丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか?

非効率の極め方と正しいムダのなくし方
未読
丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか?
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丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか?
出版社
出版日
2018年09月10日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

言わずと知れた讃岐うどんの専門店「丸亀製麺」。店舗に入ると、スタッフが元気な声で迎えてくれる。ひときわ存在感を放つのはオープンキッチンの製麺機。店内に立ち込める湯気と出汁の香りにいざなわれ、釜揚げうどんをすするとコシの太さにたちまち夢中に。しかも、丸亀製麺はうどん業界でトップをひた走っているという。その成功の秘訣を解き明かしてくれるのが本書だ。

丸亀製麺を手掛けるのは、炭火焼鳥のとりどーる、ハワイアンパンケーキのコナズ珈琲など、国内で10以上もの業態をもつトリドールホールディングス。海外でも丸亀製麺を展開する傍ら、現地に人気のある事業をM&Aで買収し、世界上場外食企業トップ10入りをめざしている。

創業者の粟田貴也社長は、わずか8坪の焼き鳥店を、国内外で1500店舗以上を運営する企業にまで成長させた。売上高は1100億円以上。丸亀製麺にいたっては売上高でも店舗数でも、うどん業界日本一である。そう聞くと力業で競合をねじ伏せてきたのかと思いきや、意外にも、丸亀製麺がとるのは「競争しないで勝つ方法」だという。あえてセントラルキッチンをつくらない非効率のススメや正しいムダのなくし方、トップの仕事哲学、海外進出の舞台裏。興味深い成功の秘訣を、粟田社長の秘書である著者が解説していく。さらには、本書の帯裏に「釜揚げうどん試食券」がついている。なんて粋な計らいだろうか。

本書から、飲食業界以外にも活かせる戦略、工夫をぜひ学んでいただきたい。そして読めば「あの一杯」をすすりたくなること請け合いだ。

ライター画像
松尾美里

著者

小野 正誉(おの まさとも)
株式会社トリドールホールディングス 経営企画本部 社長秘書・IR担当。神戸大学経済学部卒業後、大手企業に就職するも1年で退社。その後、外食企業で店舗マネージャー、広報・PR担当、経営企画室長、取締役などを歴任。2011年より「丸亀製麺」を展開する株式会社トリドールホールディングスに勤務。転職してわずか3年で社長秘書に抜擢。入社後7年の間、国内外に1,500店舗以上を展開するグローバルカンパニーに至るまでの成長の軌跡を間近に体験する。
著書に『メモで未来を変える技術』(サンライズパブリッシング)があり、同書はAmazonの高評価ランキングで9位を獲得するなど話題になる。
1972年奈良市生まれ。和歌山市育ち。日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。

本書の要点

  • 要点
    1
    丸亀製麺がナンバー1ブランドを築けた最大の理由は、他社との競争を重視しなかったことである。
  • 要点
    2
    丸亀製麺は味やサービスの質を保つためには費用や手間を惜しまない。非効率を貫くことで、他のお店と差別化を図ってきた。
  • 要点
    3
    丸亀製麺を含むトリドールホールディングスでは、意思決定は即断即決が多く、高速でPDCAを回している。
  • 要点
    4
    今後は、いい違和感を活かして「変われる企業」だけが生き残る。

要約

丸亀製麺はなぜナンバー1ブランドになれたのか?

競争しないで、気づいたらナンバー1に
2nix/gettyimages

外食産業の市場規模は、1997年の約29兆円をピークに減少の一途をたどっている。開業3年で約7割が倒産し、10年後も営業している飲食店は、わずか1割程度という説もあるくらいだ。そんな中、2014年の8月以降、丸亀製麺では既存店の売上高は、40ヶ月以上対前年比100%以上を達成している。

丸亀製麺が参入してからの数年間は、はなまるうどんの方が店舗数も多く、先頭を切っていた。現在は約480店舗で2位。また老舗のうどんチェーン店も、現在では160から200店舗ほどの規模に収まっている。そんな中、丸亀製麺は国内では約800店舗、海外では約200店舗へと躍進。売上高、店舗数ともに業界ナンバーワンの地位を築いている。

丸亀製麺がナンバー1ブランドを築けた最大の理由は何か。それは、他社との競争を重視しなかったことだという。同業他社と売上競争をすれば、好立地をめぐる争いや値下げ合戦に巻き込まれ、疲弊してしまう。丸亀製麺はこうしたことを避け、常にお客様のニーズやウォンツを捉えて店舗運営に反映してきた。競争しない道を選んだ結果、気がついたら生き残り、ナンバー1になっていたのだ。

本要約では、ナンバー1ブランドになった秘訣と海外戦略の一部を紹介していく。

【必読ポイント!】 丸亀製麺はなぜセントラルキッチンをつくらないのか

非効率を極めることが勝因になる
GEOLEE/gettyimages

組織改革のキーワードとされる「効率化」。効率という言葉はたいてい、会社の利益を優先するために、社内の人間に向けて使われる。決して顧客の満足や感動のためではない。

これに対し、丸亀製麺の勝因は非効率を極めたことにある。丸亀製麺の店内に目を向けてみよう。すぐに目につくのは製麺機だ。製麺機は小麦粉と塩と水を混ぜてうどん生地をつくり、寝かしてあった生地をのばすために使われる。製麺機を店の入り口に置いているのは、手づくりのライブ感を出すためでもある。

出汁をとるのは1日6回以上。コーヒーや紅茶と同じで、すぐに風味や香りが飛んでしまうので、大量のつくりおきができないためだ。

丸亀製麵は他のうどんチェーン店に比べるとキッチンのスペースが広く、スタッフの人数も多い。本来チェーン店なら、客席数を増やしてスタッフは少なめに抑えるのが定石だ。うどんも出汁も、天ぷらやおむすびもセントラルキッチンでまとめて作り、店ではそれらを簡単に調理する方が効率的だろう。

また、製麵機は高額なので、初期費用もかかる。しかも、店内でうどん生地をつくり生のうどんを茹でるところから調理していたら、水道・光熱費もかさむ。現に丸亀製麺を出店した当時は、周囲から「そんな効率の悪い店が成功するはずない」と散々批判された。

しかし、丸亀製麺はあえて非効率を貫いた。なぜなら行き過ぎた効率化は人間味をなくし、他のお店と差別化を図ることが難しくなってしまうからだ。

粟田社長は、「店の人が自分のうどんをつくってくれている」という臨場感がおいしさを高めると考えていた。人のぬくもりを感じられる店をつくるという信念を貫いたことが、丸亀製麺をナンバー1に押し上げたといってもいい。希少価値を生み、お客様の感動を追求すれば支持されるのだ。

マニュアルでガチガチに縛らない

丸亀製麺には、身だしなみや挨拶の仕方など、ごく基本的なマニュアルしかない。マニュアルで細かく定めすぎると、「覚えた通りにすればいい」という意識になってしまう。

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要約公開日 2018.10.22
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