世界が驚愕

外国人観光客を呼ぶ日本の勝ちパターン

未読
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外国人観光客を呼ぶ日本の勝ちパターン
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外国人観光客を呼ぶ日本の勝ちパターン
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出版社
定価
1,540円(税込)
出版日
2018年08月13日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

近年、どこを歩いていても外国人観光客を目にするようになった。浅草や東京タワーなどの観光地は外国人でいっぱい、地方の名所でさえ外国語の案内書が置かれていることもある。10年前には考えられなかった光景だ。

実は外国人の訪日旅行(インバウンド)がこれほどまでに増えたのは、日本が国を挙げて取り組んだ成果に他ならない。安倍首相は2012年に「2020年に外国人の訪日旅行者数を2000万人まで増やす」という目標を掲げたが、その目標は5年の前倒しで悠々クリア。新たな目標として、当初の倍である4000万人を掲げている。

国別訪日観光客数は、アジア人が8割を占める。もちろんアジア諸国に対する滞在ビザの緩和や、経済成長による中間層・富裕層の増加も大いに関係しているだろう。とはいえ、急激に外国人観光客が増えたのは、インバウンド戦略が秀逸であったからに他ならない。本書では、「なぜこんなに外国人が増えたのか」と一度でも疑問に思った人ならきっと膝を打つ、目からウロコの戦略が明らかにされる。

外国人旅行者の増加は、観光業のみならず多方面に影響を与えている。もはや誰もがインバウンドに無関心ではいられない。そんなインバウンドについて、本書は、やさしい語り口で解説してくれる。これからの時代を生き抜くため、一度は目を通しておきたい良書である。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

石井 至(いしい いたる)
明日の日本を支える観光ビジョン構想会議(首相官邸)委員、観光立国推進有識者会議(国土交通省)委員、広域観光周遊ルート(観光庁)検討委員、国立公園満喫プロジェクト(環境省)有識者、観光財源のあり方検討会(観光庁)委員、北海道観光審議会特別委員、釧路市政策アドバイザー、登別市観光大使、函館市観光大使など、観光関係の役職多数。
1965年北海道生まれ。東京大学医学部卒。バンカーズトラストで金融エンジニアになり、UBS、インドスエズ銀行に勤務。独立して石井兄弟社を設立した後、自分の子供の小学校受験をきっかけに、慶應幼稚舎など向けのお受験塾を開設。一方、世界のリゾートを旅して回り、『日本人のあまり行かないセレブのリゾート』シリーズを全6冊刊行(石井兄弟社)。これがきっかけで政府の観光関係の委員に就任。そのほかの著書に『慶應幼稚舎』(幻冬舎新書)、『世紀のクラシックリゾートへ、ようこそ』(日経BP社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    昨今、外国人の訪日観光(インバウンド)が盛り上がっている。2011年から約6年でその数は4.6倍に増え、驚異的な成長を見せている。
  • 要点
    2
    インバウンドの成長には、来訪者の好み・動向を分析するマーケティング的な視点が不可欠である。そして当該エリアの課題を洗い出し、観光資源を対象者の好みに合った切り口で提供することもまた重要だ。
  • 要点
    3
    観光客の好みを知るには「調査型ファム」が有効である。有識者を誘致し、観光してもらう。事前に彼らが訪れたいスポットや体験したいアクティビティなどをヒアリングし、集客・購買につながる意見を引き出すことが重要だ。

要約

なぜ日本に観光客が押し寄せているのか

国を挙げたマーケティング戦略
beer5020/gettyimages

日本に、猛烈な勢いで外国人観光客が押し寄せている。2011年の訪日外国人旅行者数が約622万人だったところ、6年後の2017年には約4.6倍の2869万人にまで増えている。伸び率だけで考えると世界記録並みである。

外国人の訪日旅行を指す「インバウンド」という言葉を耳にする機会も増えたはずだ。しかし世界基準で見ると、日本はまだトップ10に入らない。2016年のデータを見ると、日本は世界16位、アジア5位であった。それでも第2次安倍政権(2012年12月)の「訪日外国人旅行者数を2020年に2000万人に増やす」という目標は、軽くクリアしてしまった形だ。そして新たに、「2020年に4000万人」という目標が設定された。

日本のインバウンドの劇的な成長は、世界中から注目を浴びている。ニューヨークのような都市とは異なり、日本には、世界中の人が「絶対に行きたい!」と熱望する強力なコンテンツがあるわけではない。それにもかかわらずこれだけの成長を遂げたことは、非常に不思議なことに見えているのだろう。

著者は、インバンド急成長の理由を「旅行者の出身国ごとに観光の好み・傾向を調査し、それをその国へプロモーションしてきたこと」だと分析している。さらに、日本国内のエリアごとの課題を洗い出すとともに「どこの国・地域から誘客するか」を決め、具体的な作戦を立てることがインバウンドの基本だという。日本の躍進は、国を挙げたマーケティング戦略の成果なのである。

インバウンドにおけるマーケティング戦略

「目の付けどころ」を変える
VinokurovYury/gettyimages

今の日本には、観光客が押し寄せるエリアとそうでないエリアが存在する。前者は東京、京都、富士山、北海道や長野のスキーリゾート、沖縄など。後者は、せっかく日本にやって来てくれても素通りされ、お金を落としてくれないエリアである。

インバウンドを盛り上げるには、観光客を地方へ向かわせることが重要だ。

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要約公開日 2018.11.27
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