急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。

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出版社
出版日
2017年07月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

スマホで動画を見るのが当たり前となり、嗜好や属性に基づいたターゲティング広告テクノロジーが発達したなか、企業は「Webで店頭商品は売れない」「Webでブランディングはできない」「Webクリエイティブはお金をかけるものではない」などといった思いこみによって、消費者とのコミュニケーションに苦悩している。

著者はデジタル広告がうまくいかない理由を、「クリエイティブ」と「仕組み」の双方がきちんと組み合わさって機能していないためと断ずる。デジタル広告特有の「仕組みとテクニック」や「クリエイティブの作法」を理解すれば、Webで「バラ撒いて祈る」だけではなく、「票読み」できるコミュニケーション設計も可能だという。

たとえば本書に記されている「VAIOノートパソコン」の例のように、ある程度ターゲットが限定された商品であれば、Web広告だけで「ブランディング」から「刈り取り」までのすべてを行なうことも不可能ではない。ただ現実には、マス広告とデジタル広告を手がける組織は分断されている。デジタル広告の予算は非常に乏しく、広告主である企業や広告代理店、広告エージェンシーの「組織」と「意識」が追いついていないのが現状だ。

このような課題を乗り越え、マスとデジタルのすべてを横つながりで考える「Webも最大限活用する次世代広告クリエイティブ」を創造していく必要がある。そう確信させてくれる一冊である。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

小霜 和也 (こしも かずや)
Copywriter / Creative Director / Creative Consultant
1962年兵庫県西宮市生まれ。1986年東京大学法学部卒業。
同年博報堂入社、コピーライター配属。1998年退社。
2017年現在、株式会社小霜オフィス no problem LLC.代表。
これまでの主なクライアントは、キリン、花王、リクルート、VAIO、京橋エドグラン、アイフル、豊田TRIKE、メガネスーパー、H.I.S、isee! 運動、サントリー、ヒロインメイク、XSOL、マキシマム ザ ホルモン、セガ、Fields、TECDIA、クリナップ、ドコモdアニメストア、ドクタープログラム、Reebok、Play Station、日本生命、NTT西日本、izumoden、ファミリーマート、宇宙航空研究開発機構、CITIZEN、サントリーウエルネス、武田薬品、Nissen、HONEYS、モエ・ヘネシー・ディアジオ、マイクロソフト、Swatch、三井不動産、三菱地所、コーセー、SONY、MTV、DDIポケット、片岡物産、POKKA、エスティローダー、TOYOTA、Docomo、シャデイ、東京ガス、明治製菓、SONYMusic、Amazon、intel、CASIO、日産、TOTO、JAL、キッコーマン、TBC、愛 地球博・日本館、資生堂、ハウス食品、他多数。
広告賞受賞多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「Webで店頭商品は売れない」「Web広告ではブランディングができない」といった誤解を解きほぐせば、デジタル広告は新たなマス広告になる可能性を秘めている。
  • 要点
    2
    Web広告を成功させるためにもっとも重要なポイントは、単に「バラ撒く」のではなく、ある程度「票読み」できるように設計することである。
  • 要点
    3
    マス広告とWeb広告は対立するものでも、役割分担して棲み分けるものでもない。どちらも活用した新たな広告クリエイティブを創造していかなければならない。

要約

「バラ撒いて、祈るだけ」から「ムダ打ちゼロ」へ

デジタル広告は6番目のマス広告

デジタル広告周りはいま、混沌としている。だがそれは「Web動画で店頭商品は売れない」「マス広告はブランディング、デジタル広告は刈り取りという役割分担」といった誤解によるものだ。

そもそもの問題は、マス広告とデジタル広告の双方を俯瞰で見られるクリエイターがほとんどいないことに起因している。しっかりした戦略とメディアプランに基づけば、デジタル広告はテレビ、新聞、雑誌、ラジオ、交通・OOH(屋外広告)の次、6番目のマス広告たりえるはずだ。

デジタルクリエイティブとは、6つすべてのマス広告をひっくるめた「次の時代の広告クリエイティブ」なのである。

「Web動画」という言葉に込められたナニカ
evgenyatamanenko/iStock/Thinkstock

「Web動画」という言葉には、テレビCMに比べれば一段劣るという「劣等意識的なナニカ」がこめられている。そこで著者は「Web動画」の代わりに、「WebCM」という言葉を用いている。Web広告もテレビCM同様に、投資に対してリターンの見込める「票読み」ができるからである。

目的に応じて内容とメディアプランニングを最適化すれば、WebだけでもテレビCMと同様の成果を出すことが可能だ。たとえば著者の手がけたVAIOノートパソコンの広告では、テレビCMを一切やめ、Webのみで認知から理解、購入までの構造をつくった。「ムダ打ちゼロ」をめざして、ターゲットを特化させ、短期・長期のPDCAサイクルを回すなど緻密な取り組みをした結果、このノートパソコンは売れに売れた。製造が追いつかないため、「お詫びCM」をWebで配信することになったほどだ。

「ターゲティングの精緻化」こそ広告の革命

現在のWeb広告は消費者のWeb検索履歴、サイト閲覧履歴、商品購入履歴、特定場所への訪問履歴などの情報をデータベース化し、その消費者がWebサイトを閲覧した際に興味をもちそうな商品の広告を出す仕組みができている。この「ターゲティングの精緻化」こそ、Web広告テクノロジーの革命である。

さらに「運用」も非常に大切な要素だ。これはいくつもの指標を見ながら、ターゲットへ届いているか(リーチ)と、適度な回数で露出しているか(フリークエンシー)のバランスを取る作業である。

ブランドの大きさとデジタルの使いかた

「パブリック」対「プライベート」
Paffy69/iStock/Thinkstock

なぜアマゾンやグーグルのような企業も、テレビでCMを放映しているのか?

オールターゲットのコミュニケーションにおいて、テレビはWebよりも効率がいい。「テレビCMでやっていることは、みんなが知っておくべきこと」というムードが出る。顕在需要の刈り取りだけならばWebで十分だが、将来的なブランディングを考えると、テレビCMは捨ててはならない。

メディアのこうした特性を踏まえ、大型ブランドのコミュニケーション設計を考える際は、AISASという消費行動モデルがとても参考になる。

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要約公開日 2018.01.17
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