最強マフィアの仕事術

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出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
出版日
2011年05月01日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

本書のタイトル「最強マフィアの仕事術」と聞き、「仕事術」のノウハウ本か、と思った方は間違っている。本書はズバリ、「マフィア」の極意が「元マフィア」の言葉で語られているのである。あまりの壮絶さに、映画のようだと感じるかもしれない。非日常的な世界を現実のものとして垣間見ることができるだろう。

私の印象に残った箇所は、銃で襲われ犠牲になったソルジャーに対するドンの言葉、「パジャマ姿だと。いったいどういうつもりだ。殺されたのは朝の11時だって言うのに!」というものだ。いやいやパジャマ姿に触れるところではないでしょう、というのは素人の考えかもしれない。それだけ、成功するマフィアはハードワークで早起きなのだ。

また、マフィア界でバイブル化されているマキャベリの教えと、ソロモンの教えの対比も興味深い。著者はマフィア時代にマキャベリの教えに忠実に従い手段を選ばず結果を求め、一時成功を収める。しかしマキャベリの教えでは持続的に成功することは難しく、ソロモンの教えに従うべきだと説いている。

本書は一般教養として、マフィア界がどのような力学で動いているのかを知るべく素直に読まれた方が面白いだろう。もちろんビジネスにも活かせることも含まれている。ただ仕事に活かそうという観点は一旦置き、日常から少し離れ、どっぷりマフィアの世界観に浸ってみてもいいのではないだろうか。

ライター画像
大賀康史

著者

マイケル・フランゼーゼ

「暗黒街の顔役、アル・カポネの再来」と呼ばれたイタリア系アメリカンマフィア。ニューヨーク5大ファミリーの1つ、コロンボファミリーに所属、複数のビジネスを通じて70~80年代の絶頂期には週に数百万ドルを稼ぎ、巨万の富を得た。雑誌『フォーチュン』の特集「マフィア幹部トップ50」で上位ランクイン、「最年少マフィア幹部」として紹介され、さらに注目を集める。当時、後のニューヨーク市長・ルドルフ・ジュリアーニ連邦検事と抗争を繰り広げるが起訴を免れている。しかし80年代半ばに複数の恐喝の罪に問われたのを最後に自らの罪を認め、懲役10年の判決を受け、ファミリーと縁を切った。

現在は、マフィア時代の体験を人々の役に立てることを使命とし、青少年、教師、スポーツ選手、企業経営者などを対象に講演活動を行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    マフィアの成功者の共通項が一つあるとすれば、ハードワーク、つまり「努力」である。
  • 要点
    2
    マフィアの世界でも誰を仲間にするかが重要であり、次の3点で相手を確認すべきである。(1)「誠実」であるかどうか、(2)「有能」であるかどうか、(3)「頼りになる」かどうか
  • 要点
    3
    マフィアでは嫉妬と裏切りはついてまわるものである。何者にも利用されないという決意を持って、直感を研ぎ澄まし事にあたらなければならない。
  • 要点
    4
    マフィアの正式な交渉の場「シットダウン」では次のことを心掛けるべきだ。(1)銃に弾をこめておけ、(2)口ではなく頭を先に使え、(3)自分のエゴを捨てよ。相手のエゴを利用せよ、(4)弱気になっているときほど、弱気を見せるな、(5)感情を持ち込むな。つねに相手に敬意を払え

要約

マフィアの基本

Digital Vision./Photodisc/Thinkstock
マフィア組織と著者

マフィア組織は、トップにドン、次に暴力団の若頭に相当するアンダーボスと、相談役としてのコンシリエーレ、その次に幹部クラスを表すカポ、そして末端のソルジャーという階層構造を持つ。

1986年当時、マフィアはGNPの1.1%を麻薬売買、高利貸し等の非合法ビジネスで生み出していた。それ以外にも建設業、運送業、飲食業、興行という合法ビジネスも行っており、合わせれば巨額の収益基盤を持つ。

著者は1986年の「フォーチュン」の特集で、マフィアのトップ50人に入り、35歳の最年少幹部(カポ)として1ページの特集記事が組まれるなど、注目を集めていた。様々なビジネスを統括し、特にガソリンの卸売りで、巨額の利益を得ることになる。1ガロン(約3.8リットル)当りの税金35セントに対して、複数の石油会社を束ねた企業連合により支払いをごまかしていた。それにより安い価格でガソリンスタンドに卸すことで、国から盗んで国民に分け与える、いわば現代版ロビン・フッドの心境だったという。

しかし結果として連邦裁判所でFBIと対峙することとなり、罪から逃れないこととマフィアから足を洗うことを決意するのである。

早起きしてハードに働け。パジャマ姿で殺されるな

前日朝に命を落としたよそのソルジャーの話になった時の話だ。そのソルジャーは朝11時にパジャマ姿で車に物を取りに行き銃で襲われた、とのことである。その報道に対するボスの反応が印象的だった。「パジャマ姿だと。いったいどういうつもりだ。殺されたのは朝の11時だって言うのに!」

マフィアで成功したいと思うならば、早起きして仕事をしなければならない。著者は1日に15~18時間働くことが普通だったという。成功者への共通項が一つあるとすれば、ハードワーク、つまり「努力」である。

真面目に一所懸命に働いて何も成し遂げられない人はいる。しかし、一所懸命に働かずに成功を手にした人は1人もいない。更にもう一つポイントがある。それはハードワークに働くと、成し遂げたい気持ちが強くなるという点だ。賢く努力を重ねれば、成功への階段をのぼることができるだろう。

信頼できる人物を選んで、仲間に引き込め
hammondovi/iStock/Thinkstock

ビジネスで成功を収めようとするのならば、支えてくれる仲間を探すことだ。

「二人は一人に勝る。共に苦労するだけ、得るものが大きい」(ソロモン)

では誰を仲間にするべきなのだろうか。次の3つの点を勘案すべきである。

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要約公開日 2014.03.28
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