識は「力」である。だが知識が多くなると、自分で考えることをやめてしまう。極端にいえば、知識の量に反比例して思考力は低下する。本を読んで得られる知識は過去形のものばかりだ。もちろん使えるところはあるが、それだけでは不十分である。どうしても現在形の思考力や判断力が求められる場面はある。そういうときに、死んだ知識は役に立たない。

重要なのは常に問い、疑うことだ。自分にとって新しいことに遭遇したら、自問してみるとよいだろう。常識になっていることに対しても、「ホントにそうだろうか」と問いかけてみるべきである。ただし、こうした問いかけ方は少し具体的すぎる。さらに自由な思考をするためには、「なに」や「なぜ」を問うだけでは不十分だ。未知を考えなければならない。

感想を書く

本は読みっぱなしにせず、あとでかならず感想を書くようにするべきだ。書くことは面倒なことだが、頭脳をよくするもっともすぐれた方法なのだから。

思いついたことを書く際は、手帳を活用するのがオススメである。手帳のメモに思いつくまま書きつけていこう。書きっぱなしではおもしろくないので、少し時間を空けたら見直してみる。そうすると、もっとおもしろいアイディアが生まれることもある。新しく生まれたアイディアは、用意したほかのノートへ移してあげるのがいいだろう。

このとき、雑然とメモを並べるのではなく、通し番号をつけておくと参照する際に便利である。記入した日の日付も加えておくと、思わぬ瞬間に役に立つ。

純粋よりも雑であれ
vicnt/iStock/Thinkstock

学者にかぎらず、何かひとつだけに打ち込んでいる人にはどこかおかしいところがある。

純粋すぎるのは考えものだ。人間は多少、不純なぐらいがちょうどいい。清濁併せ呑む人間こそ大きくなれる。人生を豊かにするためには、わき道にそれることも必要だ。「純粋であることはよいことだ」と私たちは教育されてきたが、むしろ雑は純一(じゅんいつ)よりも豊かなのである。

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