ITビッグ4の描く未来

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ITビッグ4の描く未来
出版社
定価
1,980円(税込)
出版日
2017年10月10日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

今や押しも押されもせぬ米国のIT企業、米アップル、米グーグル(持ち株会社は米アルファベット)、米アマゾン・ドットコム(以下、アマゾン)、米フェイスブック。2017年5月時点の世界時価総額上位を占めるこれらの企業を、著者は「ITビッグ4」として本書で取り上げている。

これらの企業は、スマートフォン、検索サービス、eコマース、ソーシャルメディアの領域において、わたしたちの生活に密着したサービスを展開しており、わたしたちがそのサービスを利用しない日はないと言っても過言ではない。そのため、これらの企業のことを十分に知っていると感じるかもしれない。

だが、ITの世界はめまぐるしく変化する。コアプロダクトの成長が鈍化すれば、他に活路を見出さなければならない。あるいは、次世代を見据えた研究開発のトピックスやその進展も気になるところだ。本書では、業態の異なるITビッグ4について、それぞれの強み、最近の動向、未来に向けた戦略をまとめてくれている。各社各様の戦略やその結果を知れば、緊張感の走るビジネスの現場を垣間見ているような気にさえなる。

自動運転技術や血糖値測定センサーの開発、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を利用したサービスの開発などが実現すれば、わたしたちは未来で何ができるようになるだろうか。変革を起こしながら世界をリードしていくITビッグ4が作るであろう未来に、いやが上にも期待は高まる。

ライター画像
金井美穂

著者

小久保 重信 (こくぼ しげのぶ)
株式会社ニューズフロント フェロー
1961年生まれ。翻訳者、同時通訳者を経て、1998年に日経BP社のウェブサイトで海外のIT関連記事を執筆し始めた。2000年に株式会社ニューズフロントを共同設立し、同社代表取締役に就任。英語力の豊かなIT専門記者を育成するとともに、海外ニュースの速報事業を統括した。
現在は、ニューズフロントのフェローとして活動し、日経BP社ITproの「US NEWSの裏を読む」、JBPress(日本ビジネスプレス)の「IT最前線」でコラム記事を執筆中。このほかの連載記事執筆媒体には、ヤフー「Yahoo!ニュース個人(小久保重信が見る海外ITの世界)」、ダイヤモンド・リテイルメディア「ダイヤモンド・チェーンストア誌(月刊アマゾン)」がある。
URL:http://www.newsfront.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    アップルはiPhoneの利益率の高さが強みだが、スマートフォン市場が成熟し販売台数は伸び悩んでいる。自動運転技術や血糖値測定センサーなどの研究開発を進めているとされる。
  • 要点
    2
    アマゾンの強みはPrime会員制にある。最近は実店舗展開に力を入れている。
  • 要点
    3
    グーグルのAndroidはOS市場でついにWindowsを破った。自動運転技術の分野では一歩リードしていると言われている。
  • 要点
    4
    フェイスブックは、世界人口の4分の1が利用するソーシャルメディアに成長した。ディスプレー広告を収入源とする同社にとって、広告遮断技術は事業リスクである。

要約

【必読ポイント!】 ITビッグ4の強みの源泉

圧倒的な利益率を誇るアップル

ITビッグ4がなぜ圧倒的な実績を残せるのか。その強みの源泉はいったいどこにあるのだろうか。

アップルは、スマートフォン市場におけるメーカー別出荷台数ではサムスンに首位を奪われているが、実は機種別出荷台数ではランキングトップにある。iPhoneの使いやすいデザインや対応アプリの種類の多さなどからその人気は根強い。さらに、もっとも注目すべき数値は営業利益だ。なんとアップル1社だけで、業界全体の営業利益の91%を占めている。この数字からは、今やAndroid市場は飽和状態になり薄利か赤字に陥るスマートフォンメーカーに対して、高い利益率を維持するアップルの強さが伺える。

アマゾンPrime会員の買い物回数が鍵
SARINYAPINNGAM/iStock/Thinkstock

アマゾンの強さは、なんといっても会員制有料プログラム「Prime(プライム)」にある。Prime会員数は公表されていないが、米国の市場調査会社のレポートによると、2017年6月時点で8500万人に到達しているという。これは米国人口の約25%にあたる。そしてアマゾンの全顧客数の63%を占めている。

Prime会員数の伸びもさることながら、アマゾンに巨額の収益をもたらす要因はその顧客単価にある。会員と非会員の年間平均購入金額を比較すると一目瞭然で、前者は1300ドル(約14万3000円)、後者は700ドル(約7万7000円)とおよそ2倍の差がある。だが、一回あたり購入単価はどちらもほぼ同じ。会員は非会員より購入回数が多いことがわかる。

