老子

未読
老子
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著者
未読
老子
著者
出版社
出版日
2008年12月16日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

『老子』という本は誰でも知っているだろう。しかし実際に読んだことがあるという人はどれくらいいるだろうか。「歴史の教科書に出てきたのをなんとなく覚えている……」ぐらいの人がほとんどかもしれない。

古典はハードルが高い。それはもっともなことだ。だが安心してほしい。本書には漢文と書き下し文に加え、現代語訳もついている。だから専門知識がなくてもまったく問題ない。しかも時代背景についての解説も豊富だ。歴史の知識がゼロであっても、楽に読み進められるだろう。

本書が扱うテーマは2つに大別される。「どのように人を統べるべきか」という統治論、そして「人はどのように生きるべきか」という普遍的な人生論だ。「人を上から押さえつけるように支配してはいけない」、「人の上に立つ者ほど謙虚な姿勢を持たなければならない」など、その内容は現代でも十分通用するものばかり。とくに管理職の人にとっては、人をまとめるうえで参考になる部分が多いはずである。

どの国、どの時代においても人々の心に響く、普遍的な思想がここにある。『老子』の名前しか知らないという人も、これを機会にぜひ読んでみてほしい。「これが道ですと示せるような道は、恒常の道ではない。これが名ですと示せるような名は、恒常の名ではない」――本書をめくれば、いまを生き抜く智慧にかならずや巡り合えるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

老子(ろうし)
熾烈な戦国時代を生き抜く処世の知恵であり一種の統治理論であるが、同時に、世の中と人間についての深い洞察力によって、人生の教科書ともいうべき普遍性を持っている。ここで説かれる平和的で、自足、素朴なあり方は、時代を超えて人々の心に訴えかける。

本書の要点

  • 要点
    1
    人は「道」を大切にして生きなければならない。「道」とは普遍的な真理のようなものである。
  • 要点
    2
    自分の力を誇示してはならない。本当に力がある人は、どんなことも簡単にこなしてしまうので、外から見ると何もしていないように見えるのだ。何もしていないように見えるのが一番いい。
  • 要点
    3
    謙虚に生きるべきだ。人の上に立つ人ほど、自分より下の立場の人に敬意を払わなければならない。自分が敬意を表せば、相手も自然と敬意を表するようになる。

要約

「道」とは何か

「道」は示せるものではない

「道」とは簡単に語れるものではない。それは人生の指針であり、万物の真理のようなものである。

欲をもたないとき、道の奥深さが見えてくる。反対に欲があると、さまざまな活動の「結果」ばかりに目が行ってしまう。欲をもたずに物事を見るということが、「道」を見きわめることにつながる。

道というものは奥深いが、おぼろげではっきりしない。しかしその中にはたしかに実体がある。それは「純粋な気」である。道というものは、昔からこのように存在しつづけているものなのだ。

道を守っている人のまわりだと、人々は安らかに過ごすことができる。道には音楽や食べ物のように、人を引きつけるような目立つものはない。道は目に見えないし、味もないからだ。しかしその効果は尽きることなく、永遠に持続する。

道は万物の元だ。だからすべての物は道を尊ぶ。道を尊ぶべきなのは、道がもとから尊いものだからである。道はすべてを生み出し、育て、守っている。しかしその見返りを求めたり、支配しようとしたりはしない。これを「奥深い徳」という。

【必読ポイント!】 人民を治める

人を統べる者、道と一体になるべし

人の上に立つ人は、道を大切にしなければならない。風や雨が一日中続くわけではないように、永遠に変わらない人などいない。偉大な自然ですら常に変化しつづけている。人であればなおさらだ。だから人を統べる者は、道と一体にならなければならない。道は不変のものだ。道と一体になっていれば、まちがいなく人民を統べることができるだろう。

人民を治めようとして意図的に何かしても、たいていはいい結果にならないものだ。人民を治めるということは「神聖な器」になるということである。それは何とかしようと思ってどうにかなるものではない。世の中にはさまざまな性質の人がいる。それに手を加えようとしても、自分の意思ではどうにもならないのだ。ムリに治めようと思うと裏目に出る。欲をもたずに超然とした存在でいるべきである。

何事も土台がしっかりしていれば、簡単に壊れることはない。家族の中心になる人や、国を治める人など、人の上に立つ立場の人が道を修めれば、物事は安定する。人の上に立つ人であればあるほど、物事を見きわめ、正しくあることが重要になってくる。

自分を誇示してはならない

支配者はいくつかの種類に分かれる。もっともいい支配者とは、人民がその人のことを知っているだけの人を指す。次にいい支配者は、人民がほめたたえる人である。人民に恐れられる支配者はその次であり、人民にバカにされているのがもっともひどい支配者である。

支配者に必要なのは誠実さだ。誠実さがなければ信用されない。自分でなにか成し遂げたとしても、「そうなって当然である」という顔をしている人がもっともすぐれている。偉大なことをしても、それを誇示したりしないので、人民はその偉大さに気づかない。だから偉大であると気づかれない支配者が、もっともすぐれているのである。

逆に自らの手柄を自慢する者や、才能を誇る者は真にすぐれた者ではない。これらは「余った食べもの、よけいな振るまい」、つまり無駄なものである。

道を修めれば修めるほど、欲望はだんだんなくなっていく。欲望がなくなっていくと、ついには何もしないところまで行きつく。しかし何もしていないように見えて、実のところすべてのことをしているのだ。人民を治めるためには、何もしていないように見える状態が一番いいのである。

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要約公開日 2018.03.17
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