残念な職場

53の研究が明かすヤバい真実
未読
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53の研究が明かすヤバい真実
著者
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残念な職場
著者
出版社
出版日
2018年04月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

最近の日本の職場は少しおかしい。どこかで、何かがずれているのではないか――そう感じている現役ビジネスパーソンも多いのではないだろうか。女性活躍推進や働き方改革が声高に叫ばれているのに、本質は何も変わっておらず、今後も何も変わらないのではないかという無力感も漂う。

著者は、こうした日本の職場を「残念な職場」と名づけている。そしてその元凶は、企業社会の価値観に染まり、無意識のうちに変化を避け、既得権益にしがみつくマネジメント層にあると指摘する。

加えて著者が主張するのは、本来、職場には一人ひとりの自律性や能力の発揮の機会、自由裁量の喜び、他人とのふれあい、1日の時間配分、生活の安定などさまざまなメリットがあるはずだということだ。こうした仕事がもたらすプラスの影響が心を元気にし、人に生きる力を与えるという。残念な職場では、こうした影響が機能していないのだ。

著者は、国内外の論文から得られた豊富なエビデンスと、600人以上のビジネスパーソンへのインタビューというフィールドワークをベースに、さまざまな視点から「残念な職場」について論じていく。働くということは、単なる労働力の提供ということ以上に、個人の生き方に大きく関わる問題でもある。本書を傍らに、あらためて一人ひとりの働き方を振り返ってみることをお勧めしたい。

ライター画像
しいたに

著者

河合 薫(かわい かおる)
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行っている。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。
著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『考える力を鍛える「穴あけ勉強法」』(草思社)など。日経ビジネスオンラインにて「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」を連載、また、メルマガ「デキる男は尻がイイ!――河合薫の社会の窓」を展開中。
【PV】

本書の要点

  • 要点
    1
    日本人は、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野において、先進国24カ国のうち1位に輝いた。それにもかかわらず、日本の1時間当たりの労働生産性は、OECD加盟国35カ国のうち20位で、主要先進7カ国のなかでは最下位だ。
  • 要点
    2
    働くことには、経済的利点以外にも「潜在的影響」と言われるものが存在する。これはたとえば、自律性や能力発揮の機会、自由裁量、他人との接触、他人を敬う気持ち、身体および精神的活動、1日の時間配分、生活の安定などのことだ。潜在的影響が人の心を元気にし、生きる力を与える。

要約

日本人の労働生産性と能力

労働生産性が低い

日本では、長時間労働が常態化しており、社畜という言葉さえ使われているほどだ。それにもかかわらず、生産性は世界最低レベルである。

日本の1時間当たりの労働生産性は、OECD加盟国35カ国のうち20位で、主要先進7カ国のなかでは最下位だ。1990年には米国の4分の3に近い水準であったが、2000年には7割前後に低下し、2010年に入ってからは3分の2程度と、米国との差は拡大するばかりである。

潜在能力が高い
tumsasedgars/iStock/Thinkstock

2011年~2012年、先進国24カ国・地域を対象として、「OECD国際成人力調査」が実施された。調査項目は、「仕事や日常生活で必要とされる汎用的スキル」として、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野である。その結果、日本は、3分野すべてにおいてトップを獲得した。また、日本人の特徴として、職種や階層による能力格差が少ないことも明らかになった。つまり、教育に投資し、労働者1人当たりの生産性を高めればいいということだ。しかし、世界33カ国・地域の労働者を対象として調査したところ、勤務先企業が費用を負担する研修などを受けている割合は、日本が最下位となっている。日本においては、勤務先からの支援の男女差が大きいこともわかった。

男性と女性の働き方

家庭で感じるストレスと職場で感じるストレス

2014年、米ペンシルベニア州立大学の研究チームは、家庭と仕事に関する調査結果を公表した。これは、1日6回、被験者に4つの項目を記録させる調査だ。4つの項目とは、(1)場所(職場か家庭か)、(2)気分(ハッピーかどうか)、(3)ストレス、(4)コルチゾール値だ。コルチゾールとは、ストレスを感じたときに分泌されるもので、被験者は自身の頬をこすり取ることでその値を測定した。

その結果、性別、未婚・既婚、子どもの有無にかかわらず、家庭にいるときよりも職場にいるときの方がストレスが少ないことがわかったという。これは、

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要約公開日 2018.08.13
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