Prime会員の追加料金なしで商品を通常配送より早く届けてくれるサービスなどが顧客の心理的障壁を取り除き、年間利用回数の増加につながっているようだ。

主戦場スマートフォンを制したグーグルAndroid

世界のOS市場の支配構造はここ5年で大きく様変わりした。アイルランドのスタットカウンターが発表したレポートでは、2017年3月時点におけるOS市場は、グーグルの「Android」が37・93%のシェアを獲得し、37・91%のマイクロソフト「Windows」を僅差で破った。2012年3月時点には、Windowsが80%超、Androidがわずか2・4%だったというから、Androidの成長には目を見張るものがある。

このような形勢逆転の原因は、スマートフォンの急速な普及にある。実はパソコン市場を今でも支配しているのはWindowsである。しかしパソコンの2016年年間出荷台数はタブレット端末を含めて約4億4000万台。これに対して携帯電話の出荷台数は約19億台。そのうち約15億台がスマートフォンで、その約8割の12億台にAndroidが搭載されている。

世界人口の4分の1が利用するフェイスブック

2017年6月、FacebookのMAU(月間アクティブユーザー数)はついに20億人を突破した。世界人口の26・6%が利用している計算だ。このめざましい事業の発展を後押ししたのが、新興国におけるユーザー数拡大の施策とモバイル機器向けソーシャルメディアの同時展開である。

Facebookを含む米国発ソーシャルメディアは、中国市場から締め出されているのが現状だ。そこで通信速度の遅いインドなどの新興国市場に目を向け、モバイル用に軽量版アプリを提供して利用者数を伸ばしている。

また、モバイル機器でよく利用されるメッセージングサービス「WhatsApp(ワッツアップ)」「Messenger(メッセンジャー)」「Instagram(インスタグラム)」を同時展開し、幅広い年齢層の利用者を増やして世界最大のソーシャルメディアへと成長した。

アップル──低迷するiPhoneの次の未来

スマートフォン市場の成熟と生き残りへの道
beer5020/iStock/Thinkstock

「iPhone」はアップルの全売上高の7割を占める主要プロダクトである。2001年に発売された携帯音楽プレーヤー「iPod」が成功し、携帯電話とインターネット端末の機能をプラスしたのが「iPhone」だった。2007年の発売以来大ヒットを記録し、アップルをスマートフォン企業として大きく成長させてきた。しかし、最近では市場が成熟し買い替え周期が長期化していることから、販売台数の伸びはかつてないほど鈍化している。

2010年に発売され、タブレット型コンピューターという新しい市場をつくり出した「iPad」も、2013年10〜12月期に販売台数過去最高を記録した後、低迷の一途をたどっている。だが、専用の着脱式キーボードがついたデタッチャブル型は仕事で使えるタブレットとして市場は伸びている。

2015年に世に送り出した腕時計型情報機器「Apple Watch」は、当初の高級路線ではうまく行かなかったが、すぐに軌道修正し、今ではウエアラブル市場の成長とともに第二のキラープロダクトになる可能性に期待が持てる。

アップルの3つの研究開発分野

秘密主義で有名なアップルだが、「自動運転」「医療・健康」「AR(拡張現実)」の分野で研究開発を進めているとされる。

アップルには「Titan(タイタン)」というプロジェクトがあり、自社で自動車開発を行うのか、自動運転システム(ソフトウエア)の開発を行うのかを現在検討中だという。

医療・健康分野では、血糖値を測定するときに生体を傷つけない非侵襲的な方法による血糖値測定センサーの開発に着手していると言われている。糖尿病患者のなかには毎日何度も血糖値を測定しなければならない人たちがいる。この開発は生命科学の世界では歴史的偉業になり得るものだ。

目の前の現実にデジタル情報を重ねて表示させるAR技術は、クックCEOが強く関心を寄せている分野である。モバイルOS「iOS 11」にAR用アプリの開発を支援する「ARKit」が導入されたことで、ARアプリを簡単に開発できるようになった。

アマゾン──常識をくつがえす新サービスの数々

利益より投資重視の薄利精神と奇抜なアイデア

アマゾンは1994年の創業以来、あえて利益を追求しないという方針のもと、稼いだ利益を惜しげもなく先行投資に費やしてきた。そのため営業利益率は3%未満と極端に低い。

アマゾンが常識にとらわれない柔軟な発想で生み出した新サービスに、アマゾンサイトで注文した衣料品を自宅で試着できるサービスがある。試着の段階ではまだ決済されていない。返品は無料で気に入ったものだけ購入すればいい。

