怒らないこと

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怒らないこと
出版社
定価
770円(税込)
出版日
2021年06月15日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

人気テレビ番組「アメトーーク!」の「読書芸人」で話題になった本書のテーマは、その名の通り「怒らないこと」。怒らないためには怒らなければいい。ただそれだけのことだ――本書の第1章で、著者はこのように述べている。

この言葉に戸惑うのは、要約者だけではないだろう。怒りたくないのに怒ってしまうから困っているのだ、と。それに対して著者は「あなたが怒ったのは、怒りたかったからでしょう?」と言う。

本書には、「怒ることは愚かなこと」「怒った人は動物以下」「自分が絶対正しいということはない」などといった、怒りっぽい人には受け入れがたい真実が書かれている。だが、こうした真実から目をそらすことなく、自分に徹底的に叩きこむことで、「怒りとは恐ろしいものだから、そう簡単には怒れない」という状態までもっていくことができるのだ。

著者は、怒りがまっ先に破壊するのは自分で、その後に他人を破壊すると書いている。たしかに「怒る」という行為は疲れる。ふと冷静になったときに「私、なんであんなに怒っていたのだろう」と自己嫌悪に陥ることもしばしばだ。だから誰しも、怒らない人になりたいと願うのだろう。

ある朝、本書を読んだ後にいざ仕事を始めようとしたら、同僚の作業が不十分で、怒りに任せて「しっかり○○してください!」とメモを書きかけたことがあった。しかし本書の内容を思い出して、「ちょっと冷静になろう」と、そのメモを破って捨てることができた。そのくらい本書の言葉は強烈で、「怒り」に対する考え方を変えてくれるものである。

著者

アルボムッレ・スマナサーラ(Alubomulle Sumanasara)
スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。1945年、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとったのち、1980年に国費留学生として来日。駒澤大学大学院博士課程で道元の思想を研究。
現在、宗教法人日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事し、ブッダの根本の教えを説きつづけている。朝日カルチャーセンター(東京)の講師を務めるほか、NHKテレビ「こころの時代」などにも出演。
著書に、『心がフッと軽くなるブッダの瞑想』『ブッダが教える 執着の捨て方』(だいわ文庫)、『死後はどうなるの?』(角川文庫)、『ためない生き方』(SB新書)、『ブッダに学ぶ ほんとうの禅語』(アルタープレス)、『52の「心所」で読み解く仏教心理学入門』(誠文堂新光社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「怒ること」は愚かなことだ。「自分が正しい」という思考を捨て、自分の不完全さを認めれば、怒ることはなくなる。
  • 要点
    2
    怒る人ほど頭が悪いという真理がある。怒りは自分を破壊し、他人を傷つける。怒った状態の人間は、智慧も客観性もない動物以下の存在である。
  • 要点
    3
    怒ってしまった場合は「これは怒りの感情だ」と、自分の内なる感情を観察しよう。怒りがすぐに消えるはずだ。

要約

【必読ポイント!】 「怒り」とは何?

「怒ること」は愚かなこと

我々は日頃、怒ることを肯定する言葉を耳にする。怒っている人を目にする機会も、決して少なくはないはずだ。

あなたが日常的に誰かの怒りに触れているのは、怒りについて何も知らない人ばかりだからだ。本来、「怒り」という言葉は気軽に口にできるものではない。「私は怒りました」と言うことは、「私はバカです」と触れ回っているのと大差ないからだ。

著者はよく「怒りたくないのに怒ってしまう。どうしたらよいでしょうか」といった相談を受ける。その答えはシンプルで、「怒らないこと」ただそれだけだ。それ以外に答えはない。

そう聞くと多くの人は「それができないから聞いているのだ」とムッとする。そうした人は心の中で「私は怒りたい放題、思う存分、勝手に怒ります。でも、怒ってはいけないから、何かいい方法を教えてください」と思っているのだろう。そしてその矛盾した気持ちに気づいていない。

怒らないようになるには、まず「私は怒りたいのだ。ロクなものではないのだ」と認めること。問題を解決するために、問題の理解から始めよう。

人間は「怒り」と「愛情」で生きている
Prostock-Studio/gettyimages

「怒り」とは、愛情と同じく心にサッと現れるひとつの感情である。人間は、家族や好きな人を見ると心の中にすぐ愛情が生まれる。怒りも愛情と同じように心の中に一瞬で芽生える感情であり、簡単にいうと、人間は「愛情」と「怒り」、これら2種類の感情で生きているといえる。

お釈迦さまの言葉を忠実に伝える古代インド語「パーリ語」には、怒りを意味する単語が多く存在する。その中でも一般的なものはdosa(ドーサ)だ。dosaは「穢れる」「濁る」という意味を持つ。

人間は、心にdosaが生まれると、その逆の感情、piti(ピーティ)という喜びの感情を確実に失う。心に怒りが生まれると同時に、喜びが消えてしまうのだ。

だから、じつは怒りはわかりやすいものである。自分が今怒っているかどうかわからない場合は、「今、私は楽しい?」「今、喜びを感じている?」と自問自答してみるといい。楽しくないと感じるなら、心に怒りの感情がひそんでいるということだ。

「暗い感情」(dosa)から「怒り」(vera)へ

感情には「どんどん強くなる」という性質がある。そして強くなった感情は違った働きをする。

わかりやすい例を出そう。我々のからだには電気が流れていて、それは小さな豆電球を明るくすることもできないくらい少量だ。しかしその電気も、たくさん集まれば大きなエネルギーとなる。

怒りもこれと同様で、ネガティブな気持ちが非常に小さいものでも、それが溜まっていくと、別の働きをする。自分が爆発してしまい、他人まで傷つけてしまうかもしれない。拳を握ったり、筋肉が震えたりするほどの「強い怒り」を、パーリ語ではvera(ヴェーラ)という。

dosaがあまりにも強烈になると、veraとなり、じっとしていられなくなる。さらに強くなると、行動を抑えられなくなり、いろいろなものを破壊していく。まっ先に破壊するのは自分だ。自分を破壊したあとに、他人も破壊していく。破壊は怒りから生まれるのだ。

創造の源泉は愛情で、創造したものを破壊するのが怒りである。世の中には、愛情と怒りというふたつのエネルギーの働きがあるといえる。

怒りは「自分が正しい」という考えから生まれる
kuppa_rock/gettyimages

怒らないほうがよいとわかっているのに、我々はなぜ怒るのだろう。それは、我々が常に「私は正しく、相手は間違っている」と信じているからだ。

しかしその思考は間違っていて、一刻も早く捨てた方がよい。人間が完全であるはずなどない。物事を正しく判断できる知識人は、自分で意見を述べながらも「今はこう言っているが、それでも隙はある」と理解しているのだ。

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