エンジェル投資家

リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか
未読
日本語
エンジェル投資家
エンジェル投資家
リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか
未読
日本語
エンジェル投資家
出版社
定価
1,980円(税込)
出版日
2018年07月16日
評点
総合
4.7
明瞭性
5.0
革新性
4.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「エンジェル投資家」という言葉について聞いたことがあるという人は、きっと少なくないだろう。だがその実態を知っている人は、まだあまり多くないはずだ。

本書をおすすめしたい理由は数多くあるが、これまで実態が見えにくかったエンジェル投資家という職業について、かなり詳しく理解できるようになる――これだけでも読む価値は十分にあるといえる。

しかもきわめて実用的だ。「エンジェル投資は大富豪がやるもの」とてっきり思いこんでいたのだが、学校を出たばかりの若者でもエンジェル投資は十分可能だと著者は語る。著者自身、恵まれているとはとてもいえないバックグラウンドから、世界有数のエンジェル投資家にまでのし上がった。そんな彼が、これ以上ないほど具体的に方法論を語ってくれるのだ。その説得力たるや、である。

さらに単純に読み物としてもすごくおもしろい。なんというかユーモアにあふれているのだ。エンジェル投資家にまったく興味がないという人であっても、読み終える頃には関心をもたざるをえなくなるような、そんなパワーがある。「人が重要なのではない。人がすべてなのだ」とは本書にある言葉だが、この著者ならなにを書いてもおもしろくなるにちがいない。

なんだか絶賛する言葉ばかりになったが、どうかお許しいただきたい。読み終わったあと、本書が付箋でいっぱいになってしまった。とにかくいい本である。

ただし著者のいうように、エンジェル投資はハードなギャンブルだ。実際に投資する際はくれぐれも計画的に。

著者

ジェイソン・カラカニス (Jason Calacanis)
ジェイソン・カラカニスは情報テクノロジー分野の起業家、エンジェル投資家であり、人気の週刊ビデオ番組、『ディス・ウィーク・イン・スタートアップス』のホスト。また起業家と投資家を橋渡しするテクノロジー系カンファレンスを数多く創立してきた。シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタル、セコイア・キャピタルの「スカウト」メンバー。メディアにも頻繁に登場している。カルフォルニア州サンフランシスコ在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    エンジェル投資家としての最初の仕事は、揚げ足取りや後ろ向きの批評家から、起業家を守り抜くことである。
  • 要点
    2
    エンジェル投資の目的は、将来的に大成功を収める企業を引き当てることだ。こうした企業を見つけたいならシリコンバレーしかない。
  • 要点
    3
    お金がなくてもエンジェル投資家になることはできる。最初はエンジェル投資のシンジケート(投資組合)に入るのがおすすめだ。
  • 要点
    4
    成功するスタートアップを見分けるコツは、事業内容ではなく創業者に目を向けることである。

要約

【必読ポイント!】 エンジェル投資家とは

ノー・ギャンブル、ノー・フューチャー
wutwhanfoto/iStock/Thinkstock

エンジェル投資とは立ち上げ最初期の非公開企業に投資し、投資した以上のリターン(利益)をめざすことである。ほとんどのケースにおいてその期間は3年以内で、投資対象は誰も見向きしないような、クレイジーかつ実績のないビジネスである。というのも誰もが理解できるようなビジネスなら、そもそもエンジェル投資家は必要とされないからである。著者のような投資家が「エンジェル投資家」と呼ばれるのは、スタートアップ創業者のビジネスモデルを信じる者がひとりもおらず、絶体絶命となったまさにその時、天使のごとく救い出すことに由来する。

一般的な投資と比べると、エンジェル投資のリスクははるかに高い。おそらく世界でもっともリスクの高い投資だろう。しかしそのぶん見返りも大きい。しかも世界でもっとも創造的かつ高いモチベーションをもつ人々と働くチャンスも得られる。こうしたコネクションは何物にも代えがたいし、日々得られる学びも大きい。

たしかにたった1つのスタートアップだけにすべてを賭けるのは無謀の極みである。だがスタートアップ100社に賭ければ、トータルで見た成功確率は非常に高い。もはや賭けないのがバカらしくなるぐらいに。

求められる資質

エンジェル投資家になるためには(1)金、(2)時間、(3)人脈、(4)専門知識という4つの能力が求められる。(1)~(3)はいうに及ばず、創業者がミスを犯して時間や金をムダにするのを防ぐ意味でも(4)は重要である。

加えて人付き合いの能力も欠かせない。エンジェル投資を仕事にしていると、さまざまな人々とコーヒーを飲みながら話し合うことになる。しかもその話し相手は、まともな創業者だけではない。むしろ大半のリターンをもたらすのは、「頭がおかしい」「ひどいナルシスト」と呼ばれているような起業家の方だ。すぐれた起業家ほど自分のビジョンを追うことに一生懸命で、他人の感情などにはまったく注意を払わないものである。

エンジェル投資家としての最初の仕事は、揚げ足取りや後ろ向きの批評が得意な考えのスケールが小さい人間に、そういう起業家が邪魔されないよう盾になることだ。小さく考えてしまうと、人間は小さくなる。スタートアップの創業者であれば小さい成功を狙わず、ビッグな目標を追ってもらいたいというのが著者の考えだ。

シリコンバレーは世界の中心である
heyengel/iStock/Thinkstock

ここ50年もの間シリコンバレーは、さまざまなビジネスを大きく変える震源地となってきた。世界で時価総額トップ5の企業のうち、3社がシリコンバレーにあることからもそれがわかる(残りの2社はシアトル)。アメリカのベンチャーキャピタル総額の30%が、サンフランシスコとシリコンバレーを含むベイエリア一帯で投資され、シリコンバレーへの投資額はいまやボストンやニューヨーク、ロサンゼルスにおける投資額の合計の2倍だ。そういう意味でベイエリアが「世界の中心」なのはまちがいない。

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