また、ショッピングを半自動化するサービスもある。家の中に商品名が表示された消しゴムサイズのボタンを置き、在庫が切れそうなときに押す。すると、Wi-Fi経由でネットにつながり、アマゾンへの注文が完了する仕組みである。

このように消費者がパソコンやスマートフォンを使わず簡単に買い物ができる仕組みを普及させるべく、アマゾンはサービスの充実とシステムの拡大に注力している。

加速するアマゾンの実店舗展開

2017年6月、アマゾンは米高級スーパーマーケットチェーンのホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1兆5000億円)で買収し世界を驚かせた。これはアマゾン史上最大規模の買収金額だ。これにより一気に米国食料品業界5位の巨人となった。

アマゾンが書籍のリアル店舗を初めてオープンしたのは2015年だった。2017年にはニューヨークで7店目をオープンさせた。商品の陳列は本の表紙を正面にして棚に立てる方式で、本につけた説明書きのバーコードをスマートフォンアプリで読み込むと書籍に関する追加情報が表示される。

他にもネットで注文した商品を車で受け取りに行く店舗を2店オープンしている。このサービスはウォルマート・ストアーズなども展開しており、こうした背景の中アマゾンも実店舗展開を進めている。

グーグル──アイデアを具現化して楽しむ頭脳集団

検索広告業界で断トツの首位
HunterBliss/iStock/Thinkstock

「世界中の情報を整理し、あまねく、人々がそれらに自由にアクセスし、便利に使えるようにすること」という有名な理念のもと、多くの優秀な技術者たちが勤務時間の2割を使って自由にイノベーションを楽しんでいる。「Gmail」もこうして開発されたサービスの一つである。このように自由な企業文化が実現できたのは、創業6年目にして年間売上高10億ドル(1000億円以上)にもなる余裕があったからだ。

2016年のグーグルの売上高は、インターネット広告の比率が約9割を占める。インターネット広告には、「検索広告」や「ディスプレー広告」などの形態があるが、そのなかでもグーグルが強いのは「検索広告」である。

検索広告の市場はインターネット広告全体の約5割を占め、年間広告金額は1000億ドル(約11兆円)に迫る勢いがある。この状況のなか、2016年のグーグルの検索広告売上高は約530億ドルにもなり、他社の追随を許さない、業界断トツのシェアを誇っている。

自動運転車技術で一歩リード

車載センサーから集めた情報を解析したり、熟練ドライバーの運転技術を学習させたりする分野で強みを持つとされるグーグル(アルファベット傘下のウェイモ)は、自動運転技術の分野において一歩リードしていると言われている。

グーグルは、大手自動車メーカーとは異なり、最初から完全自律走行車の開発を目指している。例えば、視覚障害者や1人暮らしの高齢者が自動運転車で出かけたり、都心のオフィス街でスマートフォンアプリを使って車を呼び寄せ利用する。そういう未来を目指している。世界で毎年120万人が命を落としているという交通事故をなくすこと、それが同社の使命である。

フェイスブック──モバイル広告が収入源

上場直後の赤字から一転して急成長
gmast3r/iStock/Thinkstock

フェイスブックは、2006年にハーバード大学の学生以外に一般開放されて以降、順調に利用者数を伸ばして今は絶好調だ。しかし、2012年の上場当時は同社の成長性に懸念を抱く人が少なくなく、決して順風満帆な経営環境とは言えなかった。しかも、上場直後に2四半期連続して赤字を出した経緯もある。

2013年になると、かねてから進めてきたモバイル用アプリを基盤とするサービスの開発が実を結び、モバイルアプリの利用者数が全米トップになった。加えて、2014年ごろからスマートフォンの画面サイズの大型化が進んだことも、同社の成長を後押しした。

広告収入はすべてディスプレー広告から

世界のインターネット広告の売上高を比較すると、グーグルが断トツ1位だ。フェイスブックは世界2位だが、その売上高はグーグルの半分にも満たない。しかし、バナーや動画、ソーシャルメディア広告などのディスプレー広告市場において、フェイスブックはグーグルをおさえて堂々の1位である。

フェイスブックの広告収入源は、そのすべてがディスプレー広告となっている。近年ではソーシャルメディアの拡大によりディスプレー広告も伸びており、2017年の米国ディスプレー広告市場において、フェイスブックは39・1%のシェアを持っている。

だが、昨今は広告遮断ツールを利用してウェブコンテンツを閲覧する人が増えており、フェイスブックの事業リスクとなっている。広告遮断ツールの利用者は、アジア太平洋地域の新興国に多く、データ通信費用がまだ比較的高額で、かつ通信速度も遅いことがその背景にあるという。

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