お金2.0
新しい経済のルールと生き方

未 読
お金2.0
ジャンル
著者
佐藤航陽
出版社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2017年11月30日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.0
革新性
5.0
応用性
4.5
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新しい経済のルールと生き方
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佐藤航陽
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定価
1,500円 (税抜)
出版日
2017年11月30日
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4.5
明瞭性
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革新性
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レビュー

2016年後半からビットコインが日本でも急速に普及し、2017年からは、仮想通貨ベースの資金調達手段であるICO(Initial Coin Offering)が盛り上がりを見せている。お金や経済のあり方に新たな潮流が生まれていることは明らかだ。そんな中、評価経済の台頭を象徴するように、個人の価値を交換できるVALUや、時間を売買できるタイムバンクといったサービスが話題を呼んでいる。このタイムバンクを生んだメタップス代表取締役の佐藤航陽氏が、資本主義の「先」にある世界を語り尽くすのが本書だ。

お金の正体をつかみ、より良い社会の仕組みを自らの手でつくる――。こうしたビジョンをもとに、著者は事業を通じて、数億人の膨大な行動データとお金の流れを分析してきた。そうしてあぶり出された普遍的な経済のメカニズムの解説は、極めて革新的で実践志向である。仮想通貨やブロックチェーン技術のようなテクノロジーの発展と、新たな経済システムの台頭が結びつけられ、既存の価値観がガラッと転換されていく様は痛快そのものだ。テクノロジーの最前線と実社会での活用の断絶を埋めてくれる、まさに現在求められている一冊といえる。

著者は、資本主義の欠点を補う考え方として、価値を軸として社会が回っていく「価値主義」という枠組みを提示する。新たなパラダイムのもとで、私たちはどのような働き方やビジネスモデルを考え、試行錯誤すべきなのか。

新しい経済システムが複数共存する世界への旅路はまだ始まったばかりである。その序幕を本書で存分に楽しんでいただきたい。

松尾 美里

著者

佐藤 航陽(さとう かつあき)
福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2011年にアプリ収益化支援事業を開始、世界8拠点に事業を拡大。2013年より決済サービスを立ち上げる。2015年に東証マザーズに上場。累計100億円以上の資金調達を実施し、年商100億円以上のグローバル企業に成長させる。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「30 Under 30 Asia」などに選出。2017年には時間を売買する「タイムバンク」のサービスの立ち上げに従事。宇宙産業への投資を目的とした株式会社スペースデータの代表も兼務。

本書の要点

  • 要点
    1
    シェアリングエコノミー、仮想通貨やブロックチェーンを駆使したトークンエコノミー、評価経済は、分散化という潮流の一部である。最も規模が大きく成功しているトークンエコノミーが、ビットコインだ。
  • 要点
    2
    自動化と分散化が進むにつれ、「自律分散」のモデルが多くの産業のビジネスモデルを覆し、次世代の成功モデルになることが予測される。
  • 要点
    3
    お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした経済システムの考え方を「価値主義」と呼ぶ。今後は価値主義が普及し、複数の経済システムが並存していく。

要約

お金の正体 •お金とは何か?

急激に変わる「お金」のあり方
KeremYucel/iStock/Thinkstock

「価値」という漠然としたものをやりとりするために誕生した「お金」。価値の保存・尺度・交換の役割を担うお金が、社会でプレゼンスを高めていったのは18世紀頃にさかのぼる。市民革命により身分の影響力が薄れる一方、お金を増やすこと自体が目的と化し、資本主義は発展を遂げていった。

国家が管理する中央銀行がお金を刷って、経済をコントロールするのが標準的になってきたのは、この100年ほどである。そうなると、仮想通貨やブロックチェーンなどの新たな仕組みが100年後の標準になっていてもおかしくはない。

ビットコインは、中央の管理者が不在でも成り立つバーチャル上の通貨だ。ビットコインをはじめとする仮想通貨は、法定通貨とは全く違うルールで動いている。仮想通貨を既存の金融業界の枠組みに当てはめようとすると、その本質を見出しにくくなってしまう。

発展する「経済システム」の5つの要素とは?

そもそも経済システムとは、「人間が関わる活動をうまく回すための仕組み」を指す。同時に、個人の欲望を起点に動く報酬のネットワークでもある。

経済システムが持続するためには、特定の個人に依存せず、自己発展的に拡大していく仕組みであることが大前提となる。それでは、人の手で、経済システムをより良いものにつくり上げることは可能なのか。

発展する「経済システム」には次の5つの要素がある。1つ目は、報酬が明確であること(インセンティブ)だ。経済システムの参加者の欲望を満たすものでなければ拡大することはない。現代においては特に、「儲けたい・モテたい・認められたい」という欲望を満たすシステムが急速に発展しやすい。

2つ目は、時間によって変化する(リアルタイム)という要素である。人間は変化が激しい環境では、熱量が高い状態で活動ができるためだ。

3つ目は、運と実力の両方の要素があること(不確実性)だ。コントロールが及ばない運の要素と、自らコントロールできる実力の要素が良いバランスで混ざっている環境のほうが、持続的な発展を望める。

4つ目は、秩序の可視化(ヒエラルキー)である。世の中には偏差値や売上、肩書きなど、階層や序列にあふれている。こうした目に見える指標があることで、自他の距離感や関係性をつかみやすくなる。

そして5つ目は、参加者が交流する場があること(コミュニケーション)だ。互いの交流や議論を通じて、全体が一つの共同体であることを認識できるようになる。

脳の報酬系と経済との深い関係

実際のところ、発展する経済システムに必要な5つの要素は、脳の報酬系の観点からも理にかなっている。

例えば、「リアルタイム」と「不確実性」を取り上げよう。脳は非常に「飽きやすい」性格をもっている。そのため、予測が難しい不確実な環境で得た報酬に、より多くの快楽を感じやすいことが判明している。よって、「リアルタイム」と「不確実性」は、リスクのある状況下でも積極的に動くモチベーションの源泉になるといえる。

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