AI経営で会社は甦る

未 読
AI経営で会社は甦る
ジャンル
著者
冨山和彦
出版社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2017年03月30日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.5
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AI経営で会社は甦る
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冨山和彦
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定価
1,500円 (税抜)
出版日
2017年03月30日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.5
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レビュー

AIやIoT技術の進化は、私たちの未来になにをもたらすのか。多くの人が関心を寄せるテーマだが、いったいどれだけの人がその本質を理解しているだろうか。

これまでのデジタル革命は、ネットビジネスに代表されるような、バーチャルな「C(カジュアル)の世界」であったと著者・冨山氏は述べている。つまりそれはグーグルやアマゾン、アップルの時代であり、サイバー空間でビジネスが完結していた時代だったともいえる。

しかしそんな時代はもはや過去のものとなりつつある。AIやIoT技術の進化により、デジタル革命が全産業で起きるというのが冨山氏の見立てだ。自動車や介護などのリアルな「S(シリアス)の世界」にも、デジタル革命の大波が押し寄せてくるというわけである。

ただし「Cの世界」と「Sの世界」のルールは違う。スピード重視でサービスの質を犠牲にしていては、人の命に関わる。当然のことながら、活躍する人材の特徴や雇用のあり方、組織文化、経営戦略なども異なってくるだろう。

デジタル革命の最終段階を迎えるにあたって、その本質的な特徴を正しく理解しておかなければ話にならない。本書はそのためのすばらしいガイドとなってくれるはずだ。「読者が選ぶビジネス書グランプリ2018」でグロービス経営大学院特別賞を受賞したのも納得の一冊である。

金井美穂

著者

冨山 和彦 (とやま かずひこ)
経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。1960年生まれ。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、産業再生機構COOに就任。カネボウ再建を成功させる。解散後の2007年、IGPIを設立。企業再生の第一人者として、JALはじめ多数の企業を建て直す。2014年には『なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略』(PHP新書)を発表、地方創生ブームをブレインとして牽引する。
現在、経産省が取り組む官民共働型のIoT化推進組織であるIoT推進ラボ座長、建設現場の生産性革命を狙った国交省主導のi-Construction推進コンソーシアム委員を務める。人工知能のトップ研究者・松尾豊東大准教授とは2012年よりビジネスパートナー。
オムロン社外取締役、パナソニック社外取締役、ぴあ社外取締役。経済同友会副代表幹事。内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者メンバー、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員ほか。

本書の要点

  • 要点
    1
    これまでコンピュータやAV機器・通信関連に限られていたデジタル革命は、AIやIoT技術の進歩によって、今後は全産業におよぶと予想される。
  • 要点
    2
    ネットビジネスのようなバーチャルな世界では、サイバー上でビジネスが完結していたためスピード重視だった。一方で自動車などリアルでシリアスな世界だと、それぞれ独自のノウハウがあり、ローカルな要素が強いという特徴がある。
  • 要点
    3
    これからはソフトウェアとハードウェア両方における組織文化の特徴をよく理解したうえで、それらをうまく統合していく経営が求められる。

要約

デジタル革命の変化の本質

デジタル革命の限定的影響
ipopba/iStock/Thinkstock

AIおよびIoT技術が進化していくなか、経営はどうあるべきか。このことを考えるにあたり、今回のデジタル革命はこれまでとなにが違うのか、その本質的な部分について見ていこう。

第一期のデジタル革命は1980年代に起きた。マイクロソフトとインテルの「ウィンテル」連合が、メインフレームの王者IBMを打ち負かすという下剋上を果たしたのだ。これによりコンピュータ産業の水平分業化が進み、EMS(製造請負サービス)という業態も大きく成長した。だがこの段階では、デジタル革命の影響はコンピュータ産業の域を出ていない。

第二期は1990年代以降、インターネットとモバイル通信技術の飛躍により、簡単に情報へアクセスできるようになった「ユビキタスの時代」を指す。通信手段は固定電話から携帯電話、そしてスマートフォンへと移行した。オーディオ&ビジュアル分野ではそれまで王者に君臨していたソニーが、それまで相手にもしていなかったアップルに首位の座を奪われた。またグーグルやアマゾンが巨大企業へと成長したのもこの頃である。まったく新しいプレイヤーが台頭し、産業構造や競争の構図がダイナミックに書き換えられた。しかし依然としてその影響範囲は、BtoCのAV機器・通信関連の範囲内にとどまっていた。

デジタル革命の最終段階

デジタル革命の第一期と第二期では、劇的な主役交代劇がくりひろげられた。とはいえそれはあくまでコンピュータやAV機器・通信関連産業という、バーチャルでサイバーな空間での出来事にすぎなかった。ほかの産業領域には波及しなかったのだ。

だがデジタル革命は、いよいよ最終段階である第三期に入っていく。AI(人工知能)とIoT技術が、ほぼすべての産業に影響をおよぼし、産業構造や競争の構図を根底から覆すだろう。これまでデジタル革命の影響がおよばなかった医療や介護、建設現場などの労働集約的なサービス産業のほか、農業などの第一次産業にいたるまで、波紋は広がっていくと予想される。

うかうかしていると、既存プレイヤーは駆逐され淘汰されてしまうにちがいない。その一方でこの大変革の波にうまく乗ることができれば、生産性を飛躍的に高め、高賃金の産業へと躍進できるかもしれない。

第三のデジタル革命期で重要なこと

目先の事象に一喜一憂しない
masterzphotois/iStock/Thinkstock

第三のデジタル革命は、あらゆる産業の構造を根こそぎ変えてしまうだろう。だが重要なのは、目先の事象だけで勝敗を決めてしまわないことだ。

過去の事例を見ればわかるように、マイクロソフトのMS-DOSは基本OSとして生き残れなかったし、検索サービスのビジネス化はもともとグーグルではなくヤフーから始まった。またDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)を世界ではじめて製品化したインテルは、技術面などで日本に圧倒され1985年に撤退したものの、現在は大きな成功を手にしている。

このように産業構造が激変するなか、「稼ぐ」ことのできるビジネスモデルをいち早く構築できるかどうかが、今後の明暗を分ける。技術力があれば勝てるのではない。大事なのは、現実に起きている事象の本質をつかむことなのだ。

不確実性のなかで歴史に学ぶ

第三のデジタル革命がもたらすものを予測することは不可能だ。破壊的イノベーションは、なにが起こるか予測できないから破壊的なイノベーションなのである。ただし過去の出来事を鑑みて、確実にいえることがいくつかある。

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