最強の生産性革命
時代遅れのルールにしばられない38の教訓

未 読
最強の生産性革命
ジャンル
著者
竹中平蔵 ムーギー・キム
出版社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2018年01月18日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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最強の生産性革命
最強の生産性革命
時代遅れのルールにしばられない38の教訓
著者
竹中平蔵 ムーギー・キム
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定価
1,500円 (税抜)
出版日
2018年01月18日
評点
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4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
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レビュー

「竹中平蔵の考えは、もう時代遅れではないのか」「貧富の格差が拡大するのではないのか」「弱者にがんばれ、と言うだけで競争に放り込んでいいのか」。まえがきのページを開くと、こうした疑問を本人に面と向かってぶつける、という刺激的な言葉が目に飛び込んできた。

そんなスリリングな展開を予感させる本書は、竹中氏とその教え子であったムーギー・キム氏との対談本である。日本社会の生産性の向上を阻害している要因を次々と俎上にのせていくのであるが、そもそも生産性とは何か。

著者二人は、それを「自分自身の人生をいかに豊かで楽しいものにするか」という話に結びつけて考えてほしいという。生産性のための生産性ではなく、一人ひとりが豊かな人生を送るための視点から、生産性向上の具体策を考えていく。これこそが本書の最大の特徴といっても過言ではない。

二人の掛け合いは、核心を突きつつも、ユーモアたっぷりで、読んでいて小気味いい。読後には、生産性向上という課題が、より自分事としてとらえられるようになるはずだ。

政治家として体を張った経験を持つ竹中氏の話は、特に「民主主義の生産性を高めるために」というテーマで語るときに、尋常ではない熱を帯びる。議院内閣制のもと、物事はどのように決まり、その背後では誰がどのように動いているのか。ここは必読の内容だ。「働き方改革」の議論に違和感を抱いていた方にこそ本書をおすすめしたい。

しいたに

著者

竹中 平蔵(たけなか へいぞう)
1951年、和歌山県生まれ。慶應義塾大学名誉教授、東洋大学教授。博士(経済学)。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行、81年退職後、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを務める。2001年、小泉内閣の経済財政政策担当大臣就任を皮切りに金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任。04年参議院議員に当選。06年9月、参議院議員を辞職し政界を引退。ほか公益社団法人日本経済研究センター研究顧問、アカデミーヒルズ理事長、(株)パソナグループ取締役会長、オリックス(株)社外取締役、SBIホールディングス(株)社外取締役などを兼職。著書に『大変化 経済学が教える二〇二〇年の日本と世界』『第四次産業革命! 日本経済をこう変える。』(ともにPHP研究所)など多数。

ムーギー・キム Moogwi Kim
慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA(経営学修士)を取得。卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門、外資系コンサルティングファーム、外資系資産運用会社での投資アナリストを歴任した後、香港に移り、アジア一帯のプライベートエクイティファンドへの投資に従事。フランス、シンガポール、中国での留学を経て、大手バイアウトファンドに勤務。現在はシンガポールを拠点に、世界中のベンチャー企業の投資・支援を行っている。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。日本で最も影響力のあるベストセラー・ビジネス作家としても知られ、著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』『最強の働き方』(ともに東洋経済新報社)、『一流の育て方』(ダイヤモンド社)はすべてベストセラーとなり、6カ国語で展開、50万部を突破している。日本最大級のビジネスオンラインメディア、東洋経済オンラインでの人気連載は、合計8000万PVを獲得するなど、圧倒的な人気を誇り、国内でもメディア、企業向けに多数の講演をこなしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    個人の生産性を高めるには、もっと自由な働き方が可能な社会をめざす必要がある。「負の所得税」であるベーシックインカムの導入は、その第一歩となる。
  • 要点
    2
    日本社会の生産性を阻害する負の七大遺産は、談合・経営・法律・結婚・教育・自治体・メディアである。時代遅れの制度を改め、農業改革などを進める必要がある。
  • 要点
    3
    民主主義を無批判に享受するのではなく、社会教育で国民全体のリテラシーを高めることが重要となる。

要約

働き方の生産性革命を起こそう

大企業エリート信仰は時代遅れ
maselkoo99/iStock/Thinkstock

人生において、「好きなことをやる」のが一番生産的な生き方である。そんな中で、「一つの仕事に一生懸命打ち込め」という発想は、まさに時代遅れでしかない。著者たちが提案するのは、個々人が「働き方ポートフォリオ」を作ることである。「これは稼ぐための仕事、これは人脈のための仕事、これは勉強のための仕事」といった具合に、仕事ごとに意味を分散させるのである。

多様な働き方を認めるということは、自由な生き方を認めることとほぼ同義だ。世の中には、派遣労働のほうが都合がいいという人がたくさんいる。「正社員だからハッピー」という大企業エリート信仰は、もはや過去の発想といえる。

働き方の生産性向上を阻害する最大の要因は、終身雇用と年功序列を前提に作られた制度だ。特に解雇条件が強すぎることを著者両氏は問題視する。労働争議で解雇が撤回されたとたん、会社が潰れた事例もある。正社員も、自分の属する会社で失敗すれば、やり直しが効かないというリスクを抱え込んでいる。こうした時代遅れの制度のせいで、労使ともに不利益を被っている。

日本型経営による制度的な不平等を是正せよ

終身雇用や年功序列、そして退職金制度。これらは「日本型経営」と呼ばれているが、実は戦後にできた新しい制度に過ぎない。

まだ高校や大学のような高等教育がしっかり機能していない時代、企業は可能性のある若い人を多く採用し、自ら社内で教育をした。これが人材を囲い込むという、現行制度の導入につながった。

ポイントは、自由な働き方を認めたうえで、個々人の働き方に不平等がないようにすることである。政府の掲げる「同一労働・同一賃金」という目標は間違ってはいない。ただし、「正しい働き方」は政府任せで決まるものではなく、自分で決められるべきものだ。

正社員でなければ、厚生年金や企業年金の恩恵を充分に享受できないといった、制度的な不平等は是正されるべきである。ところが、財界はもちろん労働組合も、非正規の待遇を向上させることで、自分たちの待遇が引き下げられるおそれがあるとして、この是正に反対している。もはや「労・使対立」ならぬ「労・労対立」ともいうべき様相を呈しているのだ。

ベーシックインカムで低所得者に「負の所得税」を
stevanovicigor/iStock/Thinkstock

日本では、いまだ失業や転職、非正規になることに対する恐怖心が強い。それに対して、究極のセーフティネットを提供するのがベーシックインカムである。

一定以上の所得がある人は、所得の何割かを払う。これが従来の所得税である。一方、所得が一定額より少ない人に関しては、所得税を給付する。つまり「負の所得税」を課して、日本人として最低限の所得を政府が保証する。このようなセーフティネットを整備したうえで、思い切って働き方改革をやっていくのが望ましいというのが本書の見解だ。

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