業界メガ再編で変わる10年後の日本
中堅・中小企業M&Aが再編の主役だ

未 読
業界メガ再編で変わる10年後の日本
ジャンル
著者
渡部恒郎
出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2017年12月28日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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中堅・中小企業M&Aが再編の主役だ
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渡部恒郎
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定価
1,400円 (税抜)
出版日
2017年12月28日
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明瞭性
4.0
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レビュー

10年後の日本がどうなるか、想像するのはむずかしい。10年前にいまの世界や日本の動き、ビジネスの状況を正確に予想できたかといわれると、決してそうではないだろう。

世界はめまぐるしく変化している。著者も指摘するように、世界全体でみると10年前に時価総額でトップ10に入っていた企業の顔ぶれは、いまではほとんど変わっている。しかし日本の場合は違う。いまもほとんど同じ名前が並んでいるのだ。これは冷静に考えてみると驚くべきことである。いかに日本の企業や経営者が過去の延長線上でモノを考え、行動しているかのあらわれだといえよう。だがそれではいずれ行き詰まり、世界の流れに置いていかれるのは明らかだ。

ではどうすればよいのか。企業の未来を考えるにあたって、著者は「第2の創業」の必要性を指摘し、その強力な武器になるのがM&Aであると説く。トレンドの移り変わりが激しい昨今、企業はさまざまな危機に直面している。そうしたなか、さらなる発展をめざすための方法としてのM&Aというのは、とても腑に落ちる指摘だ。

自前主義というのは、過去においては美しく、いまも賛美する声があるかもしれない。だがそれで本当にグローバル競争に勝てるかどうか、いま一度問い直すべきだろう。会社を一段と成長させたいと願うのなら、ぜひ読むべき一冊である。

毬谷実宏

著者

渡部 恒郎 (わたなべ つねお)
株式会社日本M&Aセンター執行役員 業界再編部長
1983年大分生まれ、大阪育ち。京都大学経済学部在学中に入社したベンチャー企業でNo.2となり、関連会社を設立、取締役就任。卒業後、日本M&Aセンターに入社。2008年から2015年までM&Aプレーヤーとして同社において累計最多成約実績を誇る。2016年、新たに業界再編部を立ち上げ、わずか2年で売上25億円を超える部署に育て上げる。2017年、同社史上最年少で執行役員に就任。
代表的成約案件であるトータル・メディカルサービスとメディカルシステムネットワークのTOBでは過去最高のプレミアムを記録した(グループ内再編を除く)。日経ヴェリタスにて「中堅・中小M&Aの第一人者」として紹介されるなど、各種メディアで取り上げられている。
著書に『「業界再編時代」のM&A戦略――No.1コンサルタントが導く「勝者の選択」』(幻冬舎、2015年)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人口の減少、産業の成熟化、インターネットの普及を鑑みると、日本での業界再編は避けられない。
  • 要点
    2
    業界再編における5つの法則とは、(1)どの業界も大手4社程度に集約されること、(2)上位10社のシェアは成長期で10%、成熟期で50%、衰退期で70%になること、(3)国内における拠点数は6万が限界ということ、(4)業界1位の企業は10%の確率で交代すること、(5)「一人勝ち」のビジネスが増加することである。
  • 要点
    3
    業界再編時代に求められるのは、競争ではなく協調である。あるべき業界像について、熱意をもって考え抜くことが重要だ。それこそが会社の飛躍的な成長を実現する。

要約

【必読ポイント!】 「規模拡大」「競争」の時代から脱却

業界再編型M&Aが有効な時代
bunditinay/iStock/Thinkstock

日本はいま人口減少という大きな問題を抱えている。だがそれだけが経済縮小の理由ではない。チャレンジ精神を失っている企業の多さに、真の問題があるのではないだろうか。

日本企業の大半を占めるのは、中堅・中小企業だ。その経営者年齢のピークは66歳、平均年齢は60歳である。これは若手経営者への事業承継がうまく進んでいないことを意味している。

日本では1980年頃から多くの企業が生まれ、あらゆる業界で激しい競争が繰り広げられた。しかし市場が成熟するにつれ、価格競争が激化。国内での戦いに消耗するうちに、海外市場での競争力も失った。携帯電話や家電メーカーなどの動きを見ても、日本は明らかに成熟期を迎えている。

では日本の企業はこれからどのような道を歩むべきなのか。似通ったビジネスでシェアを奪い合う時代はもう終わりだ。同じビジネスや志をもっているのなら手を組み、積極的に協調するべきである。いま私たちは「業界再編の時代」に直面しているのだから。

しかも単に規模拡大や同業者との争いに勝つことを目的にしたM&Aではいけない。新しい業態を生み出したり、次のステージに進んだりすることを目的とした「業界再編型のM&A」が必要である。その波はすでに到来しているし、今後もさらに進んでいくと考えられる。

2回目の創業でビジネスを進化させる

「M&Aによる業界再編時代」とは、「2回目の創業をし、ビジネスを進化させていく時代」とも表現できる。成熟した日本で過去の延長線上のビジネスをしていても、苦しくなる一方だ。明確な経営ビジョンをもちながらも、新しいステージに進むべく、もう一度創業しなおすぐらいのインパクトが求められている。

このいわば「第2創業時代」に向けて重要なのが、強い信念をもったビジネスであり、ゆるぎない志である。経営者の大量引退を迎える2018年以降、「第2創業」できるかどうかが、生き残りの条件となる。

10年後の日本につながる再編の波
agsandrew/iStock/Thinkstock

業界再編の動きには3つの波がある。

第1の波は、ITによって旧態依然とした業界が変わっていくことだ。従来ならインターネットと親和性が低いとみられた民泊、タクシー業界などがこれに該当する。また税理士や弁護士、医師などの専門家と、顧客との関係も変わるだろう。

第2の波は、業界・部署・技術の境界がなくなることである。これにはモノのインターネット化(IoT)やロボット技術が大きく寄与している。医療業界と旅行業界が「メディカルツーリズム」という新業態を生み出したように、異業種が近接する動きも出はじめている。

第3の波は、「顧客定義によるプラットフォーム化」戦略である。すでに大多数の人にとって必要なインフラは整備されている。そうしたなか顧客ニーズに合わせ、自社をどう定義しプラットフォームの構築をするのか、あらためて考えるべき時代になっている。

以上のようなことを意識しながら、業界再編の波をしっかりと捉え、ビジネスを進化させていくことが肝要である。

業界メガ再編時代のいまを読み解く

業界再編が避けられない3つの理由

「業界再編は避けられない」と明言できる理由は主に3つある。

1つ目の理由は人口の減少だ。日本の人口は2010年をピークに減少を始め、2060年には8674万人にまで減少すると推計されている。人口が減少しはじめると、労働力の確保が容易でなくなり、企業は収益機会を失うリスクに見舞われる。

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