ビジョナリー・マネジャー

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ビジョナリー・マネジャー
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2017年06月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

日本ペプシ・コーラ副社長、日本KFC常務取締役、ナイキジャパン代表取締役社長、LVMHグループのゲラン代表取締役社長。こうした欧米企業日本法人のトップマネジメントを歴任してきたのが、著者の秋元征紘氏である。まさにグローバルビジネスの最前線で活躍してきたマネジメントのプロだ。

「企業家のように考え、行動する」。こうした自律的な社員を増やすには、どうしたらいいのか。秋元氏は、企業ビジョンとその企業ビジョンを社内に浸透させる先導役となるビジョナリー・マネジャーの存在が欠かせないという。企業のビジョン、戦略、業務を「自分ごと」として捉える自律的な社員を増やすことは、企業の至上命題といってもよい。生産性と創造性が一段と求められる現代の情報社会においては、権威的なマネジメントはもはや機能しない。社員が企業ビジョンに共感し、自律的に動けるよう、サポートに回るようなマネジメントが求められている。

そのようなマネジメントを実行するカギとノウハウが、本書では余すことなく公開されている。企業ビジョンを目的・目標、戦略、行動計画に具体的に落とし込むための方法と注意点、企業ビジョンを社員に浸透させるための社員一人ひとりに応じたコミュニケーション方法など、テーマは多岐にわたる。

経営者、管理職、リーダーにとって、本書はリーダーシップの航海を進めるうえで頼れる羅針盤となってくれるだろう。

著者

秋元 征紘(あきもと ゆきひろ)
ワイ・エイ・パートナーズ 代表取締役、ジャイロ経営塾 代表。上智大学経済学部卒業、シドニー大学経済学部修士課程。1970年日本精工に入社、ニューヨーク、トロント駐在等を経て、日本ケンタッキーフライドチキン(日本KFC)へ。その後、同社マーケティング本部長、日本ペプシ・コーラ副社長、日本KFC常務取締役、ナイキジャパン代表取締役社長、LVMHグループのゲラン代表取締役社長、同取締役会長、ゲランSA(パリ本社)執行役員と、欧米企業日本法人のトップマネジメントを歴任。2006年ワイ・エイ・パートナーズを起業。2008年にはジャイロ経営塾を設立。現在では、話題のベンチャー企業FiNC、ホワイトプラス、IROYA、イー・ロジットやLENAJAPONの社外取締役、Crewwなど数社の顧問等を務める。また戦略経営コンサルティング、大手企業向けマネジメント研修プログラムの提案・企画・講師を務めるかたわら、執筆・講演も精力的に展開中。著書に『なぜ今、シュンペーターなのか』(クロスメディア・パブリッシング)、『金の社員・銀の社員・銅の社員』(文春新書)、『こうして私は外資4社のトップになった』(東洋経済新報社)、『一流の人たちのシンプルな習慣』(フォレスト出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスの原点は、企業ビジョンの構築とビジョナリー・マネジャーの存在にある。高い業績を維持している企業は、企業ビジョンのブラッシュアップと社内での浸透に注力している。
  • 要点
    2
    ビジョナリー・マネジャーは、「世のため、人のため」という大義ある企業ビジョンを掲げ、それに共鳴したメンバーが自律的にフォローし、両者一体となって企業ビジョンを実現していく。
  • 要点
    3
    企業ビジョンを念頭に、各部署のビジョナリー・マネジャーが部署の実情に即したチームビジョンやチームミッションをつくることで、社員は自分ごととして企業ビジョンを捉えられるようになる。

要約

企業ビジョンの構築とビジョナリー・マネジャー

ビジネスの原点とは?
3D_generator/iStock/Thinkstock

現在は、IT企業などの持つ情報が世界経済を動かす時代といえる。方向性を持って情報をコントロールできる「ヒト」こそが事業の中心となった。「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」の時代へと移っているのだ。

そんな中、「企業ビジョン」がますます重要性を帯びている。「企業ビジョン」とは自分たちの夢(ビジョン)を掲げ、夢の実現が社会にどのように貢献するのか(ミッション)を記し、顧客をはじめとするステークホルダーと共有する価値観(バリュー)の総称だ。そして、「企業ビジョン」を掲げ、リーダーシップを発揮するリーダーを「ビジョナリー・マネジャー」と呼ぶ。

ビジネスの原点は、企業ビジョンの構築とビジョナリー・マネジャーの存在にある。業績を上げ続けている企業は、企業ビジョンのブラッシュアップと浸透に注力している。

ビジョナリー・マネジャーは企業家のように考え、行動する

ビジョナリー・マネジャーを志向する経営者・ミドルマネジメント・社員の特性は「企業家のように考え、行動する」という点である。

ビジョナリー・マネジャーによるリーダーシップは以下の3点を問うことから始まる。

(1)掲げている企業ビジョンは正しいか

(2)企業ビジョンが社員の間で共有されているか

(3)社員一人ひとりが企業ビジョンと仕事との関係を「自分ごと」として捉えているか

【必読ポイント!】 ビジョナリー・マネジャーの資質

人は理屈では動かない

リーダーとしてのビジョナリー・マネジャーは企業ビジョンを掲げる。そして、それに共鳴した社員が自律的にフォローし、両者一体となって企業ビジョンの実現をめざしていく。個人の考えが多様化している時代においては、お金のためではなく、心に響く「世のため、人のため」という、大義ある企業ビジョンが必要である。

また、立場や地位を問わず、メンバーが互いのパーソナリティーを尊重しあう中で、リーダーが方向性を示して、社員がそれに共感する。このような状態をつくらなければ、社員はリーダーについてこない。労働を「コスト」のように考える経営は通用しなくなっている。リーダーは人間力を高めることが欠かせない。

行動規範としてのバリュー
jacoblund/iStock/Thinkstock

企業ビジョンはビジョン、ミッション、バリューの3つから構成される。ビジョン(夢・志)は「世界を変える」「世のため、人のため」といった指針である。これに対し、ミッション(使命)は、それを実現するために会社がどのような事業展開で社会に貢献するかという手段を示す。

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要約公開日 2018.01.23
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