「自分のやりたいことを仕事にしたい」と思いつつも、社会のレールから降りることをためらう人たちに、独立の後押しをするのが本書の目的である。
会社員の8割は「グレーカラー」に属する。ここでの「グレーカラー」とは意思決定を行うホワイトカラー(取締役など)と、実作業を行うブルーカラーの中継をする中間管理職のことであり、責任が大きい割に自由度や権限が少ない。取締役などのホワイトカラー層の流動性が増し、生え抜きである必要がなくなってきた昨今、取締役に出世することは難しくなっている。また、硬直した組織体制の企業に身を置いていると、社会に価値を提供するよりも組織の維持に奔走せざるを得ない。
そんなジレンマから抜け出して自分の道を歩むために、会社員時代に身につけてきたスキルやネットワークをもとに一人で食べていく「独立(インディペンデント・コントラクター)」という選択肢を、現実的に考える時が来ている。
独立は向き・不向きではなく、あくまでも技術であり、「ステップを踏んでいけば誰でも実現できるもの」である。そもそも、50年前は日本の労働者の約6割が自営業者や家族従事者であり、独立の道は極めて普通のことだったのだ。
「社会に合わせているか」を縦軸に、「自分に素直に生きているか」を横軸にとってみよう。「社会に合わせているが、自分に素直に生きていない」という会社員の状態から、一足飛びに「社会に合わせていて、自分に素直に生きている」理想の状態に移ることは現実的ではない。そこで、自分らしく生きるための3つのステップを勧めたい。
ステップ1は社会のレールから降り、いわゆるニートの状態になること。ステップ2は、「自分とは何か?自分を活かす道とは?」を自問自答して、「好きなことをやれているが社会に認められているわけではない」という自由人のポジションに到達すること。3つ目のステップは、好きなことで一人前に食べていけている状態に達することである。
本書は、ステップ1と2に不可欠な知識・マインドを伝えることを一番の目的としている。
先ほど述べたステップ1をクリアするためには何をするべきなのだろうか?
まずは独立前に、今の業界または会社で上位10%に入っていることだ。
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