WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.
現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ

未 読
WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.
ジャンル
著者
佐渡島庸平
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2018年05月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.0
革新性
5.0
応用性
3.5
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WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.
WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.
現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ
著者
佐渡島庸平
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ジャンル
出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2018年05月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.0
革新性
5.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書のタイトルである「We are lonely, but not alone.(我々は孤独だが、一人ではない)」は、漫画『宇宙兄弟』で一人漂う宇宙飛行士が発したセリフだ。

かつては社会に自分を合わせなければならなかったが、そこにはある種の安心があった。逆にいまはネットの普及により、自由を手にした一方で、安心の確保が難しくなっている。もし現代社会に幸せを感じられなくなっている人が増えているとすれば、それは自由を手にしたことによる安心の喪失が原因なのではないか。

『ドラゴン桜』、『宇宙兄弟』、『君たちはどう生きるか』など、数々のヒット作の編集を手掛けてきた佐渡島氏は、現代人の孤独を癒すものとしてコミュニティの重要性を指摘する。いま多くの人は、関係性を築きたいという欲望を抱いている。ならば安心を感じながら、多くの人と「好き」を中心にしてできたコミュニティでつながれば、孤独は薄れるはずだ。

本書は佐渡島氏がオンラインサロン運営の経験を通して、現代のコミュニティのあり方について学び、考えてきたことを綴ったものである。自由と安心を手に入れる仕掛けとしてのコミュニティ像は、いまだ漠然としているかもしれない。だが少なくとも、これから真摯に考えていくべき事象なのはまちがいない。

インターネットによる変化は不可逆的だ。パンドラの匣はもう開けられてしまった。最後の希望は、健全なコミュニティが発展することにある。幸せになるために、安心と自由の両方が確保されるコミュニティを作っていこう――そう強く思わされる一冊であった。

ライター画像
藤本江里子

著者

佐渡島 庸平(さどしま ようへい)
株式会社コルク 代表取締役社長
1979年生まれ。
東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社。
週刊モーニング編集部にて、『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』など数多くのヒット作を編集。
インターネット時代に合わせた作家・作品・読者のカタチをつくるため、2012年に講談社を退社し、コルクを創業。
従来のビジネスモデルが崩壊している中で、コミュニティに可能性を感じ、コルクラボというオンラインサロンを主宰。
編集者という仕事をアップデートし続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    自由すぎるが故の責任の重さが、人を不幸にする。このような状況を打開するためには、安全・安心で健全なコミュニティへの参加が必要である。
  • 要点
    2
    コミュニティの立ち上げる際は、熱狂度をあげすぎず、ゆるやかに親密度をあげていくようにするとよい。1対Nの関係から徐々に、フラットなN対Nの関係にコミュニティを移行させよう。
  • 要点
    3
    コミュニティを持続させるためには、安全・安心の確保→熱狂→拡大→安全・安心の確保というサイクルを繰り返すことが大切だ。

要約

コミュニティと孤独

安心と自由

「コミュニティ作りを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」。これはFacebookが創業以来、はじめて変更した企業ミッションである。コミュニティは昔から存在していた。しかしいまコミュニティのあり方が、劇的に変化しようとしている。Facebookの企業ミッション変更はそのあらわれだ。

コミュニティについて考えるときのキーワードは「安心と自由」である。人間は同時に安心と自由を手に入れたがる。しかしこの2つを同時に手に入れることは、これまでとても難しかった。

村社会や終身雇用の崩壊により、コミュニティが失われつつあるなかで、他人の生き方について指図する人はほとんどいなくなった。そうした意味で、私たちは圧倒的な自由を手に入れたといえる。しかし同時に、コミュニティがもたらす安全・安心を失ってしまった。

なめらかな社会
MissTuni/iStock/Thinkstock

社会が発達すればするほど、人間は自分を社会に合わせようとして、不自由な社会に住むようになった。その後インターネットの登場により、今度は自由な社会がもたらされようとしている。

インターネットへの評価は人によってさまざまだ。インターネットによる効率化は非人間的で世界を息苦しくさせるという人もいれば、インターネットによってより人間的な生きやすい時代が到来するという人もいる。

インターネットビジネスで成功している人は、インターネットの方がアナログ社会よりも「なめらか」になっているという。たとえばUberは車の使用をより「なめらか」にする仕組みだし、Amazonは欲しいと思った商品がすぐに届くという意味で「なめらか」だ。

このように誰もがネットに常時接続できるような状態になると、社会がどんどん「なめらか」になる。自分に社会を合わせることが可能な時代がやって来ようとしている。

「重要なのは個人の価値基準」という時代

アイデンティティのあり方も変化しつつある。モノがなかった時代は、いい学歴、安定した企業、マイホーム、高級車やブランド品など、アイデンティティのよりどころが「なにを手に入れているか」にあった。ところがモノが溢れ、すべての価値観が許容されるようになると、「なにをやっている人か」、「なぜやっているか」という「個人の価値基準そのもの」の方が重要になってきた。

しかしここにひとつの問題がある。現行の日本の教育システムが、新しい価値観への移行を阻んでいるのだ。これまでは正解がある問題を与えられ、それを解くという問題解決型の教育がされてきた。しかしいま求められているのは、ブレない価値観をもち、「自分の好き」を大切にして、自分が取り組む問題を発見する能力である。問題解決型から問題発見型への移行がいま、必要とされている。

多すぎる情報が人を不安にさせている
kieferpix/iStock/Thinkstock

インターネットには人々を自由にし、社会をなめらかにする作用がある。しかし自由になった人々は、心のよりどころをなくしてしまった。いま多くの人は、幸せを感じられていないのではないか。

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