WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. の表紙

WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.

現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ


本書の要点

  • 自由すぎるが故の責任の重さが、人を不幸にする。このような状況を打開するためには、安全・安心で健全なコミュニティへの参加が必要である。

  • コミュニティの立ち上げる際は、熱狂度をあげすぎず、ゆるやかに親密度をあげていくようにするとよい。1対Nの関係から徐々に、フラットなN対Nの関係にコミュニティを移行させよう。

  • コミュニティを持続させるためには、安全・安心の確保→熱狂→拡大→安全・安心の確保というサイクルを繰り返すことが大切だ。

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コミュニティと孤独

安心と自由

「コミュニティ作りを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」。これはFacebookが創業以来、はじめて変更した企業ミッションである。コミュニティは昔から存在していた。しかしいまコミュニティのあり方が、劇的に変化しようとしている。Facebookの企業ミッション変更はそのあらわれだ。コミュニティについて考えるときのキーワードは「安心と自由」である。人間は同時に安心と自由を手に入れたがる。しかしこの2つを同時に手に入れることは、これまでとても難しかった。村社会や終身雇用の崩壊により、コミュニティが失われつつあるなかで、他人の生き方について指図する人はほとんどいなくなった。そうした意味で、私たちは圧倒的な自由を手に入れたといえる。しかし同時に、コミュニティがもたらす安全・安心を失ってしまった。

なめらかな社会

MissTuni/iStock/Thinkstock

社会が発達すればするほど、人間は自分を社会に合わせようとして、不自由な社会に住むようになった。その後インターネットの登場により、今度は自由な社会がもたらされようとしている。インターネットへの評価は人によってさまざまだ。インターネットによる効率化は非人間的で世界を息苦しくさせるという人もいれば、インターネットによってより人間的な生きやすい時代が到来するという人もいる。インターネットビジネスで成功している人は、インターネットの方がアナログ社会よりも「なめらか」になっているという。たとえばUberは車の使用をより「なめらか」にする仕組みだし、Amazonは欲しいと思った商品がすぐに届くという意味で「なめらか」だ。このように誰もがネットに常時接続できるような状態になると、社会がどんどん「なめらか」になる。自分に社会を合わせることが可能な時代がやって来ようとしている。

「重要なのは個人の価値基準」という時代

アイデンティティのあり方も変化しつつある。モノがなかった時代は、いい学歴、安定した企業、マイホーム、高級車やブランド品など、アイデンティティのよりどころが「なにを手に入れているか」にあった。ところがモノが溢れ、すべての価値観が許容されるようになると、「なにをやっている人か」、「なぜやっているか」という「個人の価値基準そのもの」の方が重要になってきた。しかしここにひとつの問題がある。現行の日本の教育システムが、新しい価値観への移行を阻んでいるのだ。これまでは正解がある問題を与えられ、それを解くという問題解決型の教育がされてきた。しかしいま求められているのは、ブレない価値観をもち、「自分の好き」を大切にして、自分が取り組む問題を発見する能力である。問題解決型から問題発見型への移行がいま、必要とされている。

多すぎる情報が人を不安にさせている

kieferpix/iStock/Thinkstock

インターネットには人々を自由にし、社会をなめらかにする作用がある。しかし自由になった人々は、心のよりどころをなくしてしまった。いま多くの人は、幸せを感じられていないのではないか。

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要約公開日 2018.07.26
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