創造と変革の技法

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創造と変革の技法
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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2018年09月27日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者が読者に伝えたいメッセージを考え抜いた思考の軌跡や想いというのは、文章だけでなく行間からもにじみ出る――。要約者は本書を読んで、そう確信した。著者はビジネスリーダーを育成するグロービス経営大学院の学長、堀義人さん。アジアナンバーワンのビジネススクールをめざし、日本版ダボス会議「G1サミット」開催、水戸の地方創生、Bリーグ茨城ロボッツの再建など、その多彩な活躍ぶりはレビューに書ききれないほどだ。

ここまでアクセルを踏み込み、多様なステークホルダーを巻き込めているのはなぜか。それは、堀さんの志の高さゆえだろう。「日本を良くするには?」「自分は後世に何を遺せるのか?」フライヤーで堀さんにインタビューさせていただいた際にも、これらの問いと向き合い続けていることが伝わってきた。

テクノロジーの進化とともに、経営の世界も激動の時代を迎えている。変化への柔軟な対応が求められる一方で、いつの時代も不変のものがある。それを堀さんは5つの原則として提示する。(1)可能性を信じ、志を立てる、(2)人を巻き込み、組織をつくる、(3)勝ち続ける戦略を構築し、実行する、(4)変化に適応し、自ら変革し続ける、(5)トップの器を大きくし続ける、の5つだ。

本書では各原則を実際にどう応用すればいいのかが、堀さんの挑戦を追体験しながら学べる。一度にすべてを実践するのは難しい。だが、可能性を信じることからすべては始まる。この本を閉じる頃には、人生を賭けるに値する志を見つけ、それを追い続ける力が湧いてくるにちがいない。

ライター画像
松尾美里

著者

堀 義人(ほり よしと)
グロービス経営大学院学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー。
京都大学工学部卒業、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneurs’ Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、世界の成長企業(GGC)の共同議長、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)、米国ウィルソンセンターのグローバルアドバイザリーカウンシル等を歴任。
2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設し、現在一般社団法人G1の代表理事を務め、日本のビジョンである「100の行動」を執筆する。2011年3月の東日本大震災後には復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、現在一般社団法人KIBOWの代表理事を務め、KIBOW社会的インパクトファンドを組成し運営している。2016年に水戸ど真ん中再生プロジェクトを始動。2016年4月からは茨城ロボッツの取締役兼オーナーとなる。他には、公益財団法人日本棋院理事、いばらき大使、水戸大使等歴任。5男の父親で、水泳のジャパン・マスターズに毎年出場している。
著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人の任務』(東洋経済新報社)、『新装版 人生の座標軸』(東洋経済新報社)、『日本を動かす「100の行動」』(共著、PHP研究所)等がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    常識を打ち破り、自らの可能性を信じることが第一歩となる。創造と変革の原動力はミッションだ。人生を賭けるに値するミッションに出会えれば、内面からエネルギーが無尽蔵に出てくる。
  • 要点
    2
    組織はトップの器で決まる。組織のトップが能力を高め続けることは、会社を良くするうえで投資対効果が最も高い。
  • 要点
    3
    成功した革命における共通項は、「強い願望をもった有能なリーダーの存在」「思想やビジョン」「民衆の武力が用いられたこと」である。現在では武力は、ソーシャルメディアなどを活用した「発信力」に置き換えられる。

要約

可能性を信じ、志を立てる

すべては、可能性を信じることから始まる
Mintr/gettyimages

自分や自社の限界は、他人の意見や外部要因によって決まるものではない。自分の意識で決めるものである。固定観念を打ち破り、自らが可能性を信じて突き進めば、選択肢が広がっていく。その中で自分が心底ワクワクし、戦略的に整合性がとれ、投資対効果が高く、社会にとって価値の高い選択肢を検討する。自分がその選択肢を心から信じるからこそ、他の人々もついてきてくれるのだ。

堀さんは中学生時代から、常識を健全に疑う姿勢を貫いてきた。権威をもった人の意見やメディアも鵜吞みにはしない。「それは違うのではないか」「なぜこれが正しいと自分は思うのか」。こうした思考を習慣化することで、ビジネスにおいても大きなチャンスを見つけられるようになる。

常識を打破し、勇気をもって「小さく始める」

常識を否定するにはエネルギーが必要になる。人と違うことを試す際には、その理由と根拠を問われるからだ。つまり、常識を打破することで説明責任が発生する。逆にいうと、その行動が正しいことを証明できれば、相手の理解を得られ、可能性を追求できるようになる。

可能性を信じて変革のアイデアを考え抜く。それを論理的に構築し、明文化して多くの人と議論する。すると自分の考えを強固にするためのヒントが得られると同時に、自分の考えを深く検証できる。最後には「これはできそうだ」という確信に至るはずだ。そのうえで、やりたいという衝動に駆られたのなら、勇気を出して前に進めばいい。

実際にやってみてうまくいかない場合は、「そうか、神様はこっちに行かなくていいと教えてくれたのだ。早い段階でわかってよかった」と思えばいい。違和感を抱いたらすぐに修正しながら進める。そんなリーンスタートアップの手法を、堀さんはすすめている。

ミッションが行動の原動力になる

新しいものを創造し、変革を起こすための原動力になるのはミッションである。自らの人生を賭けてもいいと思えるミッションに出会えれば、内面からエネルギーが無尽蔵に出てくる。もちろん、ミッションを見つけることは簡単なことではない。しかし、何かやりたいというものが見えたら、とにかく一度試してみることだ。

そのとき必要なのが「世界観と歴史観」である。世界が今どう動いているのか、自分がこの時代の日本に生きていることにどんな意味があるのか。こうしたことを考える中で、自分の志や使命が見えてくるはずだ。

変化に適応し、自ら変革し続ける

MBAからテクノベートMBAへ
metamorworks/gettyimages

変化に抵抗するものは滅び、変化をつくり出すものが栄える。これは世の常だ。テクノロジーの急速な発展により、ビジネスモデルも含めたイノベーションが求められるようになった。サイバースペース上の戦いでは、デジタル、オンライン、ストリーミング、プラットフォーム、AI、スマホをどう戦略的に活用するかが勝敗を分けるといってよい。まさに、変化に適応し、自らを変革し続けることがカギとなる。

堀さんは1996年からベンチャーキャピタルを始め、未来をつくる会社に投資し、それを育ててきた。2000年代の中頃から、起業家としての成功に必要な資質や能力が変わってきたことを実感したという。

これまでは人間関係能力や営業能力、マーケティング的な考え方が必須だった。しかし最近では、これらの能力にくわえ、インターネットやAI、ロボティックスなどのテクノロジーを理解し、それを経営に取り入れて優位性を築く力が重要になっている。

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要約公開日 2018.10.19
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